もう食べることは出来ない物 ラーメン編
誰しも「もう食べることは出来ないなぁ」という物があると思う。
勿論、私にもある。理由も様々だろう。
二十歳、就職を機に地元を離れることになった。
県から道へと住む場所が変わった。
独り暮らし、親も友人もいない。
別に寂しくはなかった。
短くも長くもない寮生活を終えて、やっと独りで生活出来る、晴々とした気持ちと初めての仕事場、そして初めての地に対する不安とわくわく感が入り混じる。
初めての地で色んなことがあったがまたの機会に。
2年程経った頃、戻ることになった。
道から県へと住む場所が移った。
移ってからは今も住み続けている。
思い返すと結構長くこの場所に居る。
ここからだと道に居た時よりも地元に帰るのは大分楽、費用もガソリンだけ。
仕事内容も変わり、初めてのことでかなり苦しんだ。そんなことを言うが何も準備も学びもしなかった自分が悪いのだ。
そんな辛い時、一つの楽しみでもあり好物でもある「ラーメン」を食べに行く。毎日食べたいくらい好きだ。
外出中、ラーメン屋を見かけたら入るようにしている。入れない日は、休みの日に食べに向かう。
けれど越してきてから食べ歩いてはいるものの美味しいラーメン屋が全然ない。
通って食べたい程のラーメンはなくて、満腹になる為だけの食事をしている。
ラーメンも好きだがつけ麺も割と好き。
つけ麺はラーメンと同じものだと思っていたが、全然別物だと知ったのは最近。道にいた時も美味しいつけ麺を出すラーメン屋があり、通ってよく食べていた。
豆知識
つけ麺には、水と締めた冷えた麺の「ひやもり」と「あつもり」といった、麺が温かい状態のものがある。
通常だと「ひやもり」で出てくるので麺が温かいのがいいなら、注文時に「あつもり」と伝えましょう。
店員が聞いてくる店、聞いてこない店があるので忘れないようにしましょう。
話は戻って、何とかつけ麺を食べに行く程のラーメン屋があり、そこに通っていました。
ラーメンに変わった名前を付けるラーメン屋。
壁や調理場に格言のようなものが貼られている、そんな変なラーメン屋。
つけ麺は正直美味しいと言える程でもなく、麺も麺同士がくっついて固まりで持ち上がってしまって、つけ汁にもつけにくい。食べ辛いものだった。
しばらくは、食べていましたが段々嫌になってきた。別のものを食べようとシンプルな中華そばを選ぶ。
これが私の食べて来た「ラーメン」の中で一番と呼べるほどものでした。
それからは、ラーメン屋はそこしか行かなくなり、中華そばばかり食べていました。
ある日もラーメン屋へ行くといつも居る店主が別の人に変わっている。「(あれ?いないなぁ、変わったのか?)」と思いつつ、いつもの「中華そば」注文して待っている。
ラーメンが着丼し、「いただきます」と一言小さな声で唱え。いざ一口麺を啜る。
「(あれ、麺が啜りにくい…。あれ、なんか熱い、スープを一口…熱っ)」。熱いのが苦手な猫舌には、食べ難い…。
「(あれ…変わった?)」
それから何度通ってもあの店主が居ない。解雇か?と思いました。でも、味が変わらない…いや、少し変わったかような変わらないような?と確信は持てずにいました。
それからしばらくして、人手不足でラーメン屋は閉店してしまいました。
閉店する一日前、当日に連続で食べに行きました。
もうこれで食べらなくなる。残念な気持ちを抱えて帰りました。
そして、2~3年経ったある日。
「(そういえば、あのラーメン好きだったなぁ)」と思い出してネットで検索、旧Twitterでも検索。
思い出のラーメンが呟かれていたり、口コミも残っていたので眺めていました。口コミで同じことを思った人が一人いて、共感してました。愛想が悪い店主に変わったとか…。
懐かしいなと眺めているとこんなツイートが
「あのラーメン屋が移転して別の場所で営業してます。」
といったような内容が。
📱Σ(´Д`;)ナン...ダト...
すぐさま調べて休日にラーメン屋に向かいました。
少し離れた駐車場に車を止めて、ここかと確認しながら入りました。店に入ってすぐ横にカウンターがあり、カウンターの向こうで閉店までいたラーメン屋の店主がラーメンを作っていました。
店内は昼時もあって、混んでいる様子。変わらず食券制、中華そばを選ぶ。待合席で待つことに。呼ばれてカウンターへと座り、食券を渡す。店員が「どちらにしますか」と聞くので「?」でいると写真を指差して、選択しろということらしい。どっちだったっけと暫く考えて、鳥だしのほうにしました。
鳥だしの理由は
店主が変わる前に話をしていたことを思い出した。
私「コノラーメンノスープハナンデスカ?」
変わる前の店主「…トリトヤサイダヨ」
とちょっと答えづらそうでした。
話は戻る。
カウンターにお盆が置かれ、次にラーメンがお盆の上に置かれ、お盆ごとヨッと引き置く。そして、「いただきます」と一口麺を啜る。
「(ん?ん?うーん?こんな味だったっけ?)」
記憶の味と違うような…
「(…うん、この味だな)」
と思い聞かせてそのラーメンを食べました。
食べ終わってラーメン屋を出る。車に乗り込んで帰りの運転を始める。運転しながら、さっき食べたラーメンの味を思い返してみる。
「やっぱり、ちがうなぁ」と呟いていた。
もうきっと、あのラーメンを食べることはできないんだろうな。
そういえばその後、その店の系列本店に行って、同じ中華そばを食べた。味は似てたがスープの見た目や接客の雑さでいいやと行かないことにした。
1000文字位で終わるはずが、1000文字オーバーで書いてしまった。まぁ、いいか。
ここまでお読み頂き有難う御座います。
他の記事も宜しくお願いします。
では、また。
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