驟雨に思い馳せゆく
タルタリヤのことを無自覚に心配する空くんのお話です…。
空くんの独自気味で、タルタリヤの出番がなさそうであります(ラー油みたいに言うな)
短めです。
※魔神任務"ゆえなく煙る霧雨のように"の内容を含みますので、クリア後閲覧推奨です。
クリア前に読んでしまっても苦情は受け付けないのでご了承下さい。
色々と衝撃的な展開だったので、散文気味&まとめられていない感あります…。
・時系列としては、ヌーさん(ヌヴィレットをそう呼んでいます)の話を聞いた後の夜です。フォンテーヌの街にあるベンチに腰掛けている
*タイトルの驟雨は"しゅうう"と読み、にわか雨の別名になります。
参考資料
・魔神任務"ゆえなく煙る霧雨のように"
・魔神任務 璃月編
フォンテーヌ ヴァザーリ回廊にて。
憂いを帯びた表情をしているのは、長い金髪を三つ編みにした旅人の少年、空である。
ハァ…
(結局、預かりっぱなしになったな………)
ベンチに座り込んだ空は、ある一点を見つめて重いため息を吐いた。
見つめている一点…。
その場所である空の右手には、タルタリヤの神の目が鎮座していた。
つい数日前まで、久しぶりの再会を経て、タルタリヤと言葉を交わし合ったのが、今では遠い昔の出来事のように感じる。もしかしたら、今までの出来事は全て夢だったのではないか、と思ってしまうほどだ。
しかし、空の手の中にある主の元を離れて沈黙する水元素の神の目の存在が、空を現実へと引き戻していく。
"連続少女失踪事件"。
シャルロットから話を聞いたことで知ったその事件は、遡ること二十年前からフォンテーヌを騒がせている未解決事件であった。
その犯人として、何故だかタルタリヤが告発されてしまったのだ。
その言伝は、フォンテーヌで知り合った友人であるナヴィアと共に、彼女の亡き父カーレスの濡れ衣を晴らすために調査をしていた自分達にとっては、まさに寝耳に水であった。
ナヴィアは側近であるマルシラックとシルヴァと共にエピクレシス歌劇場へ赴き、空とパイモンは、真犯人が原始胎海の水を利用して製造していたという"ロシ"の製造現場に赴く…。
そうして二手に分かれて行動した後、ついに真犯人を特定して、当時の真相を白日の下に晒すことができたのだ。
長年未解決だった"連続少女失踪事件"が解決すると同時に、カーレスの濡れ衣を証明できたナヴィアが胸を撫で下ろす一方で、告発されて容疑をかけられたタルタリヤに対して、最高裁判官であるヌヴィレット自身は無罪と判断していた。
しかし、諭示裁定カーディナルの下した判決は…
有罪であった。
結果に納得がいかないタルタリヤは、邪眼によって雷元素を纏った後、警備ロボを押し除けるように暴れ回っていた。だが、キリがないと判断したタルタリヤは魔王武装を纏おうとしたが、その直前に、ヌヴィレットに伸されてしまい、冤罪かどうか調査が終わるまで、メロピデ要塞で待機することとなったのだ。
(あの光景が…、頭から離れない)
ギュゥッ…
その時のことを思い出して、空は神の目を強く握り締める。銀縁飾りで彩られたやや鋭い装飾が手に食い込んで痛んだ。だが、今の空にとってそれは重要ではない。
無論、ヌヴィレットの思ってもみなかった強さにもよるものもあるが、邪眼を使って普段よりも強くなったタルタリヤがぐったりと横たわる姿は、あまりにも見慣れないものであった。
邪眼を使って、魔王武装を纏う直前であることも重なったのであろうが、その姿が魔王武装を酷使し過ぎた結果として、辿る末路の姿のようにしか見えなかったのだ。
パイモンが言っていたように"いつかこうなる"、つまり、タルタリヤがファデュイの執行官としての行動にいつか裁きが下る時が来ることは、頭では分かっていたつもりであった。
しかし、いざ目の前で行われた出来事を考えると、まるで、頭を鈍器で殴られたかのような衝撃を受けたのだ。
(何とも、ないといいけど…)
そんな空の心情は、思わずヌヴィレットに物申してしまう程に焦燥感を覚えていたのだ。
フォンテーヌに関する全ての質問をした後、タルタリヤの身柄の確保に関しては、付け加えるように冤罪かどうかはともかく手加減して欲しい、と言ってしまった。
無論、公平かつ中立な立場である最高審判官の地位に就くヌヴィレットに対して、審判の解決の一端を担ったとはいえ、フォンテーヌに来たばかりの旅人である空が言う資格は無いと重々承知していた。
しかし、だからこそ、より一層空の決意は強まるのだ。
ギュッ…
(絶対、借りを返しに行くからな…)
璃月にて帝君殺害の容疑をかけられてしまった時の借りを返しに行く…。
ますます強くタルタリヤの神の目を握りしめながら、空は強く誓うのだった。
そんな空の表情は、悪態をつくようでいながら、まるで大切な"何か"を奪われたショックで胸を痛めているように痛々しく眉を寄せている、そんな複雑な表情をしていた。
同時刻。
ある部屋に座り込んでいた深い青の瞳を持つ青年は、不意に誰かに呼ばれたような気がして夜空を見上げる。
小窓からぽつんと月が覗き込んでいて、それに三つ編みにした長い金髪と琥珀色の瞳を思い浮かべて、不機嫌そうにしていた表情が、微笑みに変わったという。
-END-
後書き
突然の展開過ぎて、混乱しています…!!!
誤った告発のはずなのに、タルタリヤが有罪……?!
別の罪なのかどうか、それはまだ分からないですが、冤罪か分かるまではメロピデ要塞で待機…!!??
どうなってしまうの〜〜??!!
そんな気持ちで書いたので、読み辛かったらすいません…。
次Ver.のアップデートで、どんな展開になるのかが気になりすぎます…!!!
そんな気持ちを込めたこちらの作品、最後まで読んで頂きありがとうございます!!