薄明(はくめい)の空
ごくまれに、夕焼けの空がピンク色や紫色に染まることがある。
この時間帯のことをマジックアワーと言ったりするけど、日本語では「薄明(はくめい)」という。
なんとも美しい言葉だと思いませんか?
日没直後のまだ明るい空のときを市民薄明、もう少し暗くなると航海薄明、ほぼ夜だけどまだぼんやり明るいのを天文薄明という。
それぞれ、まだ市民活動ができるくらいの明るい空、空と海の境がわかって航海できる明るさ、星がほぼ見えているくらいの明るさのことをいうので、そんな呼ばれ方をする。
つい3日ほど前に、空がピンク色に染まった。
これは光を遮る雲はないけど、空全体に小さな粒子が満たされている状態。水粒だったり、黄砂だったり、チリだったり。
それが空の高い高いところまで満たされ、光を拡散させる。つまり、大気全体が薄〜いミルクのような、オパールのような状態になる。
そこに、夕日が差し込むと、高い空では濃い青、低いところでは赤やオレンジ、それがミルクのようにブレンドされるから、途中の部分が混ざって紫とかピンク色に染まるのだ。
こんな時間は、電気を消して、薄明から夜への時間を楽しむのが贅沢だ。思った以上に、天文薄明の時間が長いことがわかるはずだ。
人は電気をつけた瞬間に薄明を終了させて「夜」に切り替えてしまうが、本当はこの切り替わりの時間を味わうことが、身体や精神ののコンディションを整え、夜の良い睡眠へとつながるとても大切な準備なのだ。
さらに上級者としては、海岸の温泉に仰向けに浮かびながら、一番星から10番星くらいまでが出てくるのをゆっくり数えたり。
10個くらいからはあっという間に増えてきて星だらけになって、満点の星空にかわる。
彩りのある空はかなりレアだけど、薄明は毎朝、毎晩2回見られる地球と太陽が織りなすショーだ。
都会にいると知らないうちに夜になってたりするけど、今日この空は二度と同じものは見られない。
そのショーを毎日見逃してしまうほど、大事なことって、忙しいことって、なんだろう。
#regenerative #sumuyakushima