第23回書き出し祭り 感想 第3会場
皆様、感想が見たいと思いますので最後に細かい挨拶をさせてもらいます
3-01 片ロール令嬢のドリルは伊達じゃない
一文目からコメディをいれてくることで作品の世界観というか雰囲気を伝えようとした点は書き出しにおいて非常にいいと感じました。登場人物が多くいなる中で、明確なキーとなるワードである縦ドリルは人物以外の物語におけるパーツをイメージしやすくなる点も良かったと思います。ここから貴族間での争いに発展していくのか、楽しみです。
3-02 宵闇に焦がれて
タイトルからどちらかというと暗い雰囲気の作品かと想像していましたが、ストーリーは想像していたものとはかなり違いました。恋の話とありますがなかなか簡単に甘い展開になるようなものは難しい。困難を乗り越えていく中でどのようにそれを深めていくのかが楽しみです。
3-03 ルチーナは真実を知りたい~育ての母は無実の罪で追放された悪役令嬢でした~
こちらも複雑な作品で、娼館から令嬢とこの世の天国から地獄みたいな部分をどのように対比的に描くのかが気になります。最後の青年が母親の謎を解き明かしていく中でパートナーとなるのか、それともまた違う展開が用意されているのか、まだ明かされていることが少ない中、どのような展開を見せてくれるのか期待しております。
3-04 猫になる。君の心まであと少し
猫になるという事態を通じて、それぞれの心をみせる群像劇作品ですが、最後の文章が衝撃的でそれが良い引きになっているなと感じます。猫という要素はどこに生きてくるのか、そして君のここまであと少しというタイトルの意味は果たしてこちらの想定通りで収まるのか。とにかく最後の一文がよくきいた作品だなと思います。
3-05 魔法少女コノハラズリ☆スプリングのいない街
魔法少女の、本人じゃない話というのは珍しくて良い設定でしたね。いなくいなったということはどちらかというとダークなほうの魔法少女物でしょうか。細かい登場人物の見た目なども描写されていることで、どちらかというとアニメのような形で想像しやすいような形にされているのは、アニメ物として人気な魔法少女というジャンルを上手く生かしていると思います。
3-06 ガラスの靴のディアマンティーノ
悪魔と姉妹という一見すると悪魔が明確な適役に見えがちな所を最初から敵役ではないということを明確に台詞で表した点が良かったと思います。ディアマンティーノとミュリエルの二人で会話形式にすることでわかりやすく現在おかれている状況をすべて書き出しの中で説明しきったので、読者の継続して読み続けるかの判断を委ねることができたのもWEB形式では好印象でした。
3-07 黒幕ムーブは降りれない~災厄の元凶と呼ばれた俺は今日も今日とて暗躍する~
関西弁を使うことで、コメディ感を演出することに成功しており、展開は主人公が悪役になるという嫌われがちなところをメインの要素を別に移して嫌悪感をそこまで中心に据えないという難しいテーマの中でできることは尽くされているのが良かったと思います。まだ一人の登場人物のみなのでここからどうやって広がるのかが気になります。
3-08 昨日空が青かったから、ルカは世界を滅ぼすことにした。
あらすじの時点からただ事ではない様子を上手く演出されていると思います。SFという書き出しだけで世界観の全てを理解させるのが難しいジャンルに置いて、その緊急性や危機感の感情を煽る部分で読者の興味を引くためのカタカナとの使い分けや意図的な行間の開け方など、文章の内容以外の作り方で参考になるものが多かった書き出しでした。
3-09 鳥籠令嬢は幽鬼と踊る
ホラーとミステリーを掛け合わせた雰囲気の作品。特徴的なのが、地の文の中でも感情に関する描写と、事実を伝える描写を台詞で分断することにより読みやすくなっていると感じました。ここから過去のことを探るという中でどのようにその要素が生きてくるのか、ホラーをどのように絡ませていくのかが非常に楽しみです。
3-10 国内浄化ダーツの旅 ~放蕩第三王子一行の浄化ピクニック地は、必ず繁栄するらしい~
不遇?状況の王子が土地を反映させるという村づくりゲームのような設定の作品。ただ、その理由が生まれが遅いだけで普通に仕事はしているらしいので、嫌われる理由がないのはいいところだと思います。第3王子らしい部分をどのように要素として出していくのかが楽しみです。
3-11 おとうとに会いに行く
家族をテーマにした作品で、心情描写と情景描写のバランスが良いなと感じました。どちらかに偏ると話の進みが悪くなる中でどのようにして底をキープしていくのか。まだまだ明かされていない情報も多い中で家族間のどの部分をメインのテーマとしておくのか。楽しみにしております。
3-12 9年12組Z番 上田莉奈さんの生態調査部。
タイトルから面白そうだと感じておりましたが、ギャグテイストな中で学校という舞台での共感できる要素もある。この二つの要素をしっかりと書ききるだけでも充分に面白い作品になると思います。謎の要素をどのタイミングで明らかにして、それを引きにして連載を続けていくのか。WEB向きの作品なので続けて書いてもらえたらと思います。
3-13 紫紺の瞳は闇を視る 化け込み記者・長月千代子の大正あやかし事件録
あやかしものとして必要ないわゆるらしい描写。色や感情など少しの表現をするだけでも少し違えばなんだか変に感じてしまうところを上手く調節されているなと感じます。その中で会話文がうまくあやかし系の地の文では雰囲気が堅苦しくなりがちなところを和らげていると思います。ここからどのような事件が連続していくのか、楽しみです。
