スマホ依存症

昨年4月まで複数回にわたってスマートフォンを持ち込み、調整ルームから外部との通信を繰り返していた――。

JRA(日本中央競馬会)の事情聴取でスマホの不適切使用を認め、断腸の思いで現役引退を決断した藤田菜七子騎手の一件は、若手騎手らの間に広がる「スマホ依存症」の実態を改めて浮き彫りにした。

事実、昨年5月には若手騎手6人(今村聖奈、永島まなみ、古川奈穂、小林美駒、河原田菜々、角田大河)が調整ルームでスマホを使用していたことが発覚し、全員が30日間(開催日に換算して10日間)の騎乗停止処分を受けている。

それだけではない。今年5月には水沼元輝、そして10月には永野猛蔵、小林勝太らにも同様の違反が明るみに出ている。中でも水沼の一件は、スマホのカバーだけをダミーとしてロッカーに入れ、本体を調整ルームに持ち込むという巧妙な手口だった。


言うまでもなく、若手騎手らが「調整ルームでのスマホの使用禁止」というルールを知らなかったはずはない。にもかかわらず、リスクを冒してまでスマホの不正使用が相次いでいるのは、彼らや彼女らが「スマホ依存症」に蝕まれているからにほかならない。

あまり知られていないことだが、スマホ依存症はアルコール依存症や麻薬依存症などと同じく、近年は「レッキとした病気」に位置づけられつつある。

最も典型的な症状は、スマホが手元にない場合の「禁断症状」である。スマホの画面を確認することが常態化している依存者の場合、スマホを使用できない環境下に置かれた途端、イライラや不安などの症状が発現する。しかもこのような不快な症状は依存症から脱しない限り、時を追うごとにエスカレートしていくのだ。

女性スター騎手の電撃引退や相次ぐ不正使用を受け、JRAは「早急に防止策を講じたい」として、通信機能防止装置の導入(ジャミング)などを検討している。しかしスマホ依存症は病気であるがゆえに、その解消には適切な治療が不可欠となる。

そこで抜本的な防止策として提案したいのが、若手騎手らを対象とした厳格な治療プログラム(医師によるカウンセリングや治療など)の導入である。根本原因を絶つことこそ、不祥事根絶の一丁目一番地と思えるからだ。

この記事は、JRAの若手騎手たちのスマートフォンの不適切使用について深刻な問題を提起しています。特に、藤田菜七子騎手の引退は、スマホ依存症の影響を如実に示しており、依存症が競技や職業に与えるリスクを改めて考えさせられます。

若手騎手たちが「調整ルームでのスマホ使用禁止」というルールを知りながらも、リスクを冒してまで使用を続けることは、スマホ依存症がいかに根深い問題であるかを物語っています。依存症が進行することで生じる禁断症状や不安感は、もはや単なる嗜好の問題に留まらず、健康やキャリアに深刻な影響を及ぼすことが明らかです。

JRAが通信機能防止装置の導入を検討することは重要ですが、根本的な解決策として医師によるカウンセリングや治療プログラムの導入が提案されている点は、非常に現実的で必要なアプローチだと思います。依存症を解消するためには、単に使用を制限するのではなく、依存の根本原因を理解し、治療することが重要です。

この記事は、競馬界だけでなく、広く現代社会におけるスマホ依存症の問題を考えるきっかけを提供しており、非常に意義深い内容だと感じました。

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