柔道の絞め技で失神する理由をきのう初めて知った話
備忘録のようなものなので、簡単に記載します。
私は、柔道の絞め技で人が失神する理由を、頚動脈の圧迫による脳貧血だと考えていました。
でも、それは正確ではなかったようです。
お産をした人は知っているかもしれない、ノンストレステストという胎児の状態を調べる経時的なモニターがあります。
きのう、そのレクチャーを受けた際に、血圧と脈拍の関係について学びました。そこで学んだことをもとにこのお題の考え方を記載します。
まず頚動脈の圧迫で脳貧血の状態を作るには、左右両側の総頚動脈を圧迫する必要があります。
しかし、実際に絞め技をする時に、器用に両側を絞めることはできません。なぜなら、首の形状が円形なのに対して、絞める腕は直線状だからです。
そのため、片方の総頚動脈は絞められるかもしれませんが、もう一方からバイパスして脳への血流は保たれることが想定されます。
そこで、重要な点として、圧受容器反射を考える必要があったようです。
圧受容器反射には、
・血圧の上昇を感知して、これ以上の血圧上昇を越さないように心拍数を下げる迷走神経反射があります。(強い緊張状態が元となり、副交感神経が優位になるやつです。ワクチン接種後に意識を失うやつの大半はこれです。)
・逆に、血圧が低下した場合は、血圧をあげるために交感神経系を活性化して心拍数をあげるという反応があります。
これらは、いずれもネガティブフィードバックによって成り立っています。
結論
絞め技による総頚動脈の血圧上昇は、頚動脈洞に存在する圧受容器を刺激し、圧受容器反射を起こす。その結果、迷走神経反射が起こり、それは心拍数の低下を招き、心拍出量の低下並びに脳貧血を惹起することで意識の消失が起こる。
これが、絞め技による意識消失の主なメカニズムのようです。
もちろん、片側の頚動脈の圧迫による物理的な血流遮断も多少は影響していると思われます。
この合せ技一本で意識消失が起こっているかもしれません。柔道だけに。