彼の地にて…

輝く星々Vol.2 キービジュアルの双子ちゃん達があまりにも尊くて思い浮かんだお話です。
ホント、尊すぎてやばいです…(´;Д;`)
↑語彙力もやばい

めっちゃ短いです。
全体的にポエミーな雰囲気かもしれないです。
空くん視点を基準にしていますが、名前を入れ替えたり、展開を少し変えれば、蛍ちゃん視点にも出来ると思います。

※双子ちゃんが同時に眠る時に、キービジュアルのあの花畑にいる設定です
・最後に匂わせる程度にダイン登場

参考資料
・公式イラスト 花海双星
・公式PV『テイワット』メインストーリーチャプターPV「足跡」
・輝く星々Vol.2 キービジュアル


※初出 2022年2月22日 pixiv


海のように澄み渡る青空。
煌めきが止まない星々。

そして地平線の彼方まで続く白い花畑。
その様はまるで海のようであった。

花畑にある花を踏まないように歩くのは、長い金髪を三つ編みにした少年、空であった。

歩いている中で空はある確信があった。

(これは…、夢だ…)

以前、鍾離から聞いたことを思い出していた。夢だと自覚がある夢、明晰夢と呼ばれるものがあるのだと。空の置かれている状況、それが今まさにそれであった。

地を着く足には、花が当たっているはずなのに、感触はなくこんなに花が咲き乱れた花畑であるにも関わらず花の匂いや風に揺れて花が擦れる音も感じない。しかし、意識だけは妙にはっきりとしているのだ。

ふと、視界に白い人影が映る。

薄いレモンイエローに近い淡い色合いの金髪。
ショートヘアーながらもみあげ部分の髪が少し長い独特な髪。
向かって左に挿された花弁の1枚が水色をしている二輪の花飾り。
そして、空とは対照的な白い服装…。

(蛍………!!)

白い人影…それは、空の双子の妹である蛍だった。空を見つけた瞬間、しゃがみ込んで手招きをする。疑問符を浮かべながらも手招きされるままに、蛍の居る場所まで歩いて花畑に腰を下ろす。すると、頭に花冠を乗せられた。戸惑う空を他所に、蛍は嬉しそうに口元を綻ばせている…ように見えた。

(俺には似合わないよ)

そう言葉にしたいのだが、口に出すことはできない。なので、代わりに首を横に振ると、その動きが移ったように、蛍も首を横に振る。まるでそんなことないよ、と言っているようだ。

(これは蛍の方が似合うよ)

そう思って蛍の分の花冠を作ろうと花に手を伸ばす。だが、伸ばしかけてふと手を止めた。蛍の髪飾りに似ている為か、この手で花を手折ってしまうのが、何だかひどく後ろめたくなってしまったのだ。

そんな空の手に、そっと蛍の手が添えられた。その意図を確かめようと、見上げて蛍の顔を見ようとする。だが、夢の中である為か動きがゆっくりで、たったそれだけの動作にひどく時間がかかってしまう。

ようやく蛍の顔が見られる、というところで…。

パチッ
「………。」

目が覚めてしまった。

塵歌壺内での部屋のベッドにて。

まるで、スイッチが切り替わるように、意識が現実へと引き戻される。

「夢……か…。」
モゾリ…

その感覚に、空はベッドから起きあがろうとすると…

ポタッ
「…?」

頰を伝う雫、それがベッドのシーツに跡を残しているのに気付いた。頬に右手を当てて確認すると、それはいつの間にか流していた涙であった。

蛍に再会できた喜びの涙なのか。
それとも離れてしまった寂しさの涙なのか。
はたまた両方であるのか…。

その答えは空にも分からなかった。

同時刻。

アビス教団の潜伏する建物内にある一室にて。

ムクッ
「………。」

天蓋付きのベッドから起き上がった蛍は、まだ焦点の定まらない目で虚空を見つめた。

奇しくも蛍も空と同じ夢を見ていたのだ。

真っ白な花が咲く花畑に佇む空に、花冠を渡す。照れ臭そうに笑っていた、ように見えたが、実際のところ表情はよく見えなかった。

そして、蛍のために、といわんばかりに花冠を作ろうと花に手を伸ばすも何やら躊躇していた。だが、蛍は髪の右側に着けた花飾りがあるから大丈夫、という意味を込めて手を添えれば、気付いた空が顔を上げようとした。

