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たったひとり教室
ここ1年くらい、現在進行形で受験生をしている。
本来、家庭学習期間で学校に行く必要はないけれど、ほんのり灯油くさい教室と冷たい廊下が恋しくて、なんだかんだ週3くらいのペースで登校している。
家から駅まで徒歩15分、電車に乗って15分、駅から学校まで15分。つまり学校に行くだけで45分。そもそも朝の準備で1時間。こんなめんどくさい手順を踏みながら、なんだかんだ週3くらいのペースで登校している。
基本、教室にいるのは私だけ。時たま学校に用事を持ってきたクラスメイトが居座ったり、通りすがりの数学教師が話に来たりする。節分の日は担任が豆のお菓子を持ってきた。
当然、学校は勉強する場所だから家よりも幾分集中しやすい。教室の向かいが職員室で、往来する先生の目もあるのでなんとなく緊張感があるのも一因。調べ物でスマホを出したのを見られた時はなんともいえない空気が流れた気がして、少々仇となったけれども。スリル満点。
登下校の電車だけは好きになれない。後輩たちが「世にも珍しい高校三年生(本来はいるはずのないもの)」を見る目をしている気がする。ある日、勝手に耐えかねて電車を遅くずらして登校した。駅では町の人達が「世にも珍しい、昼下がりの高校生(本来はいるはずのないもの)」を見る目をした。
駅で会った友達は制服姿の私を見るなり、「学校行ってるの?すごいね〜」と褒めてくれる。教室に来た先生は「頑張ってるね〜」と励ましてくれる。その度にちょっと心がほくほくしだして、頭の中でその言葉を反芻したりする。
でも家での私は9時まで寝てるし、机に向かってもなんだかぼーっとするし、学校よりもスマホを多く触っている。つまるところ、家だと家族公認のダメ人間に成り下がる。自分がダメダメだと分かるだけ、より体はずんと重くなっていく。
ただでさえ、周りの評価で一喜一憂する悲しき性を持っている分、この感情の温度差は凄まじい。風邪ひきそうになるくらい。もらった言葉を全部噛み砕いて、ごちゃまぜにして、どろどろになるまで煮詰めて、お粥みたいにして薄味で味わいたい。
それくらい休めば明日からは
また学校に行けるでしょう。
息抜きに1年ぶりにnote更新しました。
書き終えたので受験生らしく勉強に戻りますよ、
ええ。