【タル空】噛み噛み…
草晶蝶が上手く言えなくて噛み噛みな空くんとその様子を楽しむタルタリヤのお話です。
塵歌壺にて。
「この風晶蝶はモンドで捕まえたんだ。」
「確かに、モンドでよく見るね。」
ひらひらと舞う風晶蝶に対して、タルタリヤが疑問を溢したのを皮切りに、捕まえた経緯も兼ねて、空は語っていた。
「ん? この緑色の蝶は初めて見るな…。」
「あぁ、それは…
そ…、こほん、緑色の蝶だ。」
(そ…??)
疑問の言葉を溢したタルタリヤに対して、空は、何かをいいかけてから、咳払いをして誤魔化してから、タルタリヤが言ったように"緑色の蝶"の述べた。
「空〜? ちゃんと言ってくれないと分からないな〜??」
「えっ、まさか、正式名称を知っているのか?!」
「え? 緑色の蝶じゃないの??」
「なっ…?! お前、嵌めたのか…?!」
タルタリヤの言葉に反応した空であるが、それ以上に驚いた様子のタルタリヤにツッコミを入れた。
「え〜? 俺は、空がさっき何かを言いかけてたから気になっただけだよ〜??」
ガクッ
(完全に嵌められた…!!)
さらに続けられた言葉に、タルタリヤの思う壺であったことを悟った空は肩を落とした。
「………分かった。」
スッ
(え、何で立ち方を変えたんだろう…?)
スゥッ…
そして、これ以上は言い逃れできないことを悟った空は意を決したように立ち方を変えた…。所謂、仁王立ちに構え直した空の様子に疑問符を浮かべるタルタリヤだが、それに構わず空は深呼吸をする。
そして…
「しょ、しょうしょうちょう、だ!!!」
ポカーン…
「…………。」
大声で、正式名称である"草晶蝶"を叫んだ。
しかし、盛大に噛みまくってしまった空に、タルタリヤは拍子抜けをした様子である。
スッ
「………だから、言いたくなかったんだ…。」
シューー……
盛大に噛んだこととタルタリヤの呆気に取られた様子に、両手で顔を覆いながら空は言い訳をするように言葉を紡いだ。
心なしか、露わになっている耳や首元がほんのりと赤くなって、頭から湯気を出しているように見える。
「な、なんか、ご、ごめんね…?」
(………次は、また違う言葉を言わせてみたいな…)
その様子に、口では謝りながらも、あまりにも可愛らしいので、またの機会に別の噛みそうな言葉を言ってもらおう、とよこしまなことを考えるタルタリヤであった。
-END-