
離婚のこと#01
このnoteは、連携してるSNSからアクセスいただいている、古くからの友人に宛てるものが多い。
会っていない期間が長いから、何で結婚したん、なんで離婚したん、その後どうしてるの?との問いに丁寧に答えたいなあと思う。
元夫と私は同じ会社の同期入社だ。
内定が出た大学3年のころから友人としてちょくちょく遊びに行っていた。
私が会社を辞めてから弁護士になりたくて大学院(ロースクール)に行ったのだけど、その頃一年弱付き合っていた。
漠然と結婚するだろうと思っていたのだけど、わたしはロースクールで出会ったKに夢中になり、別れることになった。
Kとは双子のようにお互いのことに興味があって、楽しさがスパイラルに上昇していく相手で、私からしたらbetter half(私を補完する半分)だった。
付き合って3年が過ぎ、Kは司法試験に合格した。
私は鬱を発症してロースクールを退学し、やっとの思いで契約社員を始めた。応募資格は高卒程度。
そうして、私は頼まれてもいないのに、「内助の功」で彼を支えていたつもりだったから、結婚するよねと思い込んでいた。
お互い両親にも紹介していたし、イマジナリーで子どもを公立に入れるか私立かで揉めたり。
でも残念ながら、Kは、私とは結婚どころか同棲もしたくなかった。
司法試験の結果が出た次の週、私はレストランを予約して、サプライズケーキで「合格おめでとう」とお祝いしたものの、彼は上の空。
今夜プロポーズされるかな、と思っていた私は「ん?」と噛み合ってなさを感じた。
「どうしたの?」
「あー、うん…司法修習の課題が心配で」
あれれれれ。
最大の難関を超えて、私の存在は無視なのかな。
数日して、Kから別のことを頼まれた。
「司法修習で地方に行きたくない。東京配属されたいから、陳情書に婚約者として名前を貸して欲しい。でも婚約はしたくない。」
最悪な申し出だった。
私が何度も泣きながら、せめて婚約したいと訴えていたのに、貴様の地方嫌悪症のために、ペーパー上だけ名前を貸せと?
残念だなあ、悲しいなあ。
でも私はこの人がいいのに、この人と子を成すどころか住むことも法律上パートナーになることも拒否されている。
その頃に今の元夫と再会した。
元夫は、私と結婚したいと言ってくれた。
もう訳が分からなかった。
①「Kと」 かつ ②「家庭を作りたい」
が人生の命題だったが、それが果たされないと分かった時、私は①か②どちらかだけ取ることができるのだと知った。
数週間後、私はホテルでKから暴行を受けていた。
顔と体を殴られ、蹴られ。
床に丸まっていると、上からコーヒーをかけられた。
そして、震える手で顔の皮膚寸前まで煙草の火を近づけられた。
元夫と浮気したからだ。
「K、あなたとやり直したいの」
私の4年の願いはその日で終わった。
おそらくは、3年過ぎたころからとっくに終わっていたのだ。
コーヒーまみれのまま、ホテルを走って飛び出し、警察署へ。
頭の中で、傷害の判例がぐるぐる回って止まらない。
「刑法204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」
警察官に今起きたことを話し、今日告訴した方がいいと言われた。
でも私には出来なかった。
おかあさんに、私がホテルに行ったなんて知れたら。
私が浮気したなんて知れたら。
明日の職場でのお茶の発注を私が受け取らなきゃ。
どれも今思えば取るに足らないことだった。
でも混乱してる頭ではどうしようもなかった。
そして病院に行って診断書を取ることもしなかった。
馬鹿な私は、翌日契約社員としてお茶を受け取り、
全ての魂が抜け、
腑抜けたまま翌々年元夫と結婚した。
そうして、毎日死にたくなりながら、7年が過ぎた。
民事では時効が来てしまった。
KはAbemaに弁護士として出演し、
弁護士事務所を運営している。
私が元夫に謝りたいこと。
それは逃げるように結婚したことだ。
申し訳なかった、私は自分のことと向き合って、告訴すべきだったのだ。
結婚は、相手に幸せにしてもらおうと思ってするものじゃない。
幸せにしたい相手とするものなのだ。