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不動産売却 短編集
東京・代々木の古いマンションの一室。そこには、猫と本がある部屋があった。この部屋は、智子が数年前に購入した祖母の住まいで、彼女にとっても思い出の場所だった。しかし、住むことなく持ち続けるのは難しくなり、不動産売却を決意する。
ある日、部屋の整理をしていた智子は、古い本棚から「猫と東京の風景」という一冊の本を見つける。そのページには祖母が書き残した東京の思い出や、猫と過ごした日々のメモが並んでいた。窓辺で猫と過ごす穏やかな時間が、どれほど特別だったかが伝わってくる。
猫が智子の足元に寄り添い、智子は部屋の未来に少し希望を感じた。祖母が愛したこの空間を、次の誰かがまた大切にしてくれるかもしれない。新しい持ち主がここで本を読み、猫と過ごしながら新しい物語を紡いでくれるのだろう。
売却の手続きは進めるが、智子は最後に猫を抱きしめて心の中で誓った。「ありがとう、この部屋を愛してくれて。次もきっと、素敵な人に巡り合えるよね。」東京の一室は、これからも新しい幸せを生み続けるだろう。
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