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予期せぬ再会
私が前々回タイを旅していたのは
2024年4月だった。
バンコクは勿論チュムポーン、スラータニーや、サムイ、タオ、パンガンなど
思いのまま回っていた。
サムイ島のホステルで出会ったロシア人と
今回またハートヤイの宿で偶然にも会ってしまった。これは素敵な運命の再会ではない。
サムイ島で彼はどうやってパンガンに行けるか等と懸命に私に教えてくれ、最後はフェリー乗り場まで送ってくれた。何も特別な親密な会話もなかった。
彼はとても陽気で何だかそれが作り物の様だった。
ロシアの歴史は悲しくなるから
話さないと語った。我々日本人には
持つ事のない深い哀しみが見えた気がした。
私はその後自由に旅を続けていたが、彼からのメッセージは日に日に重たく妄想まじりになり
気が滅入る程だった。私達は完全なる友達だと
意思表示しても、何故だ!と言って暴走が止まらない。最後にアジア女は西洋人にリベンジをしている。支配されていた時代の強烈なトラウマがある等、常軌を逸し始めた。
相手にされないと暴言を吐いて自らが自らの意思で去った様なメッセージで終わりを告げた彼。
そんな狂気の世界にいる彼とまた
偶然にも会ってしまった。
彼は母国には帰らないらしい。
そんな東南アジアを放浪している人間が
たくさんいる。
旅をしていたら、気を付けていても様々な
人間に会う。
そして人間は、思いがけない一面を見せる。
それが一番の恐怖だ。
勿論わたしも色んな面がある。
人間なら当然の事。
広い世界でまた会ってしまった。
でも東南アジアを放浪している者に
とっては、私を含めそんなに驚く程の
話ではない。
母国に帰れない。
何が彼を狂気の世界の住人にしているかは
分からないが、そんな哀しい男と
再会してしまった。
そんな偶然もある。