ワクチンの効果について薬剤師医学生おじさんがわかりやすく解説します。
こんにちは。皆さん土曜日の昼を如何かお過ごしでしょうか。
私の住んでいる地域は暖かく気持ちの良い天気です。
先日、WHOが健康成人に新型コロナウイルスワクチンに関して追加接種を推奨しないという旨のrecommendationを発表しましたね。
私は3/26に第4回目のワクチンを打ちましたが、その翌々日に発表されました。笑 まあワクチンを接種したことは個人的には全然後悔していないのですが。
COVID19の流行で初めて新型コロナウイルスに対するワクチンとしてmRNAワクチンが世に出ました。賛否両論のこのワクチンですが、やはり一般の分子生物学的な知識がない方が、テレビで見た専門家の解説により中途半端に知識を付けてしまったことで、あることないことがごちゃごちゃになってヤフコメは荒れ放題だったという印象です。
私はヤフコメを投稿したことはないですが、コメントを閲覧する趣味があり様々な人間模様を見て日々を楽しんでいます。
今後、少しずつワクチンの疑問について、一般の方にも理解しやすい形で記事を書いていこうかと思います。
ただし、ワクチンに賛成とか反対とか、そういった立場でものを言うわけではなく、現時点でわかっている分子生物学的な原理からワクチンのあれこれを説明していきたいと思います。
今日はまずひとつ目のテーマとして、
「抗体価が下がったらワクチンの効果はなくなったと言い切れるのか?」
をテーマにお話します。
結論
抗体価が下がっても、ワクチンの効果がなくなったとはいい切れない。
なぜ上記のように結論できるか気になる人は、今から書く内容を読んでいただければ納得できると思います。難しい箇所もあるかもわかりませんが、できるだけわかりやすく書くつもりなので是非お読みください。
まず抗体について説明します。
抗体(antibody)とは血液中に溶け込んでいるY字型の刺股のようなタンパク質でできた構造物です。
刺股とは相手の動きを封じ込める武具及び捕具。‥Wikipediaより
抗体も機能的には刺股に似ているかもしれません。病原体にくっついてそれらの病原体の動きを封じ込める作用があります。これを中和作用といいます。ただし、これ以外の機能もあります。
抗体は別名として免疫グロブリン(immunoglobulin;Ig)とも呼ばれ、Bリンパ球という免疫細胞で作られます。Bリンパ球は抗体を作り始めると最終的に形質細胞という抗体産生に特化したBリンパ球の最終型に分化してIgGという種類の抗体を産生するようになります。
IgGとは、Igの中のクラスGのものなのでIgGと呼ばれます。
IgGは病原体に結合して
①病原体にくっついて病原体の動きを止める
②病原体の居場所を他の免疫細胞に知らせてそれらを活性化する
③補体と呼ばれる経路を活性化する
などの効果があります。
抗体が病原体に結合する時は、詳しくは述べませんが電気的な力によって結合しています。プラスとマイナスが近づくと引き合うみたいな感じです。
上に書いたものを端的に用語で表すと、それぞれ
①中和
②オプソニン化
③補体の活性化
となります。
②と③の区別が難しいかもしれませんが、②は適応免疫系の免疫力を引き出すシステムで、③は自然免疫系の免疫力を引き出すシステムと理解していただければいいと思います。
ちなみに、豆知識ですが「補体とは抗体の機能を補うもの」というところから名付けられました。
抗体は、血中~組織間液(まとめると細胞外液)に存在する病原体のみに作用します。簡単に言うと、細胞外のスペースでしか働けません。その理由は、抗体がタンパク質でできているので、細胞膜を通過できないからです。ここでは抗体などのタンパク質は細胞膜を通過できないということをよくご理解ください。
ふむふむ、ここで一つ疑問が生じた。
コロナウイルスって細胞の中で増殖するのではないの!?
「がーん。」
次回へ続く。
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