幾星霜… 煌めき癒す閃光星
※枝を拾う者・ダインスレイヴの内容を含みますので、クリア後推奨です。
※淵底に響くレクイエムのネタバレはありません。
空くんがダインにある疑問を問いかけるお話です。
本当は突発SSに入れる予定でしたが、ダインは双子ちゃんに関わりのある重要人物なので、こちらのシリーズに追加しました。
・ギャグ全開
空くん→ボケ全開
パイモン→ツッコミ全開
ダイン→ツッコミ…に見せかけたボケ
という感じです
・ダインは多分自分の童顔っぷりに無自覚設定
・かつダインの性格、口調迷子気味
参考資料
・双子ストーリームービー
・世界任務 枝を拾う者・ダインスレイヴ
※初出 2022年4月18日 pixiv
風龍廃墟にて。
遺跡守衛の足跡、蛍の痕跡が残る蒲公英がある場所…。
そこで、空、パイモン、そしてダインスレイヴは立ちすくんでいた。三者の中に流れる雰囲気はどこか重苦しい。
「ダインスレイヴ。ひとつ聞きたいことがあるんだけど…。」
「どうした?」
そんな中、黒を基調とした旅人装束を纏った長い金髪を三つ編みに結んだ旅人の少年、空は、ミステリアスな雰囲気を纏った青年、ダインスレイヴに呼びかけた。
呼びかけられた際に、ダインスレイヴのハニーミルク色に似た色の金髪と澄み切った夜空に浮かぶ星々の意匠を施した服装、その一部であるマントが揺れた。
「あまり質問ばかりされても困るぞ。」
「俺には3つも質問したのに、そんな返答でいいのか? 」
一等星の煌めきをそのままはめ込んだような紺碧色の瞳、その向かって左、つまり右目周りを顔半分を覆い隠す独特な造形の仮面…。
ダインスレイヴのどこか浮世離れした風貌で見られると少なからず威圧されてしまう。だが、空も負けじと琥珀色の瞳で見つめ返す。
「それも一理あるな。」
「…言っといてなんだけど、無理なら別にいいよ。」
「………構わん。何が聞きたいんだ??」
一本取られたな、と言わんばかりにダインスレイヴは腕を組んで右手を上げた後に降ろす仕草をした。言い出したはいいものの念のために、と空は確認を取った。
(一体、何を聞くんだ…??)
ゴクリ
2人のやり取りを見守りながら、パイモンは生唾を飲み込んだ。そんな中、ダインスレイヴの了承を得た空は言葉を紡いだ。
「ずっと気になってたんだけど…
本当は何歳なんだ!?」
ズコーッ
「って、気になることってそれかよ!!」
「………。」
空の問いかけに、パイモンは空中でズッコけるような動きをした後に、全力でツッコみを入れた。同時にダインはほんの少しばかり目を見開いた後に目を細めた。
「だって、あまりにも童が……コホン、若く見えるから…。」
「今、童顔、って言いかけただろ?!」
「あー!! 何で言うんだよ、パイモン!!」
「お前が言葉を濁すからだろ!!」
ギャーギャー
空があまりにも真剣な顔をしているので、何か重大なことでも聞くのかと思っていたパイモンは、予想の斜め上を行く疑問を出したことに更にツッコみを入れた。
途中で漏らした空の本音にも、パイモンはツッコみを入れているうちに、次第に2人は喧嘩に発展しそうになる。とは言っても、体格差がありすぎるので、空がつつくように動かす指先を、パイモンが空中で避けながら同じく空の手に小さな手をつつくように押し当てる程度である。
そうして動く度に、パイモンの幻想の翼から星座の形に似た鱗粉が激しく出て、周囲をまるで簡易なプラネタリウムでも作り出したかのように星座を次々と出している。
そんな2人がやり取りをしている中で…
「ふむ…。」
口元に人差し指を当てて考え込んでいたダインスレイヴは、ひと言漏らした。
ピタッ
スィッ
「ダ、ダインスレイヴ?」
そのひと言を聞いた空とパイモンは、動きを止めた。同時に、パイモンが空の後ろに隠れながらダインスレイヴの言葉の続きを待った。また、空は無意識にパイモンを庇いながら続きを問いかけた。
そして…
「心配するな。少なくとも酒が飲める年齢にはとっくに達している。」
「「えぇっ!?」」
ダインスレイヴの紡がれた返答に、空と(後ろに隠れながら)パイモンは同時に驚きの声を上げた。しかし、すぐに納得がいった。何せ、初対面を果たしたのはエンジェルズシェアであったからだ。バーテンダーであるチャールズも、"酒の選び方や手際の良さから相当品位のある人だと言うのが分かる"と言っていたからだ(それを見抜いたのはディルックであるが)。
「しかし、貴様達にも同じことを聞かれるとはな…。」
「俺達"にも"、ってどういうことだ??」
「あの酒場のバーテンダーだ。」
続けられた言葉に、まさに今、エンジェルズシェアのことを考えていた空は、読心術でも使われたのか、と思って内心動揺した。しかし、ダインスレイヴの様子からしてそれは無さそうだったことに密かに安堵した。
実は、エンジェルズシェアでも同じことを聞かれたらしい。それに空は納得した。他の酒場であれば聞かれなかっただろうが、このモンドには、ウェンティという少年の風貌でありながら、大の酒飲みな吟遊詩人が居るのだ。それも相まって、年齢確認をしたくなったのだろう。
チャールズの気持ちも分からないでもない。現に、こうして、空だって確かめていたのだから。
