【障がいを抱える方との交流で学んだ…】 コミュニケーションと心のバリアフリー
建築の設計と工事で経験してきたバリアフリー。 今回は、私が経験できた心のバリアフリーのお話しです。
私が30代の頃…
視覚に障害を抱えたマラソンランナーさんと交流がありました。長距離走は断固拒否だった私は、その方の流暢でじょう舌なお誘いの網にひっかかり…笑、週一回のジョギング散歩にはじまり交流をするうちいつの間にか…複数の市民マラソンでフルマラソン一部区間を伴走参加するまでになってしまいました。
加えて、マラソン仲間や障がいを抱えた方々仲間の方々とも交流するに至り、沢山の思い出があります。ちょうど年代的に私の子どもたちも小学生時代であり、障がいを抱える大人と間近に触れ合って交流しました。
貴重な経験でした。
ランナーさんと私が一緒に道路や道を歩くのはどうすると思いますか?
物理的につなぐのは双方が手に握った「伴走用ロープ」のような輪っかになった紐。マラソン時にもこれで走ります。
こればかりは・・・・伴走経験ある人でなければ感覚をお伝えするのは難しいです。世界陸上やパラリンピック陸上競技などでの伴走を拝見してみてください。
大前提・・・信頼関係があるから伴走も成り立つことを学びました。私が市民マラソン伴走ができるようになったのは、週一でジョギング散歩を誘っていただいたその方の思惑があったからだと思えます。
さて・・・その方と交流させていただいた中で、印象深いことが2つ思い出されます。
●コミュニケーションでのバリアフリー
その方は言っていました。
障害を抱えているからといって、健常者といわれる方は、障害を抱える自分たちのことを かわいそうだと思ったり、気を遣いすぎてはいけないよ!
気を遣っていただくならば…私たちの現実を知ってもらうことや、何も変わらないコミュニケーションに興味をもって接してもらうほうが何よりありがたい・・・1対1の人間だと思って接してもらうことが大切だよ!
私はこの言葉によって、多くの方との接し方に対して自分の心がまえを変化させることができました。とても感謝しています。
●一緒の行動で学んだバリアフリー
時には家の修理も依頼されながら…その方とマラソン以外での日常生活やり取りからも学べました。
自宅以外でひもを使わず移動する際は、その方は私の肘を掴みながら階段や通路を歩行します。掴むというよりそっと触れている感じです。
一緒に半歩先を歩くひとの肘に触れていると、段差など高低差や曲がり角などの動きがつかみやすいとその方は話していました。
もちろん、移動時には階段や段差があれば、数歩前で「階段のぼります~とか、下ります~とか、右90度曲がります~など発声してお伝えしますが、慣れてくるとただ普通のコミュニケーションに感じます。その方が感じる細かい感覚は、同行者の肘に触れながら歩くのが安心スタイルだったようです。
私は思いました…。
カタチでつくるバリアフリーだけでなく、人が人を理解し合って日常をより良く過ごす「心のバリアフリー」を経験できる機会は貴重だなあ…と。私にとってこの交流はかけがえのない経験となりました。
ありがとうございました。