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高台の山奥に父が眠ることについて

休職54日目です。

昨日は母を連れてお墓参りにいきました。

お墓には父方のおじいちゃんとおばあちゃん、あと叔父さんが安らかに眠っております。

ですがそこには私の父親のお墓はありません。

というのもそれが父の生前の願いだったからです。



父は一昨年の秋、食道がんを患いこの世を去りました。
ステージ4で進行の速い未分化がんで、手術による摘出はかなり難しいとの事でした。
そして抗がん剤や放射線治療を行い、胃瘻(いろう:お腹から胃に穴を開けて、そこから栄養を摂取する事)処置もしました。

治療を始めて3ヶ月くらいで抗がん剤や放射線治療・胃瘻の効果が出てきたようで、少しずつがんも小さくなっていると医師から言われました。
でもしばらくして治療を行っている部分とは別のところからがんの転移が見つかり、同時に父の病状も悪化。治療も難しいとの事でした。

結果、想像以上の進行の早さで告知を受けてから4ヶ月程で父は67歳で旅立ちました。


その後になりますが、病を患ってから毎日書いていたメモがあった事を知りました。
そのメモに書かれていた事は病床に伏せていた父親自身の口から実際に聞かされた話でもありました。

そこでの願いは大きく2つ。

1.「私のお墓はいらない。そのかわりとあるお寺に永代供養して欲しい。」

2.「私が亡くなったら、献体の届出をして欲しい」

永代供養とは

「永代供養」Wikipediaより引用

献体とは

 献体とは、医学・歯学の大学における解剖学の教育・研究に役立たせるため、自分の遺体を無条件・無報酬で提供することをいいます。
「自分の死後、遺体を医学・歯学の教育と研究のために役立てたい」とこころざした人が、生前から献体したい大学またはこれに関連した団体に名前を登録しておき(「献体登録をするには」参照)、亡くなられた時、遺族あるいは関係者がその遺志にしたがって遺体を大学に提供することによって、はじめて献体が実行されることになります。

公益財団法人 日本篤志献体協会ホームページより抜粋


つまり、永代供養はお寺にお骨や位牌の供養・管理をこれから長期に渡って全面的にお願いする事。
父が供養を懇願するお寺は、奈良県にありました。ちなみに私も母も住んでいるのは愛知です。生前父にも「遠いなぁ」とか直接言ってはいたんですが、そのお寺で眠りたいと本気で思った様で、それ以上は何もこちらから言いませんでした。

献体は永眠後の遺体を大学に引き渡し、これからの医学の研究に役立ててもらう事です。
献体後1年くらいで火葬が執り行われ、その後「献体の塔」に名前を刻んでいただけます。
僅かですが、お骨も拾う事ができました。


そういった敬意を経て、父のお墓はありません。
献体は昨年無事終わりました。火葬や献体の塔での名入れ式も行い、立派な賞状もいただきました。今は実家の遺影のそばに飾ってあります。


しかしまだ永代供養はできていません。

というのも、やはり遠いんです。
お参りに行くのも容易ではありませんし、何より父が遠くに行く気がして少し母が怪訝そうな顔をしてい事もあって、決断をできずにいました。

正直、母以外の私の家族はそのお寺へ行った事がありません。母いわく高台にあって空気もいい場所だそうですが、行ってないからわかりません。
私には1人姉がいますが、姉も行った事ないそうで、写真を見せられた程度です。

という訳で、ようやく今年の5月頃レンタカーを借りて母と姉家族と共に奈良県へ。


車で2時間半くらいで到着。割と早かった。
そして山奥。急勾配で長い階段を登った先にありました。これはなかなかきつい。

登った後にはみんな膝ガクガクでヘトヘト。でもチーム孫達は元気でした。(特に我が子w)

長い階段を登り終えてお参りして休憩。

木々に囲まれていて心が落ち着きます

周りは自然に囲まれて、川のせせらぎやウグイスの声も聞こえました。
確かに空気も澄んでいる気がするし、落ち着いたいい場所だなという印象を持ちました。

父が生前ここへ来て何を感じたかは本人にしかわかりませんが、ここで眠るのは心地いいかもしれないなとは個人的に思いました。
ちょっと家からの距離が気になっていた私達でしたが、実際に見て、体感して、話し合い、父の遺言通りここへ永代供養する事に決めました。
もちろん母の了承も得ました。

…そして昨日。

胡瓜の馬で帰ってきてたのかわからないですが、一応父には報告。
遅くなって申し訳ないと言っておきました。
あとあのお寺までの長い階段を登る事の文句もw

遺影が照れた様な笑みを浮かべているので喜んでいるとは思われます。まさか亡くなってからも文句を言われるとは思ってなかったでしょうがw

来月にもう一度母と私達家族だけであのお寺へ行き永代供養の手続きをします。
またふくらはぎをパンパンにしてきますw


昨日お墓参りを終え実家へ帰省して(家から車で10分)、飾られた賞状を見ながら、今父は何を思うのか考えました。


妻を頼むと言っているのか。

何も言わずに見守っていてくれているのか。

早く供養してくれよ、と言っているのかw

わかりませんが、改めて父の死に思いを馳せる貴重な時間にはなりました。
こういう時間も大切ですね。

最後に実家で父にお供えしていた草餅を息子が食べたいと言い出しました。
いつもお餅は食べたがらないんですが、珍しい。
「じじちゃん、食べるねー!」
と言って草餅を食べる息子。

遺影が照れた様な笑みを浮かべています。まさか亡くなってからも好きなものを食べられるとは思ってなかったでしょうw

孫が喜ぶならいいでしょ。と勝手に思ってますがw



以上です。


最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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