これじゃあ、鬼ごっこだよ!!

風の行方中に災難にあう空くんと胡桃のお話です。タルタリヤと鍾離先生も出てきます。

風の行方、通称かくれんぼイベントにちなんだお話です。

・完全にギャグ
・めっちゃ短い
・風の行方の既存ルール少々改変気味

セリフ参考
ボケて、のフクロウ2羽の画像のセリフ

参考元 URL→https://sp.bokete.jp/odai/590422

※初出 2022年10月3日 pixiv


風の行方。

それは、モンドの歴史をなぞらえたガイガックスが考案した催しである。この催しを通して、少しでも多くの人にモンドを知って貰いたい、それがガイガックスの願いでもある。

そんな伝統的な催しは、さらに盛り上げようと尽力するガイガックスのちょっとした親切心から、ランダムで普段のルールとは少し違う仕様が楽しめたりする。

だが、それによって、まさか、遭遇した者がかなり危機的状況になるとは主催者たるガイガックスは思いもしなかっただろう。

無妄の丘にて。

ダダダダダッ

ダンッ!
シュタッ

ダダダダダッ

どこか薄暗く不気味な雰囲気を醸し出すこの場所で、慌てたように駆け回る2人がいた。段差があったが、それをものともせず踏み出してから着地した後、また走り出すという冒険者も驚くような身体能力を発揮していた。

駆け回る2人…。

1人は、長い金髪を三つ編みにした旅人の少年、空であり、もう1人は梅の花飾りが付いた帽子に薄焦茶色にグラデーションがかった髪をツインテールをした堂主の少女、胡桃であった。

「誰が追いかけてきてる?!」

「えっと…。」
クルッ

慌てたような胡桃の声に、空は後ろを振り返って確認した(ちなみに2人とも走りながら行っているが、常人には危険な行為なので、絶対に真似はしないように)。

遠目から見えたその場所からこちらへ向かって歩いてくるのは…

一方は、メッシュの入った柔らかな茶髪(いつも着けている存在感ある仮面は今回は外している)にマフラーに似た装飾を揺らす青年、タルタリヤ。

もう一方は、黒に近い茶色から濃い茶色へとグラデーションがかかったアシンメトリーの髪を襟足から長く伸ばして束ねている美丈夫、往生堂の客卿の鍾離であった。

2人は、空と胡桃を捕まえる気満々、という雰囲気を醸し出してそこに居た。

「俺らが出るほどでもないと思うけどな〜。」

「油断はしないほうがいい。貴殿の悪い癖だぞ。」

「はいはい。」

タルタリヤは、悪戯っぽい笑みを浮かべて手袋直しながら呟いた。そして、どういうわけだか、鍾離はやや怒りを露わにしながらタルタリヤを嗜める。

「鍾離先生達だ!! 何かめっちゃやる気満々なんだけど?!」

何が言葉を交わしていたが、当然ながら聞こえるはずがない。しかし、遠目からでも分かる程に、気合い満々の2人を見た空と振り向いて確認した胡桃は青ざめた。何故だか、戦闘をする時以上の殺気を醸し出している気がしたからだ。

今回の風の行方において、ランダムルールとして、レンジャーが2人、ハンターが2人という仕様になっている。通常であれば、レンジャー3人に対して、ハンター1人構成で制限時間内に全てのレンジャーを見つけなければならない。だが、今回のランダムルールによって、その法則は変わって、制限時間も増えている。

その為に、協力して逃げ回っている2人なのであった。

「あちゃ〜、やっぱりかぁ…。」

「やっぱり、ってどう言うことだ?!」

タルタリヤ(胡桃の前では身分を隠すため偽名使用)はともかくとして、鍾離がやる気、しかも怒りを露わにしているように見えるのは大変珍しい。それも相まって困惑する空に対して、胡桃は罰が悪そうな表情を浮かべた。どうやら心当たりがあるらしい。説明を求めて、空は胡桃の方へ振り返りながら問いかけた(しつこいようだが、走りながらである)。

そして、胡桃が話したのは…

「実は……、

昨日、鍾離さんお気に入りの茶葉を飴に変えちゃう悪戯しちゃって〜。」

少々、頬に汗を浮かべながらながら、てへっとでもいいたげに、胡桃は笑った(ちなみに、飴の形は胡桃がたまに戯れている幽霊の形だとは、この時点の空は知らない)。

「何でタイムリーにそんな悪戯を?!」

「いや、私もね?? やばっ?!と思ったんだけどね〜。つい、魔が刺して…。」

「それ、堂主が1番言っちゃいけないことじゃないか??!!」

「あとは、度重なる領収書の山を見ていたら思わず…。」
アハハ…

「やめよう??!! 経営者の闇と悪戯心は、多分1番混ぜちゃいけないやつだから!!」

話しているうちに、だんだんと胡桃の瞳の中の梅の花に似た形の瞳孔が力無くしょぼしょぼしてきている、ような気がした。同時に青ざめながら力無く笑うので、空はツッコむしかなかった。

経営のことについて詳しくは分からないが、とても大変だということだけは分かる。だが、胡桃の行動には、些か度が過ぎているのも否めない気がした。

「そんなことしているから…。」
チラッ

「さぁ…、ゲームの開始だ!」

「久しぶりに…本気を出すとするか………。」

タルタリヤと鍾離先生はますます気合いを入れて、空達に向かって行こうと構えていた。

ヒュッ
(やばい…!!)

「本気だよ、あの2人!!」
クルッ

「じゃあ、お先に!!」
ふわぁっ

「ちょ、胡桃?!」

あまりの気迫っぷりに、思わず喉をひゅっ、と鳴らした空は、半ば助けを求めるように胡桃に向き直って問いかけた。しかし、空以上に身の危険を感じ取ったのか、胡桃は少しスピードを緩めてから、時折輝く蝶と共に刹那に姿を消しつつも一気にスピードを上げた。

それに慌てて声を掛ける空だが、もう胡桃は居ない。どうやら、空を見捨てたようだ。

(あ〜〜、もう!!)
ダッ

これも、風の行方の醍醐味…、と自分に言い聞かせながら、迫り来る2人に追いつかれまいと空もさらにスピードを上げるのだった。

その後、健闘虚しく捕まった空は、清々しいくらい笑顔のタルタリヤに、楽しかった〜、もう一回やろうよ!とせがまれるが、ぐったりした様子でもうやらないぞ…、と呟いていた。

一方、胡桃も捕まって、往生堂に連行された後に、鍾離先生のお説教が始まったのだと言う…。

-END-



あとがき

ずっと書いてみたかった風の行方に関するお話でした!

書いていてめっちゃ楽しかったです!!!

私の中だと、何となくこの4人が集まるとドタバタした雰囲気のお話を書きたくなりますww←

短いですが、ここまで読んでいただきありがとうございます!!

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