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プロスポーツ競技の組織とは

暫くぶりの更新となる。朗希ショックからまだ抜けきれていない。契約破断を願う気持ちもある中での書き出しだ。

今回はロッテ以外の事を書く。スポーツ全般に興味があるのは書いたがサッカーはその一つだ。このスポーツはナショナルチームの役割が野球に比べて大きいのが特徴だが私が好きなのはJリーグ。チームは【鹿島アントラーズ】だ。

Jリーグが発足したのは1993年。友人のサッカー少年たちと一緒に夢中になった。プレーする子どもの数は今とは真逆で野球が圧倒的に多く、サッカーをする少年たちの血は濃かった。郷土のチームという事もあり鹿島を応援する事は自然だったように思う。ただ周りのサッカー少年たちはヴェルディ(読売)やマリノス(日産)が主流だった。代表選手を多く抱えているのもあったが今考えるとJリーグの前身である日本サッカーリーグの頃から観ているという蔵人感を出したかったのかもしれない。鹿島はそのリーグでは2部だった。

そんな鹿島がJリーグ発足時の10チームに選ばれた理由はブラジルの英雄【ジーコ】の存在があったからだ。勿論、県立鹿島サッカースタジアム建設もあるがコチラもジーコあってこそ。ジーコがいなければ恐らく鹿島アントラーズは今のように存在していなかっただろう。チームの中心であったアルシンドやサントスもジーコが日本に連れてきた選手たち。その後もワールドカップ優勝メンバーなど豪華スター選手が鹿島で数多くプレーしている。初代優勝チームでありタイトルは他の追随を許さない20冠。ただ2018年悲願のアジアのタイトルを最後に長いトンネルに入ってしまった。

低迷期といえないのは必ずと言っていいほど上位にはいるからだ。それがこんなにトンネルが長くなってしまった原因の一つでもある。Jリーグ開幕時の10チームはオリジナル10と言われているが、下部リーグへの降格がないのは鹿島と横浜だけ。横浜は日産から外資に身売りされている。鹿島も今のメルカリに経営は譲渡されたがJリーグを代表するクラブの筆頭だと個人的には自負している。だが今シーズンも無冠が決定した。その始まりを個人的な解釈で述べたい。

鹿島がおかしくなったのは2016年シーズンからだ。鹿島には名物フロントマンがいた。【鈴木満】通称マンさん。ジーコが絶大な信頼を置く鹿島の裏の顔だ。2016シーズンは成績低迷により監督が交代。引き継いだのは【石井正忠】。現役時代を鹿島でプレーし引退後は10年以上鹿島のコーチを務めた生え抜きといってよい人物だ。当時の鹿島はシーズン中の監督交代は稀で交代後にはチームが上昇気流に必ず乗るという流れだった。そのシーズンも同様チームは生き返りリーグ優勝は逃したもののカップ戦優勝を果たす。後の祭りだが、このシーズン後に新監督がしっかり就任していれば今の鹿島はない。石井監督はピンチヒッターの監督だった。この時点では監督としての力はなかった。

翌シーズンも成績は良かった。Jリーグと天皇杯の二冠に輝いた。ただシーズン中に監督と選手の衝突があった。すぐに和解したという事だったが結果的にこの衝突が翌シーズンの石井監督の解任に繋がった。概要は省く。ただチームが分裂した時監督を補佐すべきコーチが選手側についたという事実。そしてそのコーチが次の監督となった。いかなる理由があるにせよ首を切られるのであればこのケースは選手だ。個性派集団と呼ばれ一癖も二癖もある選手が多い鹿島でも、例えそれがスター選手であってもだ。監督はピッチの最高責任者である。それが組織の筋だった。この筋を鈴木満は通せなかった。そして最悪の悪手を打つ。ここから無冠の鹿島が始まる。助っ人はブラジル人という流れも変えた。戦術も。年を追うごとに加入する選手の特徴が鹿島とかけ離れていった。外部から招聘した有望なフロントマンはOBの圧力を跳ね返せずクラブを去った。

【ジーコイズム】コレは鹿島が失う事の出来ない柱である。【献身・誠実・尊重】コレはジーコの信念である。鹿島が目指すサッカーのシステムではない。社会人として社会で生きていく為の指針だ。私はなにかに迷ったときにこの言葉を考える。この絶対的柱が揺らいだのがあの時期の鹿島でありその一度の揺らぎはいまだ止まっていない。石井元監督がその後、他国のリーグ監督を経てその国のナショナルチーム監督にまで就任したのはただ一つの救いだ。

鹿島の最後の魂【柴崎岳】が帰還して来シーズンで3年になる。監督は宿敵川崎の名将【鬼木達】が就任する。鬼木監督も鹿島でプロ生活をスタートした。恐らく今回で結果が出なければ鹿島は終わりだ。ジーコイズムの後継者である選手たちが引退後指導者となり育てた青年たちが鹿島でプレーしタイトルまでもたらすのにはまだ時間がかかる。鬼木体制が頓挫した時今度こそ鹿島は崩壊する。壊れたらまたつくり直せば良い。それが下部リーグへの降格というかたちで実践できるのもサッカーの醍醐味ではある。そのくらいの覚悟を鹿島は持つべきだ。来シーズンは優勝するだけではいけない。ここまでプライドを捨てた鹿島に必要なのは無敗に近いかたちの圧倒的な結果だけである。



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