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【エッセイ】南西の空

自室の窓から見える南西の空。
木々の間に確かに見える山並み。

あの山の向こうに、私の居場所がある。そこには私を待っている人が居る。
その人もまた、黄昏時に、こちらの空を見つめている。
恋しく、胸を痛めている。

私の切なさとその人の切なさが重なった黄昏時の空の色。
あなたの手を掴みたい。

それが私の少女時代。制服を着た9年間。

私は進学で実家を出た。そのまま大人になり、あの狂おしいほどの恋心は消えていた。

あの頃、私は、あの空に、あの山の向こうに、何を見て、何を求めていたのだろうか。

何気ない日常の隙間で、ふと思う。

『私を許してくれる場所』

私はずっと、それを探しているのではないか。
少女時代、私は南西の空に、その場所を求め、手を伸ばしていたのではないだろうか。

もし、あの時の「あなた」が現実に居たのなら、「あなた」は、今でも私の手を掴もうとしてくれているだろうか。

実家を出た私は南西の空を失った。

私を許してくれる場所、それを見つけたわけではない。
だからこそ、私は今でも彷徨っている。

見つめる矛先を失って、あの頃以上に深刻に。


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