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逢えなくて、逢いたくて

人間にとって、敵か味方かわからない「河童」
全身にグリーンをまとった未知なる生物。
そんなロマン溢れる存在が気になってしかたがない。

100歳で天へと旅立った祖母は若い頃
河童と遭遇しかけた事があったそうな。

九州のとある山間部のその地域は
夕方以降に、ひと気のない場所や水場などに一人で行くと
そのまま帰ってこない住人が後を絶たなかったという。
河童が人間を引きずり込んでいるというウワサがひろがり
地域の住民は、河童の仕業だと信じ込み
母も祖母のいうことを聞いて
河童に恐怖しながら、育ったのだとか。


ある日、祖母と祖父は仕事でけわしい山道を歩いていた時、
「おーい、おーい」という声がした。
何度もその呼びかけは繰り返され、祖母は
その声が知り合いのおじさんに似ていると思ったため
おもわず返事をしたようだ。

すると祖父が
「返事をするな、あれは○○じゃねえ、河童だ」と言い
二人で足早にその場を立ち去ったらしい。
声の主の姿を見ていないので、それが河童だったかどうか
不明だが、その声は確かにしたという。

「おーい、おーい」と手招きするように
こちらを呼ぶその声は、祖母いわく
妙に甲高く、人間の声に聞こえるが
どこか違和感が残るような不思議な声だったという。

あの日、祖父が祖母を止めなければ、
もし祖母がその時、一人だったらその声のする方へ
迷うことなく行っていただろうと母に話したという。
二人をいざなっていたのは、いったい何者だったのか・・


よくTVにも、河童をとらえた映像や
実際に逢ったという人もその状況を話していたりする。
中には水場以外でも、道端や家の中でも
ばったり遭遇するという人もいるので
私もいつかその日がやってくるかもしれない。
初対面のその時は、怯むことなくこう言いたい。
心からの愛を込めて、
「はろー」







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