千葉ロッテ ドラフト2024
ドラフト会議が終了した。同じ数の選手が支配下から外れる。引退出来る選手はごく一部。残りの大半は戦力外の厳しい世界である。井上の引退、吉田凌の戦力外が発表された。競争なしで来シーズンの優勝はない。
西川史礁(にしかわみしょう)
2月に行われた侍ジャパントップチーム対欧州代表戦に選出れた大学生。
出身は和歌山で吉井監督の故郷。出身大学は青山学院で井口前監督の出身大と近代ロッテの申し子と言って良いだろう。高校は龍谷大平安。甲子園にも度々出場する名門である。
個人的には金田、宗山の指名を期待していた。投手は朗希残留でなんとかなる。ショートは友杉、小川を競わせてと言うことなのだろう。そう解釈して納得しようとしている。
この年代の大学生は夏の甲子園が中止となった悲運の世代である。中日の高橋。福岡の井上。ロッテでは中森、西川。昨年のドラフトで惜しくも獲得を逃した横浜の度会もこの世代となる。
既に西川が退団していることも考えると4年はとても長い。
宮崎竜成(みやざきりゅうせい)
友杉とは同年代。ポスト藤岡。フル出場が難しい藤岡の控えは急務。バッティングがプロでどれだけ対応できるか。即戦力期待の補強となる。
立松由宇(たてまつゆう)
こちらは小川と同年代。ロッテとしては指名拒否も視野に入れた指名だろう。指名拒否には慣れた球団だ。6位で指名できたというのは御の字だったのか。それとも意中選手の漏れがあったのか。生活が補償されたノンプロ名門所属。入団となれば来シーズン注目選手だ。
吉井監督はコーチ時代を含め実績ある選手の復活というよりも若い選手の育成に長けている。ここ数年のドラフトで指名した学卒選手が10人弱。一人でも多く結果を残して欲しい。早川、荘司の抽選外しのツケは監督自ら補う必要がある。運も力量である。
清原和博氏の長男正吾選手は指名漏れとなった。球団再建を期する西武はどうかと期待していた。西武は好意を持っていたライバル球団の一つ。しかし来年ある程度の道筋が見える結果が出なければ球団の売却もあると感じている。組織がダメになるのはトップがダメだからだ。意地を貫き通せず屑に頭を下げ目先のトレードに逃げた時点でこの球団の未来は見えた気がした。ただ来シーズンの組閣を見ると意気込みを感じた。鳥越、仁志。この二人の入閣だけでもかなり大きい。しかしドラフト戦略を見るともはや手遅れ感も拭えない。
清原正吾選手は日本の中途半端な育成ではなくアメリカマイナーで腕を磨いて貰いたい。慶応出身そちらの育成システムの方が伸びるのではないかと思う。
私はプロ野球の育成システムは改革が必要だと強く思う。プロ球団の飼い殺しシステムの元凶だ。オイシックス、くふうハヤテが2軍に参入した今年は変化が必要な年のはずだ。確かに育成指名の数は激減した。ただ金満球団は全く変わっていない。これはプロ野球ではなく野球というスポーツ衰退の危機でもある。ベースボールの下請けが野球となる日は近い、いや既になっている。
どの組織も純粋な想いを無下にするのは一部の権力者の利権である。これがアメリカと日本の大きな違いの一つである。プロスポーツと企業スポーツの違いとも言える。その点サッカーやバスケットはプロスポーツを目指している。まだ資金力は野球には及ばないが近い将来はどうなるかわからない。
既に幼少期のスポーツで野球人口は激減している。親の影響を抜きにすればほぼゼロではないかとすら思える現場である。それは指導者の質も関係しているように思う。これは様々なスポーツ現場をみた私見である。話は逸れるが20年近くあるスポーツクラブの運営に関わってきた。
運動能力の高い子どもがどのスポーツをするか。
この10年でその子供が選択するスポーツは野球以外になった。何処で誰に指導されてもどのスポーツでもプロになれる。全国に毎年数人はそんな子どもが誕生する。育成とはそれ以外の子どもを育てる事がメインだ。教育と育成は違う。教育は全ての子どもに必要不可欠だが育成はそうではない。選び選ばれる関係だ。そこで野球は選ばれない。
今年のドラフトで話題になっている「富士大学」は岩手県花巻市にある。岩手県は教育県と言ってもいいだろう。其処に住む多くの大人の考え方が他県とは違う。人が財産。子どもは地域で育てるが社会の基盤になっている。至る所に立派なスポーツ施設がある。様々なスポーツのトップ選手が岩手県出身なのは偶然ではない。私も現地でそれを感じた一人だ。
ドラフトに指名された選手の将来が明るいことを願う。