日本通信の合理的かけほプランの話
MVNOである日本通信の合理的かけほプランは、7/15に発表されて時間が経っているので、加入したという人も多いだろう。
私もかけ放題で通話だけ契約していたドコモから日本通信に転出することにした。(通信はIIJで別に契約してデュアルSIMにしている)
合理的かけほプランとは
このプランは月2,728円(税込)でドコモ回線の3GBの通信量と通話かけ放題が付いてくる。
通信量は最低3GBといたって普通だが、3GBを超える部分は1GB当たり250円で追加できる。ギガが足りない月だけ都度増やすことができて合理的というわけだ。
だが、このプランの最大のポイントは、「ドコモ回線」で「かけ放題」ができるという点にある。
従来のMVNOのプランでは、かけ放題があっても、実際は準かけ放題になっており、5分間のみの時間制限があったり、IP電話になっていて品質に不安があったりする。
少し前に話題になった楽天のキャリアサービスRakuten UN-LIMITもかけ放題ではあるが、あれはRakuten Linkというアプリを使ったIP電話である。
これに対して、日本通信の合理的かけほプランは、時間制限やIP電話のような品質不安なしで使えるキャリア回線のかけ放題が利用できるというところに意味がある。
私のように通信は3GB程度で十分足りるが、通話が多い人にとっては、時間を気にせず使えるということがメリットになる。また、個人や法人が仕事で使うスマホ用の回線としても向いているだろう。
逆に通話は使わず、通信量が多い人にはRakuten UN-LIMITが適している。通話も通信も使う人は、合理的かけほプランとRakuten UN-LIMITを両方契約すればいいと思う。
SIMサイズと初期費用
SIMのサイズはフリーとなっており、nanoSIMにもmicroSIMにも対応できるようになっている。基本nanoSIMだが、付属のスペーサーを使えばmicroSIMにもなると考えてもらってよい。
費用の話をすると、初期手数料は3,300円。
SIMが届いた後にウェブから申し込み、回線が開通した日が月額料金の決済日となる。MNP転出の際は、切り替えが終了した日だ。
支払方法は今のところクレジットカードのみ。
これに加えてMNP転出の場合は、転出元に発行手数料と解約手数料が発生する可能性がある。
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ドコモ vs 日本通信 with 総務大臣裁定
と、この合理的かけほプランの紹介だけで終わることもできるのだが、今回はこのプランの背景について書いていきたいと思う。
合理的かけほプランのドコモ回線かけ放題を実現できたのは、キャリア(ドコモ)から「音声通話サービスに係る卸電気通信役務料金」が原価ベースで仕入可能となったからとうのは、日本通信のウェブサイトにも書かれてある。
この原価ベースの仕入というのは、日本通信からドコモへ要求されており、それに対する6/30の総務大臣裁定が関係している。
株式会社NTTドコモは、日本通信株式会社に対して提供する音声通話サービスに係る卸電気通信役務の料金を、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えた金額を超えない額で設定するものとする。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban03_02000653.html
後に続く文章で原価の算出方法について細かく規定がされているが、要は日本通信に対して音声通話サービスを原価に基づいた適正な価格で卸しなさいという裁定である。
データ通信は既に携帯キャリアの原価ベースで各社が仕入れることが可能になっていたが、この裁定により音声通話についても原価ベースでの仕入れが可能となったのである。
なお、この裁定では、卸料金を定額とすることは否定されている。
株式会社NTTドコモがエンドユーザ向けの音声通話サービスの料金として設定している「かけ放題オプション」及び「5分通話無料オプション」と同じ課金単位の料金設定を行うべきとすることは適当ではない。
この原価ベースの卸価格というのは裁定日の6/30から適用されるが、現段階ではまだ原価の決定はされておらず、ドコモからの卸価格が決まっているわけでもない。
というのも、ドコモは裁定から6ヶ月以内に卸料金を設定し、裁定日まで遡及して精算することになっているからである。
最長でも2020年末まで仕入金額が決まらない中で、裁定後2週間ほどで日本通信は合理的かけほプランを発表したことになる。
判断のスピードは早いが、この判断がどう出るかはまだ分からない。
仕入が定額で無い以上、電話をかけまくる人だけが申し込んでくれば儲からず、理論上は赤字になるリスクもある。
逆にMVNOのかけ放題を確立し、他のMVNOも同様のプランを新設していくことになるかもしれない。
何にせよ、2021年以降にならないと結論は出せないだろう。
少なくとも、この合理的かけほプランによって、音声通話を多くかける人にとっての選択肢が多くなったことは確かである。
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