ワンルームで必ず1人は死んでいる~事故物件から考える~
■はじめに
以前、下記記事で孤独死について書いた。
そしてそこで孤独死により「管理会社」や「オーナー」が損失を被ると記載した。所謂事故物件になり物件の価値が落ちる訳である。
しかし、改めて考えてみるとなぜ人が無くなった事で物件価値が落ちるのだろうか。疑問に思った。
■事故物件とは
そもそも、事故物件とは何だろうか。
その定義を確認する。
つまり何らかの要因により前居住者が死亡した場所すべてを「事故物件」と呼んでいる様だ。
なお、国土交通省が提示している「人の死の告知に関する新たなガイドライン」によると、「事故物件」とは自殺や他殺による死のほか、特殊清掃が必要になる死が発生した物件のことであり、その発生や発覚から3年が経過するまでは、入居者や入居希望者にその事実が告知されるとの事である。
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001426603.pdf
■事故物件の損失
では事故物件による損失はどの程度になるのだろうか。
上記記事によるとエリアや賃貸・売買にもよるが3割も物件価格が下落してしまうらしい。
当然、清掃費用等も含めるとさらに大きな損失になってしまうだろう。
また、事故物件を調べる事が出来る「大島てる」のサイト等が有名だが、この様なサイトに載る事も物件価格を下げる要因となっている様である。
人が亡くなる事による心理的影響とその経済的な損失は大きい。
■死の想起
さて、ではこの心理的な抵抗とはなんだろうか。
おそらくは人間の「死」が想起されるのが嫌なのだろう。
しかしながら、よくよく考えてみると今あなたが住んでいる場所は本当に「誰も亡くなっていない場所」だろうか?
■日本の死亡者数
厚生労働省の人口動態調査を確認してみると平成以降、死亡数は増加の一途を辿っている。
ざっくり平成7年~令和5年の間(28年間)を足してみると3124万人になる。
正確な数値が確認できなかったので、一旦昭和22年~平成6年の死亡数を概算する。
グラフを見るとだいたい70万人ぐらいが平均になりそうである。
ざっくりと47年間で3290万人になる。
これらを合計すると、75年間で6414万人の方が亡くなっている事になる。
■日本の可住地面積
日本の国土の面積は約37万8,000平方キロメートルあるが、可住地面積と言われる居住に利用できる土地はおよそ30%程度である。
上位サイトの統計データによると2021年の日本国内の可住地面積は122,633k㎡程度の様である。
■どこでも事故物件
ではこの122,633k㎡に人を敷き詰めてみよう。
どんなに大きな人でもだいたい1㎡内に立って入る事が出来ると仮定しよう。
この場合どれだけの人が並ぶ事が出来るだろうか。
122,63万人(1.2億人)がこの可住地面積に並ぶ事が可能になる。
さて、同じように前段で計算した75年間で6414万人の死亡者を考えてみよう。
ざっくりと半分ぐらいの人数になる。
つまり自分が立っている1㎡とその隣の1㎡どちらかで、ここ75年で誰かしらが亡くなっている事になる。
もちろん、病院や高速道路等人が亡くなりやすい場所がある事も考慮する必要があるが、正確な数値は不明である。
よってエイヤで決めてみよう。死亡場所による濃淡が10倍あるとしよう(ある公園の砂場よりある病院の椅子の方が10倍無くなっている)。
その場合、自分周囲20㎡程度の間で75年間の間誰かが亡くなっている事になる。
とするならば、20㎡程度のワンルームの空間が建っているその土地には過去75年間の間に誰かしら亡くなっていることになる。
極論だがどこでも事故物件だと言えるだろう。
■おわりに
「事故物件」への心理的影響に疑問を感じ調べてみた。
よくよく考えてみると「今あなたの周りにあるモノ、関与したモノ」そのコップだったり、朝踏んだレンガの1つだったり、触っているスマホケースだったりを作った人の事を考ると絶対に誰かしら亡くなっているはずである(海外製品も加味すると数えきれないはずだ)。
そんな人々の人生を積み上げてきた今の生活なのに、事故物件と言うだけで気持ち悪がるのはちょっと違うのかもしれない。
お化け怖い。