「積極的傾聴」はいつでも気軽に使える必殺スキルというお話
みなさまこんにちはおひさしぶりでございます。みなさまは日頃「人間関係って難しいな」と思うことはないでしょうか?そうですよね、ありますよね。退職理由の第1位はズバリ「人間関係」(※本音編)。人間関係がいかに重要がわかりますね。
日々の人間関係で疲弊している人もそうじゃない人も、「積極的傾聴」というスキルを手に入れて、少しでも過ごしやすい環境を築いてみませんか?
積極的傾聴とは
積極的傾聴はActive Listening(アクテイブリスニング)を日本語に訳したもので、アメリカの臨床心理学者カール・ロジャーズが提唱したカウンセリング技法です。
話し手に対して聞き手が適度に相槌を打ったり質問したり、言葉を添えたりしながら、話し手の本心や考えを引き出し、話し手を深く理解する技法です。聞き手は話し手に対して否定的な態度を取ったり、批判することはしません。話し手に対して肯定的な関心を持ち、話し手の考えの背景を知り、共感的理解を示します。
なぜ積極的傾聴が必要か
なぜだと思いますか?その答えはあなたの中にあります。「あなたの話を聞いてくれる友達」と「聞いてくれない友達」、どちらに好意を持ちますか?そうですね、「あなたの話を聞いてくれる友達」ですよね。
それでは、ここで本題です。「ただ聞いているだけの友達(なんなら話聞きながらひたすらスマホいじってる)」と「適度に相槌や質問を繰り出しながらあなたが話したい方向にうまいこと話を持っていってくれる友達」のどちらが話していて楽しく、心を開けるでしょうか?
この「適度に相槌や質問を繰り出しながらあなたが話したい方向にうまいこと話を持っていってくれる」というのが「積極的傾聴」なのです。「なんか誰かと話したいな」と思ったときに話しかける相手はスマホの人か、積極的傾聴の人か、もうお決まりですね。
いつ活用するか
いつでも、人と接するときに活用できます。仕事をする上でもプライベートでも、活用してください。
最近、どのような態度で友達と話しているでしょうか?職場ではどうでしょう?見逃しがちなのが家族です。ご家族とどのように話していますでしょうか?
活用事例① 職場
職場で上司や同僚とやたらうまくつきあってる人っていませんか?その人はまわりの人たちとどのように会話しているでしょうか?
上司:「昨日、釣りに行ったんだが」
うまくやる男:「え〜!釣りですか!海ですか?渓流ですか?(※適度な質問。興味持ってる感)そういえばちょっと日焼けしているような…昨日天気よかったですもんね!」
上司:「友人が船を持っているから海に行ったんだ」
うまくやる男:「マジっすか!船持ってるとか、セレブですね!さすが上司さんのお友達ですね〜」(※友人をヨイショしつつ抜かりなく上司もヨイショ)
みたいな会話交わされてませんか?こんな話し方する上司、今の時代に存在しないと思いますが。上司に話しかけられたときに「そうなんですか」ひとことで済ませてしまうと、会話がそこで終わってしまいますね。
こんな気を使った会話、自分には無理だ…と思った方も大丈夫!「釣りバカ日誌は観たことあるのですが、海でも渓流でも楽しそうですよね」みたいな関連性のある話題を出せば「興味を持っているかんじ」は演出できます。人は「自分に興味・好意がある人」に好感を持ちますので、「興味を持っているかんじ」は人間関係の潤滑油として機能します。
活用事例② 友人
あなたの友人が最近浮かない顔をしています。一緒にいるときに、たまにため息もついていて、話しているときもボンヤリしていることが増えた気がします。そういえばなんとなく痩せたような…何かあったのかな?と思ったあなたは友人になんて話しかけますか?
A:無視する。友人も話さないのでスマホを見る
B:「何なの?」とひとことだけ言う
C:「どうしたの?最近ため息多いし、ちょっと痩せたような……何か悩みがあるならいつでも聞くし、誰にも言わないよ」
あなたが悩んでいるとき、友人にどう声をかけてもらえたら話しやすいでしょうか?私はCですが、どうでしょう?人間関係に正解はないですし、個人の感じ方次第ですが、Cの話しかけ方をされると話しやすい方が多いのではないでしょうか?
ここで「悩んでいるときは放っておいてほしい」という方もいるかもしれません。が、この事例をよくみると、わざわざ友人と会っていてるときに、「ため息」までついています。この人は心のどこかで「気にかけてほしい」と思っているはずです。本当に放っておいてほしい人は人に会いませんし、用事があって仕方なく会うときも、周りに悩んでいることを気付かれないようにしますから。人前で出す「ため息」は無意識だったとしてもその人から発する「サイン」です。声をかけないで欲しいと本気で思ってる人は人前で「ため息」をつきません。
活用事例③ 家庭
あなたにお子さんがいるとします。お子さんは女の子、3歳のかわいい盛りです。お子さんは保育園で描いた絵を誇らしげにあなたに見せてくれましたが、何が描いてあるのかあなたはさっぱりわかりません。こんなとき、お子さんになんて話しかけますか?
