弾丸京都旅
思い立って、京都に向かった。
コロナ感染とウィルスからの結膜炎で、約一週間お休みした。久しぶりの出勤で、急ぎの案件に集中した。心なしか気持ちも落ち着いて、冷静だった。いつもと変わらぬ職場環境。同僚や上司のやりとり。お休みする前と何ら変わらず。仕事をこなしながら、視線はPCであるがココロは周囲を観察していた。
何かがプチッと切れて、ココロの中でつぶやいた「もームリだ。」週末、京都に行こうと決めた。早朝の新幹線なら当日券でいいだろうと思った。京都にいる友人に、その旨伝えると「帰省ラッシュだよ。席の確認した方がいいよ。」と言われ、仕事帰りにみどりの窓口に寄った。出発日時を伝えると「帰省ラッシュで、みなさん1ヶ月前からご予約されてる日ですからね。」と空席確認をしてくれた。1回目は席がなかったが、2回目に確認してくれた時に、たまたまキャンセルが出たようで1席見つかった。往復のチケットを購入した。出発までの2日間は、京都のことだけを考えて過ごした。
安井金比羅宮
なぜ京都だったのかというと、何年も前だが、友人が安井金比羅宮に縁切りに行った話を思い出したためである。願い事は叶ったと言っていた。仕事をしながら、そこへ行くしかないと思った。縁切り内容については、また別の機会で記録しようと思う。
出発当日。週末の早朝であるにもかかわらず電車は混んでいる。そうか、帰省ラッシュだった。東京駅に着くと、さらに大混雑。その上、新幹線に遅れが出ていた。30分程の遅れで、無事出発した。ほぼ100%乗車率の新幹線は初めて。たまたまだが、帰省ラッシュに合わせて旅に出ることになってしまった。
京都駅では友人が待っていてくれた。日帰りのため、スムーズな移動スケジュールを考えてくれていた。すぐに安井金比羅宮へ向かう。長年の友人であるため、安心する。縁切り内容には触れずに、最近の出来事を報告し合い盛り上がった。縁切りというだけに、暗い重いイメージを抱いて鳥居をくぐった。参道はサッパリしていて明るい印象。友人曰く「以前はもっと古かったけど、綺麗になっている。観光地化しているみたいだね。」とのこと。さらに進むと、かなり混雑している。そんなに広くない敷地内で、行列ができている。縁結び効果もあるらしいので、そこを願いに来ている人もいるようだ。
まずは手と口を清めた。次にお札を購入して願いを書く。そのお札を持って、願いを念じながら、縁切り・縁結び石をくぐる。そして、そのお札を糊で石に貼り付ける。念のため絵馬も書いてきた。お守りは、どれが良いか迷ったが、縁切りと縁結びとセットになったものを購入した。
参拝方法が分からなかったので、友人に教えてもらいながら、一連を終えた。願いは念じたが、もっと詳しく、さらに念を込めた方が良かったのではないかと、終えてから思った。が、目的は終えた。あっとゆうまであったが、達成された。
友人が安井金比羅宮を調べ直した時に、他にも縁切りを見つけたと言うので、もぅ一箇所の縁切りに行くことにした。
菊野大明神
安井金比羅宮からバスに乗り、菊野大明神へ向かった。繁華街から離れ、閑散としたビル群の中で下車した。ビルの間に看板が建てられていたので、入口に気づいたが、それがなければ気づかずに通り過ぎてしまいそうだ。
安井金比羅宮とは違い、とてもひっそりとしていた。進むと、時代が止まっているかのような、そんな殺風景な空間であった。令和の空気ではない、昭和、、とも思える景色。どうして良いか分からず、立ち止まり、目で受付を探す。
左奥に受付らしい表示があり、向かう。受付の小さな小窓を開け小声で「すみませーん」と声をかけると、女性が来てくれた。縁切りセットを購入したいと伝える。蝋燭・お線香・かわらけ・お札が渡される。蝋燭とお線香は何となくわかるが、かわらけとお札をどうするのか確認したく、質問すると「奥に行けばわかります」とだけ言われた。なんとなく、質問できる雰囲気ではなく、そのまま奥へ進んだ。
確かに手順が書かれた表示はあった。奥には私たちの他に、ご夫婦かと思われる方が一組いた。お願いの手順を見ながら進めるのだが、なんというか、寒さとその場の雰囲気に緊張してしまい、落ち着いていられない。蝋燭を立てるのも、マッチを使用するのだが、使い慣れていないのと、緊張でドキドキしているのと、寒さとが合わさり、マッチのお尻側を何度も擦っていることに気づけないほどであった。側で友人が見守ってくれていたので、まだ心強かったが、一人では心細く引き返してしまったかもしれない。ぎこちない一連を終えて、菊野大明神を後にした。あの空間だけ、時が止まっているかのようだった。
令和のビル群の街に戻ってから、友人とその場の感想を話した。無駄話できる空気ではなかったね、と。
帰宅後に落ち着いて菊野大明神のことを検索してみた。どうやら、お守りが購入できたらしい。おみくじもあったらしい。しかも、おみくじは無料。どこにあったのだろうかと、あの時のことを思い返してみるが、寒くて暗くて怖くてドキドキして緊張して、じっくり周りを観察する余裕なんて全くなかった。お守りは受付だろうとは思うが、帰り際に再び「すみませーん」と声をかけるのは躊躇してしまうだろう。
お守りは購入できなかったが、十分である。
安井金比羅宮と菊野大明神については、願い事が叶えられたら、必ずお礼参りに行く。その時は、またここで報告しようと思う。
その後は、暖かいお店に入り、夕方であったがランチをして、京都ならではのお土産を購入。お買い物は楽しい。今はコロナの後遺症で嗅覚・味覚がまだ戻らないため、すべてを全開で美味しく感じられなかったのは残念であるが、今回の目的は果たせた。
帰りは、朝の新幹線の遅れが影響していたが、無事に帰宅した。
あっという間の京都旅だった。
今回、突発の京都訪問だったにもかかわらず、スケジュールをたてて一日付き合ってくれた友人に本当に感謝している。一人では、京都府内の複雑なバス乗り換えはできずに、大変な思いをして、時間もかかってしまっただろうと思う。いつもありがとう。今度はおいしいコーヒーを一緒に飲もう。