(取り敢えず分かってすっきりしたな…)
疑問が晴れた空が納得していると…
「しかし…。」
「しかし?」
スッ…
「俺は童顔ではないぞ。断じてな。」
ドーン
ヒョイッ
「言い切ったー!??」
続けられたダインスレイヴの言葉に、空の後ろに隠れていたパイモンは思わず飛び出して、先程とは違う驚きに声を上げた。先程の空とパイモンのやり取りから聞こえた"童顔"に対しての発言らしい。
それに、何故か左手を腰に当てて若干ポーズを取るようにして宣言した。しかし、ダインスレイヴの真顔っぷりからして、本人はカッコつけて言っているわけではなくただ宣言をより明確なものとして空達に伝えているように見えた。
(もしかして、無自覚なのかな…)
その発言から、ダインスレイヴはもしかしたら自分の顔には頓着が無い、ということを感じ取った。しかし、そう自覚するほど、ダインスレイヴはその姿を見た者や会話をした者に様々な驚きを与える人物だと思った。
まだ幼さが残る顔。
それに反して、酒は飲める年齢にとっくに達していること。
これには、困惑するものが出てくるのも頷ける。現に空やチャールズもそうなったからだ。
ハニーミルク色に似た色の金髪。
それに反して、澄み切った夜空に浮かぶ星々の意匠を施した服装を纏っていること。
それはまるで、太陽と夜空が同時に存在しているみたいだと錯覚させる。
そして、高い身長に渋い声…。
これが一番、ダインスレイヴを年齢を超越した浮世離れしたものだと主張しているように思えた。
幼さが残る顔に反したその高い身長と長年熟成されたワインの香りのように渋く、そして不思議と染み渡るような声、それによって紡がれる凄みのある言霊…。それはまるで、樹齢何百年もある巨木が意志を持って、空に話しかけているような気持ちになる。
しかし、威圧感は感じない。
むしろ安心感を覚える、そう空は思った。
スッ
「どうした? まだ何か聞きたいことがあるのか??」
その心の内が無意識に表情に出たのか、はにかむ空に向かって、ダインスレイヴは腰に当てた左手を降ろしながら問いかけた。
「ううん。大丈夫。ただ…。」
「ただ?」
「ダインスレイヴの声って…、
不思議と、安心する声だな、って思ったんだ。」
"ダインの声は安心するね"
「!」
微笑みながら紡いだ空の言葉、それが"彼女"の言葉とリンクして、ダインスレイヴは驚きに目を見開いた。
目の前にいる異郷から来た少年とは、対照的な真っ白な衣装を身に纏って、花弁のうち1枚が水色をした白い花を二輪、髪に挿した少女…。
フッ
(やはり、似ているな…。)
その姿を思い浮かべると同時に、かつて"彼女"と旅をした記憶が呼び起こされた。
ダインスレイヴは聞こえるか聞こえないか、それくらいの声量でひと言呟いて口元を緩めた。それは、空が"彼女"と似ている部分を新たに見つけた喜びから来るものだった。
「? 何か言った??」
スッ
「いや、こちらのことだ。では、もう行くぞ。」
クルッ
「うん。ありがとう、ダインスレイヴ!」
「また会おうな〜!!」
フリフリ
空の問いに、すぐさま真顔になったダインスレイヴは、踵を返して去っていった。空はお礼を、パイモンは再会の約束を口にしながら見送った。
そんな2人の声に、振り返りはしないものの右手を上げて、微かにそれを振りながら答えるダインスレイヴであった。
しかし、近いうちに、思わぬ出来事で彼に再会を果たして、カーンルイアやダインスレイヴ自身のこと、そして、旅の同行者が蛍であったことを知ることになるのは、まだ先の話である…。
-END-
後書き兼補足説明
淵底に響くレクイエムを堪能して、改めてダインの童顔っぷりにギャップを感じたので、初めてダインと対面した時の気持ちや彼に感じているギャップを書きました。
意外と童顔だ!!??
それが、ダインのゲーム内のグラフィックを見て私が抱いた第一印象でした…。
というか、想像の10倍ぐらい童顔だったんですけど??!! 最高です!!!(大本音)
それまでは、キービジュアルやCV.津田健次郎さんのイメージで、結構キリッとした感じなのかな…と思っていたので、その分感じたギャップがハンパなかったです…!!
原神のイケメンキャラは、カッコいい、けどグラフィックをよく見ると可愛い感じがして、そこが堪らなく好きなのですが、恐らく屈指の童顔キャラではないでしょうか?
ちなみに私の中では、イケメンキャラは、
ガイアパイセン→麗しさの権化
ディルックさん→美白の権化
タルタリヤ→悪戯っ子の権化
(かつ色々なものを掻っ攫っていく色々狡い権化←)
鍾離先生→神々しさの権化
トーマ→オカンの権化
綾人さん→美しさの権化
(かつ悪戯っ小悪魔←)
白朮先生→艶かしさの権化
ダイン→童顔の権化
だと思っていますww←
また、今回のお話は空くん目線の部分を名前や言い回しを入れ替えたら、蛍ちゃん目線でも読めると思います。
というか、双子ストーリームービーで登場した蒲公英の伏線回収に、終わった後に出るストーリーのモチーフマーク(で合っているはず)に鳥肌と涙が止まらなかったです…。゚(゚´Д`゚)゚。
長くなりましたが、ここまで読んで頂きありがとうございました!!