A:無視する
B:「何これ?」とひとことだけ言う
C:「うわ〜!なになに?これ、何の絵を描いたの?もしかしてパパかな?うれしいなあ〜!ギュッギュッ!(※抱きしめる音)」
うれしすぎて積極的傾聴を超えてしまった気がしますが、お子さんがあなたに心を開き、絵の説明をしてくれるのはどれかおわかりですね?たとえパパの絵じゃなくてもお子さんは「ちがうよ〜!ママだよ!パパはこんどね〜!」と言ってくれるかもしれません。うれしいなあ。
活用事例④ 家庭その2
あなたに奥様とお子さんがいるとします。お子さん(マリエちゃん)は4歳の女の子で保育園に通っています。
奥様 「今日マリエが男の子を殴ったみたいなの。男の子に怪我はなかったみたいで、相手が誰かは教えてもらえなかったんだけど、どうしよう…」
あなた 「どうしようって?相手に怪我はなかったんだろ?」
奥様 「そうだけど、何があったのかマリエに聞いても教えてくれないし、マリエがそんな乱暴な子に育っちゃったなんて…」
あなた 「怪我がなかったんだからいいんじゃない?」
奥様 「……もういい」
どうでしょう?奥様が何を求めていたのかわかりますでしょうか?そうですね、気持ちに寄り添うこと、一緒に考える姿勢ですね。冒頭で「どうしよう」って発言してますからね。「怪我がなかったからいい」と思えるような奥様なら、あなたに「どうしよう」とは言わないでしょう。
ここで、積極的傾聴を活用した会話を考えてみましょう。
奥様 「今日マリエが男の子を殴ったみたいなの。男の子に怪我はなかったみたいで、相手が誰かは教えてもらえなかったんだけど、どうしよう…」
あなた 「男の子を殴っちゃったの!?何があったのかな。保育士さんは何か言ってた?」
奥様 「そうなのよね…マリエに聞いても教えてくれないし、保育士さんもわからないみたい…。マリエがそんな乱暴な子に育っちゃったなんて…」
あなた 「そうか…何があったんだろうね。でもマリエにも相手の子にも怪我がなくてよかったよ。俺からもマリエに聞いてみるし、今日教えてくれなくても明日落ち着いたら教えてくれるかもしれないよ。一人で悩まないで」
奥様 「ありがとう…」
と、なるかどうかはわからないですけど、先の会話よりは寄り添ってる感じがありますよね。わかります?この寄り添った感じと、適度な質問で、奥様は話しやすくなるはずです。
難しくない?と思った方は
日頃こんな会話してないし、そんな色々考えながら話すなんて面倒だし、疲れるし、無理だよ、と思いますよね?そんなときはこの法則、「あなたに話しかけてきたその人は何かを話したい」を覚えておけばオッケーです。
「何かを話したい」のだから、「どうしたの?」とか「うんうん、それでそれで?」みたいなかんじで相槌を打ちながら話を聞いてみましょう。
このときに「は?」とか「だから?」とかの突き放すような言葉はチョイスしないように気をつけましょう。
積極的傾聴の効果
人は基本的に「自分の話を聞いてほしい」「自分のことをわかってほしい」性質があります。あなたもそうじゃないですか?きちんと話を聞いてくれた人に対して「この人はいいひとだ」という認識になるのではないでしょうか?
「いい人」という認識をされると何がよいのか?あなたもそうだと思いますが、自分の好きな人には、できるだけ丁寧に接したりしますよね?あなたが「いい人」認定されると、それだけあなたに丁寧に接してくれる人が増えるということです。
まあ、それでも横暴な態度を取る人はいるかもしれませんが、まわりに味方が増えることで、あなたに横暴な態度を取る人は減ってくるのではないでしょうか。
まとめ
「話を聞いてほしい」人の「話を聞いてあげる」というのは人間関係の基本かと思いますが、「話を聞く」ことにも技術がいることをお話ししました。今回お話しした技術はそんなにすぐ身につくものではありませんが、しばらく意識的にやっているとそのうち自然にできるようになってきます。そうなればあなたは「聞き上手」な人として名を馳せるでしょう。「なんか最近、人付き合いがうまくいってないような気がする…」という人はお試しあれ。
※「会話中のスマホ」の描写が出てきましたが、会話の中に出てきたことをスマホで調べて話題を広げることもあるかと思います。そのときは声に出しながら、相手にもわかるようにスマホで調べると、相手が安心すると思います。会話中にスマホをいじられるのが嫌いな人もかなり多いので、よくスマホをいじる方はお気をつけください。