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凸凹の理由を考えた事があるだろうか。私もエンボスして下さい。


■はじめに


深夜。
狭いワンルームの隅っこで、タバコをぷかぷかふかしながらぼーっと天井を眺めていた。

そこにはどうしたって白とは言い難い、黄ばみを超えた茶ばみの天井が広がっていた。ゴキブリもビックリ。茶番である。

さて、一本吸い終えた私は天井の掃除を始めた。
中性洗剤を濡らしたタオルにつけてゴシゴシ擦り始めたのだ。


しかし全く落ちない。長年ニコチンにさらされ続けた天井は「これはお前の肺だ」と言わんばかりに頑固に固着している。


「クソっ、もっとツルツルな天井だったら簡単に落ちたのに。なんで凸凹なんだ」と天井に唾を吐いた。

そこでふと気が付いた。
「いや、そもそも汚れが付きやすい設計になっているはずが無いだろう。凸凹に意味があるはずである」
と。

クロス・天井の凹凸

では、天井やクロスの凸凹にどんな意味が内包されているのだろうか。

まず、凸凹になる以前のツルツルな状態から、凸凹へ加工する手順があるはずである。

その加工の名称を調べてみた。

■エンボス加工とは


どうやらそれは「エンボス加工」と言うらしい。

エンボス(emboss)は、金属板、樹脂板、紙などに凹凸を付けて文字や絵柄などを浮き彫りにする加工。特に凸面を付ける加工をエンボス加工、凹面を付ける加工をデボス加工ということもある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%82%B9

工場内での加工プロセスにおいてもビニールを加熱し、ローラーで型押しして凸凹を付けている様である。


このエンボス加工だが、その効果の多様性から建材、自動車、飛行機、おむつ、トイレットペーパー、医薬品、包装、電子機器等ほとんどの製品に利用されている様である。


例えばトイレットペーパーの場合、エンボス加工を施す事により、表面が柔らかくなり肌触りが良くなったり、凹凸による隙間がある事で吸水性がアップしたりするのである。


■壁・クロスにおけるエンボス加工効果の考察


では、壁・クロスに凸凹がある事でどんなメリットが発生するのだろうか。

エンボス加工における活用効果を参照しながら考えていく。

①遮音・吸音効果
居住に関する設備である為、当然音に関する効果だろう。
表面の凹凸で屈折・乱反射し吸音・遮音効果をもたらし、私の深夜徘徊音が隣人まで届かないのである。

②調湿効果
表面に凹凸がある事で過剰な湿度を吸着、乾燥時は放出する木材の様な調湿効果が見込める。私のプルプルな唇もこの調湿効果によるものだろう。

③防塵・カビ防止・撥水効果
凹凸により表面に埃や汚れ等の固着吸着がしにくくなる。トゲトゲしたあの娘に簡単にお近づきになれないのと同じである。ガードが堅いのだ。

④弾力性
表面の凹凸により衝撃に対して壁を保護する事が出来る。壁ドンまでは防げないが壁コンぐらいであれば守る事が可能だ。

⑤迷彩効果
仮に傷・汚れをつけてしまった場合でも、その傷が目立ちにくくなる。
追加エンボスくらいに捉えて良いだろう。

⑥触り心地の向上
ツルツルより多少の質感が合った方がそこに存在感や温かみ・高級感を持たせる事が出来る。無機質では無い、まるで木々に囲まれている様な感覚だろう。

⑦遮光・乱反射
凹凸がある事で光の反射をある程度抑える事が可能となる。ピカピカの壁・天井でも良いが、裸のオジサンに四方八方囲まれながら生活したくは無いだろう。


■まとめ


ヤニだらけの天井にある、「ただの凸凹だ」と思っていたのは私だけだった。

そこには多くの「生活しやすくする為の工夫」が詰まっていたのだ。
私もエンボス加工してもらった方が良いかもしれない。

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