【タル空】伸びゆく

伸びをしていたら油断しすぎて、声が出てしまう空くん、それをタルタリヤに聞かれるお話です。

参考資料

・空くんの伸びをする待機モーション


塵歌壺の書斎にて。

パタン

「ふぅ……。」

カチャ

本を閉じた空は、ひと息吐いてから、かけていた黒縁眼鏡を外した(空の視力は良好であるが、所謂気分として時折かけることがあるのだ)。最近、冒険をしていた先で手に入れた書籍が溜まっていたので、一気に読んでいたのである。

キョロキョロ

「誰もいないな…。」

辺りを見渡して、誰もいないことを確認する。そして…

ぐっ…

「んっ……、ふ、にゃぁあああぁぁぁ……、はっ…。」

思いっきり伸びをした。

いつもと比べて、かなり勢いを入れて伸びをした気がする。

その証拠に思わず出た声が、まるで、ディオナのようになってしまった。

伸びをすると声が出るのは、縮こまっていたことで肺に溜まっていた空気が一気に押し出される為だと言われている。

しかし、この空間には、空以外、誰もいないので気にしないことにする。

…と、思っていたのだが………。

ガタッ

「えっ?」

「…あ、ははは。やぁ、空…。」

物音に振り向くと、開けられた扉のすぐそばに立つタルタリヤの姿があった。

「タ、タルタリヤ…。今の聞いて、いたのか…?」

タルタリヤが聞いていなかったことに一縷の望みをかけて、空は恐る恐る問いかける。しかし…

「さ、さぁ…? 何のことだか…。」

上擦った声で、あからさまに目を泳がせるタルタリヤの様子に、希望が打ち砕かれた気持ちになった。

タルタリヤは、ファデュイの執行官、という陰謀や欺きが日常茶飯事のような立場にいながら、彼自身は、嘘をつくことや誤魔化し方が下手なのである。

つまり、タルタリヤの反応を見れば、答えは明白であり空の伸びをした時の気の抜けた声はバッチリ聞いていたようだ。

カァァァッ
「〜〜〜っっっ、い、今のは忘れろ!!」

「う、うん。忘れたよ〜………。」

「その割には、思いっきり目を逸らしているな?!」

「そんなことないよ〜。」

「いいから今すぐ忘れろーーー!!!」

思いっきり気の抜いた瞬間をバッチリ見られた恥ずかしさに、混乱する空とそれを宥めるタルタリヤ。

そんなやり取りをする2人の姿があったという。

-END-

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