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少子化対策のため男はブスを抱かなければならない法

〇美男美女税という考え

 古代ギリシアにて、男性たちに政治の場から排除された女性たちが議会を占拠し「男は美女を抱く前に醜女を抱かなければならない」という法律を成立させました。

 この法律ができて、とある「醜い老婆」が美女と一緒にいた美男を連れ去り意気揚々とどこかでことに及ぼうとしていると前から「もっと醜い老婆」が獲物を横取りしようと向かってきた。

 上記はもちろんフィクションでアリストパネスの「女の議会」という劇の一幕です。

 容姿で社会生活において損している人に容姿の優れている人から得した分を補償させるという考えは古代からあるようで、いわゆる美男美女税という考えです。ルックスがいい人はいろいろと得をする。恋愛や結婚だけでなく就職や出世においても有利になり、結果として生涯賃金にも差が出てくる。そういうデータを集めた経済学の論文がいくつもあるそうです。見た目でいい思いをしている(金銭的な利益を得ている)人から高い税金を取り立てて、世間のルッキズムによって見た目で損をしている、見た目があれなので就職できない、恋人ができない、結婚できない、出世できない人たちに金銭補償して公正公平な社会を実現する。

〇美男美女税の課税対象者は

 美男美女でも年を取れば皺ができ髪も薄くなるので、若い人から美男美女税を徴収することが想定されると思います。しかし若い人、特に社会に出たばかりの20代くらいの社会人などは給料や資産にそれほど差がないのです。その段階で美男美女だから税金を高くする、というのはおかしな話です。
結果としてイケメン美女は生涯賃金が多いとしても、統計的に生涯賃金が高い人が多いというだけでルックスの良さが賃金や出世に結びつかない人も当たり前ですがいるわけです。高い税金を払ったあげく生涯賃金も高くなかったら踏んだり蹴ったりです。

 かつて終戦後、ソ連が満州に攻め込んできたときに若い日本人女性はみな汚い服を着て顔に泥を塗りソ連兵にレイプされないようにしていたそうです。美男美女税がもし出来たら徴収判定の際に提出する証明写真をいかに醜く映らせるかという技術が発達するかと思います。

 もしイケメン認定される割合が韓国出身の人のほうが多い、みたいなことになったらどうなるのでしょう。いや韓国の人はイケメンが多いから、で済むのか。美男美女税の名の民族差別ではないのか。
イケメン認定のAI画像判定のパラメータに韓国人によくある顔の特徴を盛り込めば韓国出身の方に高い税金を課すことができます。顔で苦労される人を助ける名のもとでとんでもないことを引き起こすリスクがあります
(少なくとも高身長はパラメータに確実に入ってくるはずです。その結果平均身長は低下するでしょう。これを低身長の人が劣等感を抱かなくなる世の中になった、と喜ぶべきでしょうか)

 また「あなたをキモイ男orブス女認定します。顔の醜さは障碍だから生涯苦労するはずだから税金で優遇します」というのは認定された本人にとっていいことなのだろうかという面もあります。
(飲み会で会社の同僚に「俺は顔がキモイから結婚できない」と自分でいうのはいいけど同僚に「そうだ、お前は顔がキモイから結婚できない」と言われたら大喧嘩となるでしょう)

 美男美女のほうがそうでない人たちより生涯賃金や出世に差があるということはいろいろ考えさせられます。しかしそれを強制的に矯正し是正しなければならない、とまじめに税制度や社会保障に反映させるべきものではないと思います。

 社会保障において弱者救済とは税金を公平に徴収したうえで、今時点の資産や収入で生活が困難なひとのステータスに応じて提供されるべきです。見た目がいい、という属性から予測される生涯賃金をもとに税金を取るなどの負担を強いる、見た目が悪いからお金がもらえる、というのは歪んだ到底受け入れられない発想だと思うのです。

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