【タル空】それはちょっと、反応に困るかな…
ある疑問を投げかける空くんと、それに困りながらも奮闘するタルタリヤのお話です。
・弊ワットにおいて、空くんは性知識やそれにまつわることに関しては無知&鈍感設定です。
ゲーム本編の振る舞いは勿論のこと私が今まで書いてきたタル空的にもセーフ…なはず…、と思って書きました!!(おい)
・展開がベタな感じです
参考資料
・ディシアの伝説任務 マンティコアの章のワンシーン
平和な日常は、ある些細なことをきっかけに呆気なく崩れ去ることがある。
だが、それは悪いことばかりではない。
少なくとも、当事者達の捉えようによっては、いかようにもその認識は変わるのだ。
塵歌壺にある邸宅。
そのリビングにて。
「なぁ、タルタリヤ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど…。」
「うん? どうしたの、空? 改まって。」
鍾離から珍しい茶葉を貰ったので、試しにお茶を淹れた空は、それをタルタリヤに振る舞っていた。ティータイムを楽しむ穏やかな時間が流れる中、空は疑問を口にした。
それによって、この穏やかな時間が崩れ去ることも知らずに…。
「赤ちゃんって、どこから来るんだ?」
んぐっ
「ゲホッゲホッ!」
突然の爆弾発言に、タルタリヤは飲んでいたお茶が変なところに入ったのか、苦しそうに咳払いをする。
「大丈夫か?!」
「う、うん…。大丈夫…。」
プルプル…
慌てて駆け寄る空に、何でもないように装いながらも、空の発言に少なからずダメージと些かのショックを受けたタルタリヤは、身体を震わせた。
「空…。一応聞くけど、どうしてそう思ったの…??」
「えっと、前に友達とそんな感じの話をしたんだ。」
空曰く、スメールで出会った傭兵を営む友達と彼女の父にまつわる一連の出来事に関わったことからだった。
彼女の父は、"すけべ"だったらしく、母が分からない、と話した彼女は、"父がすけべだったからアタシができた"と言ったらしい。
疑問に思った空は、彼女にどうしてそうなるのかを聞いけば、非常に困った様子で、"一種の火遊びみたいなもんだ"と言ったらしい…。
「"すけべ"は分かるけど、火遊びとかは分からなくて。」
「な、なるほど…。」
空の口から"すけべ"という言葉が聞けたことに、内心驚きを隠せないが、その発言をした友達に、なんてことを空に吹き込むのだ…!と言及したくなった。
「ちなみに、その後は何か聞いたの…?」
「いや、それ以上聞くのは何だか申し訳なくて。手持ちの花火で遊んだのかな…、って思ったんだけど、違うのか??」
ホッ
「う、う〜ん…。ちょっと違うかな…。」
他にも何か聞いていないかを懸念したタルタリヤは、確認の為に、恐る恐る空に尋ねた。良くも悪くも好奇心旺盛で、調べられることは積極的に調べる空の性格を考慮した上で、空がショックや衝撃を受けるようなことを知っているのかを確認したかったのである。
だが、的外れなことを言う空に、安心して微笑ましく思うと同時に、非常に困ったタルタリヤは、眉を寄せながら、顎に片手を当てた。
何しろ、この手の質問は、ここからが本題だからだ。
きっとその友達も、この手の質問に慣れていなくて、交友関係が広い空にだからこそ有効手段である"詳しい人に聞いてみるといい"という選択をしたのだ。
その気持ちはおおいに分かる。何故なら、タルタリヤも立場が同じであれば、同じ選択をしたかもしれないからだ。
しかし、相手が空であれば別だ。
今まで知っているか知らないか、半信半疑であったが、先程のやりとりで確信した。
空はこの手に関する知識に対しては、かなり疎い。
だからこそ、ショックや衝撃を与えすぎないようにしつつ、かつ、先程のタルタリヤのような悩める人を新たに生み出さないためにも、ある決意をした。
誤魔化しながらも、間違ってはいないように答えるようにしよう、と……。
「お父さんとお母さんになる人に、贈り物が届くんだよ。」
「贈り物??」
「そうだよ。でも、どうやって届くのかは俺も知らないんだ…。何故なら、知ってしまうと危ない目に遭うからね…。」
「なっ、そんな危険なのか…??!!」
「そうだよ。それに、このことも、あまり他の人に知られると危険なんだ…!」
「わ、分かった…! そこまで危険なことなんて…。知らずに巻き込んで悪い………。」
「気にしないで。だから、このことに関しては、もう俺以外には聞いちゃダメだよ?」
「あぁ。」
やり取りをしながら、タルタリヤは、今後、空が不意に調べないように保険をかけながら教えた。本当は、良くないことではあるが、1番良くないのは"はぐらかすこと"であり"間違いではないように教える"のはセーフである(と、タルタリヤは考えている)からだ。
(そんなに危険だったなんて…、自分で調べなくて良かったな…)
(取り敢えずは何とかなったかな…?)
空が、好奇心に抗えず真実を知ることになるのか。
はたまた、教えを守ってくれるように願うタルタリヤの思いが通じるのか。
その行く先は、神にも分からないのかもしれない。
-END-