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ボクの友達は変わっている#3
「おばちゃん、子ブタメン1個ください!」
「はいよ、今日も買い食いかい?ちゃんとお家のご飯も残さず食べるんだよ」
ツヨシは帰り道に、駄菓子屋さんで買い食いをするのが楽しみなのだ。
「そんなの当たり前だよ~。帰り道におばちゃんの子ブタメンを食べるのが、ボクのマイブームなんだ。」
「なにもおばちゃんが作ってる訳じゃないんだよ。まぁ、そう言われるのは嬉しいけどね。」
おばちゃんは子ブタメンにお湯を入れて渡してあげた。
「わーい、ありがとう!」
ツヨシは子ブタメンを受けとると、店先のベンチに座って、嬉しそうにズルズル言わし始めた。
「まーたなんか食べてる」
「んん?」
麺をすすったまま顔を上げると、鉄郎が呆れた表情でこっちを見ていた。
「鉄郎くん!鉄郎くんも買い食い?」
「なんでだよ。たまたま帰り道に通っただけ。」
そう言うと鉄郎はツヨシの隣に腰かけた。
「それよりさ、クラス会で演劇なんて、面倒なことになったもんだよ。西田のやつ、きっと何も考えないで発案したんだ。」
鉄郎は演劇が嫌なようで、ツヨシに愚痴り始めた。
「演劇か~、何するんだろうね。フードファイターの物語なら、ボク主役がいいよ!」
ツヨシはゴクっと汁を飲み干して、満足げな顔で言った。
「ほんとに、食べることばっかじゃん。演劇なんて、役を決めたり、小道具作ったり、練習したり、やること一杯で大変なんだよ。」
「鉄郎くんて物知りだね。でもクラスのみんなでやるんだから、きっと何とかなるよ。」
楽観的なツヨシを見て、鉄郎は少し気が抜けたように笑った。
「おーい!ツヨシに鉄郎!二人で遊んでるのか?」
ゆうこがめぐむの手を引きながら、歩いてきた。
「うわっ、西田。それと…南原は…歩きながら寝てるのか?」
めぐむはウトウト居眠りをしながら歩いていた。
「うわっとは何だ!帰る途中で、めぐむが寝ながら歩いてたから、家まで送ってやる途中なんだ。二人は何してたんだ?あ、まさか買い食いか?」
「ちちち、違うよー!」
ゆうこに怪しまれ、ツヨシはギクッとして慌てて否定する。
「北島が歩き疲れたから、座ってただけだよ。」
鉄郎のナイスフォローにツヨシはホッと一安心した。
「じゃあ、アタシらも座ろー!」
ゆうことめぐむは隣のベンチに腰かけた。
「はぁ、それより西田、なんで演劇なんかやりたいんだよ。」
「えーー!いいじゃん!ヒーローものとかカッコいいのやりたい!正義の味方が、悪い怪人をやっつけるんだ!」
そう言うとゆうこは立ち上がって、戦隊物のポーズを決めた。
「戦隊ものかよ。そんなの、小道具とか衣装の準備が大変じゃん。」
小道具と言う言葉に、めぐむはピクッと反応して目を覚ました。
「…小道具、戦隊ヒーローもの…、面白そうだね。」
「あ、めぐむちゃん、起きたんだ。おはよー」
ツヨシが挨拶し、めぐむはコクっと頷いた。
「わたしに任せて。すごいの作るよ。」
にやりと笑うめぐむに、ツヨシとゆうこは「おおーー」と拍手をする。
「はぁ、大丈夫かよ。」と鉄郎はさらに面倒な事になったと思うのであった。
次のホームルーム。
演目はゆうこの希望通り、戦隊ヒーローものに決まった。
「じゃあ、演目は戦隊ヒーローに決まったわけですが、配役を決めたいと思います。」
「まずは、主役のヒーロー5人だけど、誰かやりたい人は?」
「はいはーい!アタシやりたい!」
もちろんだが、ゆうこが真っ先に手を挙げた。続いて、活発な3人の男の子が「オレもやりたい!」と手を挙げる。
「はい、西田さんね…。あと1人ですが、誰かいますか?」
先生が黒板に配役を書きながら進行する。
しばらく、誰も手を挙げずにいると、「鉄郎くんがいいと思います!」とゆうこが鉄郎を推薦した。
「はあ!?なんで!?」
動揺する鉄郎がゆうこの方を見ると、ゆうこはニコニコと鉄郎の方を見ていた。
「…東くんですね、はいじゃあ主役は決まりと言うことで、次は悪役側の配役ですが、誰かやりたい人はいますか?」
否定する間もなく、めんどくさいのか先生は淡々と進めていく。
そんな時、ツヨシはふと右脇が痒くなり、右手を挙げて脇を掻き始めた。
「はい、じゃあ悪役は北島くんね。」
「え??何が??悪役?」
ツヨシは全く話を聞いていなかったようだ。
その後も脇役などの配役が決まり、めぐむは本人の熱い希望で、小道具担当になった。
「ふっふっふ…、どんな感じにしようかなー」
めぐむは珍しくぱっちり目を開けて起きており、早くもイメージをノートに書き込んでいた。
つづく