見出し画像

1日1回飲む薬と1日3回飲む薬、薬によって飲む回数が違うのはナゼ?

イントロダクション


こんにちは、薬剤師医学生おじさん、略して薬医おじです。
今後は、この「薬医おじ」というワードを使っていこうかと思います。

今日のテーマは、飲む回数が違う薬の謎です。

1日1回飲む薬と3回飲む薬なら、1回で済む方が楽ですよね。
でもなんで3回飲まないといけないのか、その理由を知れば飲み忘れが減らせるのではないかと思います。

今日は簡単にその理由を説明したいと思います。

前置き

(ここは結論のための準備運動的なセクションなので、時間がない方は本題へ飛ばしてお読みください。)

まず、薬の側から見てみます。
皆さん、カプセルの中に自分が入っているようなつもりで身体の中に入っていくようなイメージをしてください。
よくあるカプセル、錠剤はまず口に入ります。多くの人は、水と一緒に流して飲み込みますので、薬は一気に胃へ到達します。
胃内は酸性度が高いことで知られていますが、だいたいPH2くらいです。食事の有無によって胃酸の分泌量は変化するので、PHは2より低くなることもあれば高くなることもあります。

胃の中は身体の中にありますが、身体の外なので外から細菌、真菌、ウイルスなどの微生物が侵入してくることがあります。胃をはじめとして、消化管の管腔内は、よく考えると外界の延長にあるため外なのです。これはなんとなく受け入れがたいようですが、よく考えるとわかると思います。外なので、微生物が居てもおかしくないですよね。なので、まずは外から侵入する微生物を胃酸たっぷりの胃で殺菌、不活化しています。

胃内はPH2くらい、その先の十二指腸ではPH8くらいなのですが、薬によって溶けやすいPHが異なります。端折りますが、とにかく、胃や小腸で溶けた薬は、消化管の壁から吸い込まれて血流にのります。血液なので、場所としては血管に入ります。

胃腸の血管に入ると、それらはほぼ例外なく肝臓に入る門脈という静脈に合流し、まずはじめに肝臓でのチェックを受けるのです。肝臓は身体にとってまずいものが入って来ないか見張る関所のような臓器です。

もしも人間が毒を飲み込んでしまった時を考えてください。そのまま全身に毒が回ると危ないですよね。なので、薬物を解毒してくれる肝臓で代謝してから全身に回せれば影響を少なくすることができます。

肝臓を通った血液は、大静脈から心臓に入り、肺へいき、また心臓へもどって、今度は全身への旅に出るのです。溶けた薬は、全身に行くので、一部は腎臓にも流れます。腎臓は尿を作るので、ここでも血液に溶けた薬は排泄されることがあります。

本題

薬が体内に入ってからの大まかな流れは、肝臓で代謝される、又は腎臓で濾しだされる(排泄)の2通りです。

薬物の代謝排泄経路は、我々が生きるためにとって肝心な機能なのです。
そうです、この肝心は肝臓と心臓の頭文字ですが、肝臓と腎臓の頭文字で肝腎要「かんじんかなめ」ともいいます。重要なことを表す言葉になるくらい肝臓、心臓、腎臓は大事です。

薬にも、それぞれ個性があります。化学構造が異なるので、体内での挙動も異なります。

そのため、早く代謝されるとか、早く排泄される薬もあれば、その逆もあります。

この度合いを表す考え方の一つに薬の半減期というものがあります。

半減期は、血液中での濃度が半分の濃度になるまでの時間で定義されます。
現時点で1mg/mLの濃度のものならば、それが0.5mg/mLになるまでの時間です。

勘の良い方はもうお気づきかもしれませんが、この半減期の長さによって、薬の体内での滞在時間が異なるため、飲む回数が変わるのです。

3回飲む薬は、すぐに体内から無くなってしまうので、高頻度で飲む必要があるのに対して、1回飲む薬は比較的長く身体にとどまります。

細かい理由をあげると半減期の他にも必要な考え方はあるのですが、表題の問に対する本質的な考え方として、今日は薬の半減期を紹介しました。

closing remarks


これで、薬をしっかり効かせるために、飲み忘れない心構えができたと思います。

それでは皆様、ごきげんよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?