お互い顔を合わせて苦笑いをする…。

それを想定していたはずなのに、突如眩い白光に遮られたまま起きてしまい現在に至る。

「お兄ちゃん…。」
ポタッ

窓を見つめながら、無意識のうちに流れた涙をひとしずく、ベッドのシーツが溢れる。蛍はひと言呟きながら、左手の人差し指で、跡をなぞった。

まるで、離れ離れの兄、空を、今見つめている窓の向こうに映る空へと重ねて…。

気配を感じて、彷徨いゆく者は星空を見上げる。

移ろいゆく空。
その合間を雲がひどく速く流れてゆく。

それは、星の瞬きさえも刹那に消えゆく錯覚に陥る。

不思議なことに、双子の閃光星が同じ夢…、彼の地の花畑を見ている時に限りその気配を察知できるのだ。

これも、その片割れと共に旅した影響なのか。

はたまた、この彷徨いゆく者の密かなる願望なのか…。

それは、神でさえ知ることができないことだ。だが、これだけはほとんどの記憶を無くしたこの者も覚えている。

かつて共に旅した片割れが、その花がひどく好きだということを。

-END-


あとがき兼補足説明

今回のお話では、空くんと蛍ちゃんは同時に眠っている時に、キービジュアルの花海双星、もしくはPV『足跡』に出てくるあの花畑の夢を見られる設定にしています。どちらかが目覚めれば強制的にその夢は終わる感じにもしています。双子なので、離れていても何かしら繋がりがある感じを書きたいと思いました。

あの尊すぎるキービジュアルを活かせるお話を書きたいと思っていた時に、輝く星々Vol.2の寄り添う双子ちゃんのキービジュアルを見て、まるで眠りながらも、お互いの身を案じているように見て、これだ…!!と思いついたら筆が進んでいました_φ(・_・

また、それをダインも察知することができる、という設定も取り入れています。かつて蛍ちゃんor空くんと旅をしたダインなら、もしかしたら感知するかも…?というのが半分、もう半分が、昔は仲良さげな雰囲気を醸し出していたので出来るでしょ!という願望も込みですww←

ここまで読んでいただきありがとうございます!

おまけもご用意したので、よろしければそちらもどうぞ!!↓


おまけ

1.気になる格好
ちょっと口喧嘩している?双子ちゃん←

「蛍! またそんな背中丸出しの格好して!! これを羽織れ!!」
バサッ

そう言って、空はケープを取り出した。蛍の服装に合いそうな真っ白なケープだ。

「大丈夫だって!! それよりお兄ちゃんの方が、お腹丸出しじゃない!!」

しかし、この服装が気に入っている蛍も譲る気配はない。

「俺はいいんだよ!!」

「何でよ!!」

「何で、って…

俺は鍛えているから平気だ!!」
ドーン

「…っていう、昔、そんなやりとりをした夢を見たよ……。」
しみじみ

「おい! 鍛えてるからってどうにかなるもんなのかよ!?」

「何とかなる、って思ったんだよ。そしたら蛍も対抗して、じゃあ私も鍛えるから!!って言うもんだから、全力で止めたけど…。」

「…お前と妹さん、張り合う論点までそっくりなんだな………。」

空が見た夢の話を聞いているうちに、苦笑いするパイモンであった。

一方、蛍はくしゃみをして、誰か噂しているのかな…? と首を傾げていたという。

-END-

2.違う装い
エイプリルフールでの衣装交換した双子ちゃん達
※ナチュラルに空くん女装
ギャグ寄り
タルタリヤとダインあり

「私がお兄ちゃんの格好をするなんて…。何だか新鮮!!」
(お腹が…、いつもこの格好のお兄ちゃん、凄いな……)

「そ、そうか。俺も、まさか蛍の格好をする日が来るとはな……。」
(背中も下もスースーするな…、蛍、やっぱり身体を冷やさない方がいいんじゃないか……?)

蛍と空は、お互いの衣装を交換して着ていた。しかし、着なれない為かギクシャクしている。

「へぇ? なかなか似合ってるじゃないか。」

「タルタリヤ?!!」

「ふむ。それには、俺も同意する。」

「ダイン!??」

いつの間にか2人の元へタルタリヤとダインスレイヴが来ていた。驚く空と蛍を他所に、普段とは違う装いを観察していたタルタリヤはひと言呟いた。

「それにしても…

こうして見ると、双子は双子でもまるで姉、弟、って感じだね!!」

「「なっ…?!」」

「確かにそう見えなくもないな…。」

タルタリヤのひと言。
それに同意するように頷くダインスレイヴ。

絶句していた2人は、肩を戦慄かせて…

「ぜっ………」

「「全然違ぁう!!」」
ガバァッ!

そう叫んだ。

「って夢か………。」

叫びながら飛び起きた空は、どうやら先程のやり取りは夢だったということに気付いた。しかし、何故だか複雑な気持ちになった。

その頃、蛍も同じ夢を見ていたので飛び起きたのだという。

-END-

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