父の声
やはり気になって父に電話をした。
喜ばしいことに電話に出てくれて、元気の確認が取れて安堵。
声を聞いてこんなに嬉しい人が居る人生の、なんと嬉しいことか。
彼岸の頃にそちらへ出向く旨伝えれば「はいよはいよ」と気楽な返答だ。
思い詰めたり、気を揉んだりするのは、私の持つ癖の中でもとりわけ厄介なやつだ。
これをどうにか飼い慣らそうと頑張った時期もあるけれど、今となっては「それはそれで仕方がないじゃないか」と、とうの昔に諦めている。
それも抱えての私だもの。大事に抱えているしかなかろう。
父は元気な様子で幸せが溢れるような豊かな声で私を労った。
そのつもりはなかったかもしれないが、私は充分に労われた満足があり嬉しかった。
そう、私はとても嬉しかったのだ。