240、公園の夕暮れどき
子どもらが、楽しく、遊んでる。
目の前のお母ちゃんが言った。
もう、暗なってきたから、帰ろ。
ひーちゃんという子は、砂場で遊んでいたが、お母ちゃんと一緒に帰るんだろうか。
そのお母ちゃんは、ぼくが、口をつぐんで、ただ黙っていると、そのままで許していてくれいた。
怪しいとは、思わないんだろうか。ぼくを。
こんな、おっさんが、一人、ベンチで座ってる。
しばらくして、顔をあげると、もう、ほとんどの親子連れが、帰りはじめていた。
あてもなく、ただ、この公園にやって来て、ベンチに腰かけているけど、みんな、帰るんだったら、ぼく一人、この公園にいてもつまんないや。帰ろかな。
隣のベンチに就職活動をしているらしき、女性二人組が、夕日にたそがれている。
仲良いいなあ。
気が付くと、目の前の砂場にまた、別の子どもたちがやってきた。お母ちゃんが、スマホで写真撮ってる。
あ、女性二人組の片一方が立ちはじめた。
この子らも、帰るのかな。
最初いた、ひーちゃんが、もう帰っていったのは、言うまでもない。
だんだん、寂しくなってきたなあ。参ったなあ。うち帰っても、つまんないんだよね。
ブランコで、親子三人連れが、揺られている。だんだん、寒くなってきたなあ。まだ、春になって、間もない。
お!滑り台に、小っちゃな子どもが、のぼりはじめた。
みんなー!もっと、遊んでようぜ。
みんなー!どこ行くんだよ。おれ一人、残さないでくれ。
あーあ。こんなこと言ってる間に、ブランコの三人連れ親子が帰りはじめた。
みんなー!なんで、帰るんだよ。そんなに腹が減ったのか。
隣の就活、女性二人組も、帰る用意をはじめた。
ん?なんだか、公園のムードが変わりはじめたぞ。
向こうのベンチに、男女カップルがやってきて、仲良くしはじめた。
なにこれ。ぼくに、もう、帰れって意味?
ぼくは、寒っ!とパーカーのチャックを閉めた。
男の子がやってきて、バスケのボールで、ドリブルの練習をしはじめた。
あーあー。砂場の前に、ダンプカーのおもちゃが置きっ放しだ。
いい感じで、少年のドリブルの音が、響いてる。
隣の女性二人組まで、帰りはじめた。
待っとくれよ。ぼく一人にしないでくれ。
と思ったら、二人組は、公園の真ん中へ行って、なにかしはじめた。なにやってんだろ。あの二人。
こうしていると、公園て、自由なんだな、と改めて思う。
スポーツウェアを着た、おじさんがやって来て、アキレス腱をのばしはじめた。二人組は、真ん中で、なにかやっている。
また、ブランコに別の親子三人連れがやってきた。
就活二人組は、スマホの前で、ポーズをとっている。
記念写真でも、撮るのかな。
こうやっていると、入れ違いに、また誰か、また誰かがやって来るもんだ。
寒いな。スマホを持つ、ぼくの手が震えはじめてきた。
寒む!
放っといたら、この話、夜中まで続きそう。あれ?いつの間にか、また、公園には、ひとが集まっている、
ダンダンダン!ドリブルの音がさっきから、ずっと響いてる。
二人組が、用を終えたのか、かばんを持って帰っていった。
しょうがない。
そろそろ、モスバーガーにでも、寄って、ホットココア飲んで、帰ろっかな。
つまらない話に付き合ってもらって、ありがとうございました。
公園で、家に帰りたくない、ぼくの話でした。
寒む。気が済んだ!ぼくも、帰ろ。