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オリスのキャリバー400を使ってみた感想
前回はオリスアクイスデイトキャリバー400の外観について書いたが、今回はムーブメント(キャリバー400)の性能について、オリスに問い合わせて得られた回答も交えながら書いていきたい。
少し特徴的なムーブメントのように思えるので、参考になれば幸いだ。
パワーリザーブが少ないと精度が悪い
まず精度についてだが、スペックとしては日差-3~+5秒となるところ、最初私の個体は日差-30秒程度であった。
初期不良を疑ってオリスに問い合わせたところ、ゼンマイが十分に巻き上がっていない可能性があり、パワーリザーブが少ない状態の精度は悪くなるとのこと。
言われてみれば当然の話で、パワーリザーブが少ない状態でも等時性を維持できるオメガのマスタークロノメーターが特殊なだけなのだが、オメガしか持っていなかったので忘れていた。
ゼンマイを最大まで巻き上げてから24時間はほとんど日差がなかったので、巻き上がっていなかったことが精度悪化の原因で間違いないだろう。
手巻きで最大まで巻き上げる必要あり
パワーリザーブが最大に近いところで最も精度が良くなるので、なるべく巻き上がった状態を維持したいが、キャリバー400はパワーリザーブが120時間もあり、少し着用したくらいでは最大まで巻き上がることはない。
そのため、このキャリバー400は手巻きで最大まで巻き上げてからの使用が推奨されている。
通常の自動巻き時計の場合は、部品の摩耗を防ぐため、最初に少し手巻きで巻いて、動き始めたら時間を合わせ、後は着用しながら自動巻きで巻いていくという方法が好まれるが、このムーブメントは異なるようだ。
ちなみに、パワーリザーブを0時間から最大の120時間まで巻き上げるには、手巻きでリュウズを210回転させる必要があるので、巻き上げにはかなり時間がかかる。
巻き止まりの感覚はあまりないが、リュウズが若干固くなるので、それを目安に巻き上げるといいだろう。パワーリザーブ表示があればよかったと思う。
ちなみにパワーリザーブを測ってみたが、1日の0時から始めて5日の23時に止まったので、119時間ということになる。
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巻き上げ効率が悪い?
これはこれから実測したいと思っているのだが、自動巻きの巻き上げ効率が悪いように感じる。
というのも、パワーリザーブがない状態から手巻きをせずに1日着用すると、次の日には止まってしまうからだ。
どのくらい着用すれば何時間分巻き上がるのかについては、これから調べていきたい。
精度とパワーリザーブの性能は条件付き
巻き上げ効率が悪いと仮定して、手巻きも交えながらパワーリザーブを維持しないと精度が保てないのであれば、日差-3~+5秒とパワーリザーブ120時間のスペックは条件付きのように感じる。
少なくとも、カタログスペックの精度が維持されるパワーリザーブはもっと短いと考えていいだろう。
針飛びは反時計回りに回して回避
色々なところで言われているが、時刻を合わせるときに長針を時計回りに回すと、リュウズを押したときに針飛びするので、設定したい時刻から針を5分以上進めて、反時計回りに戻して回避する必要がある。
これは仕様というか、そういうものだと割り切るしかない。
総評
キャリバー400は、その性能を引き出すために特殊な使い方が要求される。価格に対する性能は良いにしても、結構手間がかかる腕時計なのかもしれない。
この使い方について、私はネットで事前に調べたり、オリスに聞いたりしたので分かったのだが、付属の説明書に記載はなく、そこは不親切だと感じる。
これが不便だと感じる人は、価格帯は高くなるがロレックスやオメガなど、工業製品で最高峰のブランドを選ぶべきだろう。
このキャリバー400も十分な性能があるのだが、改めてロレックスやオメガのムーブメントの凄さも再確認した。