不登校支援のゴール
前回、不登校支援がなぜ難しいか、ということについて書きました。不登校と一口で言っても、年齢や障がいのあるなし、支援対象が子ども、大人、学校などで、様々な状態があるのです、と述べました。子どもの様子が異なると「不登校」という同じキーワードで話していたつもりでも、全く異なる支援になるので、議論が噛み合わないことと多々あります。そこで、不登校支援のゴールとは何かについて、考えていきたいと思います。
1)子ども一人ひとりのゴール
多くの方がいうように、子ども一人ひとりのゴールは異なります。「学校へ行くこと」「学習をすること」「友達と仲良く過ごす」などなど。いろいろな媒体で、「不登校には、〇〇の方法がよい」という宣伝文句が怪しいと思ってしまうので、広告を読んでいる方の近くにいる不登校のお子さんの状態とあっていないからです。例えば、リモートで学校の授業を受けられますよという支援も、物理的に教室へ行けない子にはよい支援ですが、教室の雰囲気が合わないと感じている子どもには、合わない支援となるでしょう。
2)不登校支援のゴール
子ども一人ひとりにゴールは異なると言いましたが、もう少し大きい概念で考えていきたいと思います。現代において、不登校は誰にでも起こり得ることです。一人ひとりゴールは異なるといっても、大きな流れ(戦略的な)解決方法があると思います。それは、自己肯定感を高めること。
今の子どもたちは、とにかく自信がなく、失敗を極度に怖がると感じています。一方で、あるところまでいくと、ゴムが切れたようい途端に無気力になり、時には自暴自棄になることもある。また、そのような子どもの心の動きに私たち大人がついていけていないことが原因かと思います。
私は、現代の日本社会に合わせた子どもたちの自己肯定感の高め方を追求していくことが不登校支援のゴールだと思っています。自己肯定感の高め方が子ども一人ひとり異なるとの認識でいます。
3)社会の不登校支援のゴール
一番大きい概念です。なぜ、不登校が増えているのかを分析し、不登校支援を切り口に、より大きい概念に広げていくことができると思っています。教育・福祉に留まらず、引きこもりや高齢者の余生の在り方、若者の自立などに広げていくと、民間も巻き込んだ社会構造の変化へと昇華できると思っています。
今回は、不登校支援のゴールについて、述べてきました。概念を3段階に分けることで、議論の整理を試みました。一番小さい概念については、保護者、先生、デイサービスなどの子どもと直接関わる人と、真ん中の概念は、地域の支援者同士が、よりよい方法を模索する中で、一番大きい概念は、社会学や教育の研究者の間で議論し、不登校支援を社会全体で考えていきたいと思っています。
本日も、長文のお付き合いありがとうございました。