連載小説「光と影」第2章 米国へ:15 空港からの電話
富雄は気分がよかった。毎日がどこか希望に満ちていて、幸せであった。
ユナの手紙の中の聖書の引用文がそうさせたのか、それともユナの米国行きがそうさせたのか、彼自身には判別しなかった。
単純に言えることは、雲がかかっていた闇から解放された気分であるということである。
富雄は生まれて初めて、自分が価値ある人間でると認められたようでもあった。
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