高校野球観戦記2023~選手権福島大会 学法石川vs東日本国際大学付属昌平

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選手権福島大会2回戦
学法石川vs東日本国際大学付属昌平
福島県営あずま球場
晴れ

投手
東日大昌平:石井→桑名→塚本
学法石川:国分→三上→岸波
本塁打:佐藤(学法石川)


【戦前】

 2回戦屈指の好カード。
 第二シード学法石川は、県内では屈指の名門校だが分類としては「古豪」となっているか。2018年秋に元仙台育英の佐々木順一郎監督を迎えて早4年、この代は県内では聖光学院以外には敗北なし、東北大会でも白星を挙げる等、1999年以来の甲子園が射程に入っている。
 昌平は今年の成績はパッとしないものの近年は安定して上位に進出、悲願の甲子園へあと1歩2歩といったところ。今夏限りで伊藤監督(現役時代は学法石川出身)が退任するということで、気合も入っているであろう。

球歴.com 学法石川vs東日本国際大付属昌平の出場選手

【学校プチ情報】

・両校とも私立の中高一貫校
・昌平の母体、東日本国際大学野球部は全国的に強豪で、2022年にも全国ベスト4に入っている。なお昌平高校出身の部員はHPからは確認できなかった
・スタメンは両校とも東北と関東の出身選手が半々程度。HPによれば昌平高校には体育コースがある
・学法石川は陸上(駅伝)の超強豪で男子は全国高校駅伝でも頻繁にトップ10に入る強さ。また、正月に箱根駅伝を見ていると学法石川出身のランナーがとても多く、育成力にも長けている。2023年の箱根では9人が駆け抜けた。東京五輪1万メートル代表の相沢選手も学法石川出身

【試合後の感想】

 学法石川のほうが一回り体が大きく、パワー・スピードも差があり、ワンサイドもあり得るか・・といった印象でしたが、昌平は投手陣中心に堅実な守備で粘り強く戦っていました。
 
 結果的には6回の攻防が勝負を分けた形となりました。流れが明らかに学法石川の中で、6回表の昌平2年生4番山口選手のタイムリーは見事でしたが、その後に牽制で刺されたことで流れを完全にイーブンに戻せませんでした。
 また、結果論になりますが6回裏の先頭が出た時点で塚本選手に継投できていれば、1-2点で凌げてまた違った結果になっていたかもとも感じます。ケガやスタミナ面で不安があったのかもしれません。

 学法石川は初戦の固さがあったと思われますが、選手の能力は全国的に見ても高いレベルにあると感じました。3年生が多かったため来年も同じように、と簡単にはいかないかもしれませんが古豪復活の足固めは確実になされているのでしょう

昌平は塚本投手の小気味よいピッチングと2年生4番山口捕手が印象に残りました。先発した左腕石井投手含めスタメンの半分程度は2年生だったので、山口捕手を大黒柱として、秋の大会が非常に楽しみです。

【試合経過】

【前半】

 学法石川先発の国分投手は最速147km右腕、一方昌平は2年生の左腕石井投手(ボーイズ東東京選抜)が先発。
 序盤、昌平石井投手は緩いカーブを中心にコーナーを突く投球で学法石川打線を翻弄します。
 一方昌平打線は国分投手の甘いストレートを的確に打ち返し、毎回のようにチャンスを作りますが国分投手も回を追うごとに変化球の精度が上がっていき、2回の1点以外は点を奪うことができません。
 国分投手が粘っていった事で徐々に流れは学法石川に。5回、不運な守備のミスにも乗じて学法石川が2点を取って逆転しますが、昌平は継投した桑名投手が1アウト満塁でクリーンナップを迎えてもよく2点で凌ぎました。ただ、流れは学法石川か。2-1、学法石川リードで後半へ。

【後半】

 6回、昌平は4番山口選手が国分投手の変化球をうまくライト線に運んで同点に追いつきますが、その裏、学法石川もノーアウト満塁のチャンスを作り、ここで昌平はエース塚本主将に継投。学法石川は代打佐藤選手を送ると、ここで4球目の甘く入ったストレートを振りぬきライトスタンドへのグランドスラム!!6-2と一気にリードを広げます。
 流れが学法石川なのは明らかで、このままずるずるいってしまうか・・?の予感もありましたが、塚本投手は続く1~3番を3人できっちり打ち取ります。
 塚本投手はその後もランナーを出しながらも学法石川を0店に抑え続けます。特別すごい球には見えませんでしたが、力感のないフォームからストレート、スライダー、カーブを軽快な小気味よいテンポで丁寧に投げ込み、打てそうで打てない、といったタイプのピッチャーに見えました。
 8回、昌平は7回からリリーフした学法石川三上投手・岸波投手からノーアウト満塁のチャンスを作ると、犠牲フライ2本と牽制の間のホームスチールで3点を返します。
 しかし反撃はここまで、9回は学法石川岸波投手が昌平の7番からの打順を3人で抑え、6-5で学法石川が3回戦進出を決めました

終わり

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