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美人は嫌いだ

「美人は嫌いだ」と堂々と言い放った男性がいる。
知り合いの既婚者のおじさんなのだが、
そんなレアな男性がいることに
私はひどく驚き、そして、ひどく安心した。


当時彼は50代、すらりとした体系、
癒し系フェイスで、穏やかな雰囲気をまとう
チョイ悪おじさん、とは真逆のタイプであった。
私はその場にいなかったので残念だったが
同世代の女子3名、そしておじさん1名で
ほのぼのトークをしている中、
なぜか「美人」の話になり
おじさんが「俺は美人は嫌いだ」と言ったらしく
もちろん、女子たちは、なぜだ、どうしてなんだ、
とワイワイしていたらしいが、本人は理由は話さぬまま。


その女子たちの推察によると
おそらく彼は美人の女性になにか面白くないことを
言われたか、不快な思いをしたか、
当時、お見合いもけっこうしていたようなので
そこでなにかあったかもしれない、というのだ。


その可能性が高いと勝手ながら私も思うのだが
それよりも、「美人が嫌い」なんて口にする男性を
はじめて耳にした私は、にわかに信じることができず
周りの男性に「美人は嫌いか?」と尋ねてみたが
皆一様に呆れかえった表情を浮かべ
そんなの男じゃねえ、と予想通りの反応ばかりだ。

女子からすると、「私、イケメンが嫌いなんだよね」
ということになる。
残念ながらそんな女子もレアだろう。しかし
イケメンだから好きになるわけじゃない、ここ大事。


さて、その美人嫌いのおじさんが選んだ「妻」なのだが
当然、美人ではない、ということになる。
私は彼女を知っているが
美人か、否か、あえて言うならば、「個性的」な人だ。
なにはともあれ、二人が幸せならばそれでよい。


男なるもの、美人が好きな生きもの。
しかしどのような理由であれ、その「美」を嫌う男もいる。
そんなマイノリティをきちんと貫いた勇気ある彼のことが
私はいじらしいほど好きである。
そしてレアな彼の「男気」を私だけは称え続けていきたい。残念ながら美人じゃない女として。




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