持て余すその力を活かせるのなら…

魈復刻記念(書いた当時)に思い付いたネタです。

魈に合う新聖遺物をあまり使いたくない空くんを問いただすやりとりです。
(タイトルが厨二っぽいですww←)

男子同士のやり取りっぽいのを書いてみたかったので、勢いで書きましたww←

多分、新聖遺物が来るたびに出る全旅人さんの本音を代弁しましたwww←
それと、実は、まだ辰砂往生録シリーズの聖遺物を集められてない気持ち、それに、魈の元素爆発をあまり使わないうちに、好感度MAXにした気持ちも含めてのお話です。

・めっちゃ短い
・ちょっとメタい
・ギャグ気味

※初出 2022年5月25日 pixiv


トンッ
「…何故これを使わない?」

プイッ
「使いたくないんだよ…。」

壁に右手をついた魈は、普段よりも声を低くして空を問い詰めた。その声は真剣味を帯びており、それに対してバツが悪そうに空は目を逸らした。

「どうしてだ? 力を求めていたのではないのか??」

「それは、そうだけど…。」

「なら何故、ためらう? 我はとうに覚悟はできているぞ…。」

ブンブンッ
「でも、誰かが傷つくのを見るのはもう嫌なんだ…!!」
バッ

空の普段らしからぬ態度に、食い下がるように魈は言葉を紡いだ。だが、魈のその言葉に、空は首を横に振って強く否定を示しながら、改めて魈を見つめた。

フッ…
「…心配には及ばぬ。」
スッ

「でも……。」

空を安心させるように、ほんの僅かに口元に笑みを浮かべながら反対の左手を、空の両手に添えた。その手には何かを持っているようで、丸ごと包み込むように優しく掴んだ。尚も言葉を紡ごうとする空に、牽制の意を込めてやや遮るように、魈は言葉を続けようとする。

「だから…、

観念してその聖遺物を渡すんだ…!」
グググ…

「いーやーだーーー!!」
ググググ…

空の持っていた物…、辰砂往生録シリーズの聖遺物の花を包み込んだ手で、空の両手から引き剥がそうとする。対して空も珍しく否定の言葉を叫びながら取られまい、と言わんばかりに力を込める。

新たに解放された秘境、山間幽谷にて入手できるようになったこの辰砂往生録シリーズの聖遺物は、魈と相性が合うまさにうってつけの代物だ。

しかし、それは同時に魈の"靖妖儺舞"が前提として成り立つものであり何よりリスクが高まるものだ。

"出来る限り被害を最小限に"

それをモットーとしている空は、仲間達にも出来る限り無理はさせたくない方針を伝えているのだ。だからこそいくら相性がいいとはいえ、それが成立しないものであるこの聖遺物の存在を魈に悟られないようにしていた。

だが…、何故だかバレてしまいこうして問い詰められている状態なのだ。

傍から見れば、まるでカツアゲ現場のようである。

「何でこれがある、って分かったの?!」

「勘だ。」
サラリ

「流石仙人!! 勘が鋭すぎーーー!! というか、そもそもまだこれしか無いからつけても効果ないよ?!」

「構わん。足りなければ我も手伝う。」

「優しいーー!! だけど却下ーーー!!!」

2人は会話をしながら、手元の辰砂往生録シリーズの聖遺物の花もお互い譲らない。二重の意味で、押し問答をしながらなかなか決着がつかずにいた。

何より空の本音としては…

「折角いい感じのスコアに仕上がっていたのにーーー!!!」

「おまっ!? もしや、それが本音だな?!」

空の叫びに、拍子抜けした魈は手の力を緩めそうになる。だが、すぐに力を入れ直して戸惑いながら問いかけた。

「それもあるけど、やっぱり魈が傷つくのを見るのが嫌な気持ちのほうが大きいーー!!!」

「! 旅人…。」
スル…

さらに続いた空の言葉。
それは、魈の思いやりに満ちたものであった。

その言葉に、驚きに僅かに目を見開きながら、静かに問いかける。

その一瞬の緩みを空は見逃さなかった。

(!! 今だっ!)
スッ
「とぅっ!!」
バッ

クルクル

「何?!」

辰砂往生録シリーズの聖遺物の花を素早くしまった空は掛け声を上げながら、素早くしゃがみ込んで、魈の横を通り過ぎるように前転した。その一瞬の動きに、"敏捷"を意味する夜叉の名を冠する魈でさえ反応が遅れてしまい驚きの声をあげてしまう。

シュタッ

その間に、前転が終わると同時に、空は右方膝を90度になるように曲げて、左片膝は真後ろに伸ばして、さらには両手を真横に伸ばして停止した。何故かその両手の指先は、ピン!と上に向かって真っ直ぐ伸ばされていた。

「それじゃあ!!」
シュタタタッ

ハッ
「なっ、待て!!」
ダッ

そんな空の様子をポカンと見守っていた魈は、またも掛け声を上げて去っていく空を見て我に返った。そして、追いかけていった。あくまでも、自身の走りのみで追いかけているのはせめてもの情けである。

その後、しばらく追いかけっこが続いたが、息が切れた空に、魈が心配そうに駆け寄ったことでそれは終わった。

話し合った結果、ふたつまでなら辰砂往生録シリーズの聖遺物をつけてもいい、ということで話はまとまったらしい。

-END-

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