3-14 限界領主と化け物召使い
限界領主の領地再生物でしょうか。特徴的なところは主人公の周りの人物がかなり多いところ。執事やメイドのキャラクターで引っ張るのか、主人公がここからどのように個性を出して領地の再生を引っ張っていくのか、それとも徹底的にツッコミとしてやるのか。ここからの展開に期待します。
3-15 恐怖! 祠人間
祠人間や祠壊し祭りなど人の興味を引くワードを並べることで非常に好奇心をそそられます。そのワードがネタだけでは終わらずにしっかりと細かい祭りの設定などもされているのも印象が良かったです。中盤の怒涛の会話劇でスピード感をつけることにも成功していますし、もてるテクニックをすべて使われた書き出しというよくできた書き出しだと思います。
3-16 アトロポスの鋏
フリガナの使い方や短いタイトルで世界観を作ることに成功しており、この時点で一定数の読者を確保することに成功している点が書き出しとしていいと思います。話し方などからそれぞれの登場人物の癖なども少しずつ見えていて、ここから魅力的なキャラクターと物語が展開されることに期待しています。
3-17 雨の中、路地裏書店、恋の頁
少女漫画のような設定の作品で、偶然の出会いから始まる恋の味を上手く文章で出していると思います。読書の話なのか、それとも本を売る側なのか、ここから二人がどのような話題で繋がり、親愛を深めていくのかが気になります。ロマンチストな彼と、現実的な主人公の恋愛模様が楽しみです。
3-18 「推ッ忍ッッ!!!」萌えよッ!キュン死郎伝説ッッ!!
実際のライブの盛り上がりを感じるくらい、感嘆詞や行間の開けかたをこだわっている作品だと感じました。とにかく勢いを大事にしている作品で、このままのテンションで一冊分を書ききるなら心配ですが、少なくとも次の話への期待が持てるように、そのままの流れで読んでしまえそうなくらいにガンガン進むのはよくできた書き出しだと思います。
3-19 【速報】十年後の世界から来た俺が、何故か「美少女」で「勇者」だった件!
ライトノベルらしさのある作品ですね。展開から設定だけではなく、細かい文章なども慣れた方のように見えます。未来の自分は何かすごい能力を持っているみたいですが、現在の俺は普通の少年。ここから主人公がどのように、また主体的に活躍してくれるのかが楽しみです。
3-20 雄弁な子どもたちは沈黙する
過去と現在の事件がリンクするミステリーでしょうか。個人的な話で申し訳ないんですが、実際に私もこういう作品を書こうとして難しすぎて諦めた過去があるので、その題材で書き出し祭りに挑戦されているだけでも尊敬します。タイトルにもある子供たちとは過去の子供でしょうか、それとも現在大人になった彼らを指すのでしょうか。文章内でもいろいろと不可解な点や登場人物の思考が見えますので、それらが事件の解決にどのような影響を与えるのか、非常に気になります。
3-21 となりのサキュバス~JKでもオトナの小説で世界を取りたいです!~
良い意味でふざけ切っているのが良いと思います。なかなかメジェド様もおかしいですが、主人公もツッコミながらどんどん流されているのはギャグマンガなどの定番というか、ストーリーの進行とおふざけのバランス、まあストーリーの内容もふざけているので良いテーマにされたと感じました。期待しております。
3-22 声の波間をおよいでく
主人公に対する解像度を非常にあげてくれる書き出しだったと思います。おそらく普通はそこまで情報を細かく描写しないというところまで細かい設定を出すことで、主人公の持つ悩みやマイナスの感情への共感させることに成功しているため、ここからどのようにして音楽が彼女を救ってくれることになるのかが楽しみです。
3-23 ユーフォリアに感傷を
感情を直接的に言葉で表現するのではなく、動作の中で、あるいは景色の中で表現されていたのがお洒落な書き方だと感じました。タイトルからもわかるように人の心に寄り添う作風に非常にマッチしていると思います。ここから他の作品とどの点で差別化をされるのかが気になります。
3-24 伝説の戦士、再就職する
異世界もので重要な、主人公がもともと強いということを往年の仲間が学校の理事長をしているなど細かい点から間接的にアピールしてきたところがとても好きです。ここから先生となるにはそもそも主人公の性格にも多少の難がありそうですが、その中でどのような問題が起こりそれを解決することで主人公と生徒が成長していくのか、そういうものをみられたら面白いなと思います。
3-25 鬼崎君と見えちゃう私
いわゆる不良と普通の女の子ものの変化形で、共通の秘密という男女の仲を深める要素が既に示唆されていることは書き出しとしてこの先の展開にスピード感をもたせてくれるため、特にスピードが求められるWEBの書き出しとして良いなと思いました。ここから二人がどのようなイベントを経て仲を深めていくのかが気になります。
最後にご挨拶
さて、ここまで長々と読んでいただきありがとうございました。以前から知っていただいている方にはご存じだと思いますがそこまで実績があるわけでもなく、前回の参加した書き出し祭りでも結果を出したわけではないので話半分にきいてもらえると嬉しいと思います。
第4会場は10日中に出す予定です