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元相棒の屍を超えていけ。
辞めてしまったけれど、
相棒と呼べるくらいシフトでほぼ被っていた
もう1人の社員がいた。
私たちの掛け合いがまるでコントのようなので
お客さんにもかなり面白がられていた。
そんな彼が抜けてしまったので
軽口で冗談を言い合ったり、
時にはケンカをするような相手というのが
居なくなってしまったので少しだけ寂しい。
少しだけね。
・
彼が抜けて半月。
奴はなにしているだろうかとストーリーを見たら、
ヒッチハイクしていた。
いきなりブイブイ言わせていた。
3日目で香川県を満喫していた。
・
やはり何時間も立ちっぱなし、
12月なので寒い中、
無視をされたり暴言を吐かれたりもしたらしいが
なんとか昨日
東京まで戻ってこられたらしい。
お風呂や食事、寝床を貸してくれるほどの
人の温かさって
なかなか都会にいる人間は 人との縁がないと難しい気がする。
その中で本当に頑張ったなぁと
どの目線かよくわからない感想を抱いた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
私が彼に対して本当に尊敬するのは、
愛してください!
をまっすぐ遠慮なくみんなに言えるところである。
ここまでアピール出来る人を
私は人生でまだこの人にしか出会ったことがない。
・
辞める1ヶ月前から、
バリスタはもうやらないかもしれないので
会いに来てください!
と何度もストーリーにあげたり
写真ぜひ撮ってタグつけてください!
と初対面のお客様にも
軽い気持ちでお願いの一言が言えるのである。
すごくないか?
私が
向こうの手間を考えたり、
相手のプライベートゾーンの広さを測りかねている間に
隣で彼はズカズカ入ってお願いを出来る。
羨ましくも私には出来ない芸当だと常々思う。
もちろん弱みになることもあるが、
その度胸だったり いい意味で鈍感な所は
生きていくのに楽だろうなぁと思う。
・
でも
私には出来なくてもそれでいいのだと思った。
私に対して
元気がもらえるから顔を見に来た
なんて言ってくれるお客様がたくさん居るし
クチコミを検索すると
スタッフのみなさんが柔らかい、
ほっこりする接客の小さなあったかい空間、
なんてカフェ全体でも評価してくださる方がとても多い。
そんなやわらかい雰囲気は
新しいスタッフが入ってきたとしても守りつつ、
ほんの少しだけ、
彼の
いきなり懐に飛び込んで
他人の目を気にせずお願いするという芸当は
どこかのタイミングで真似してみようと思っている。
そんなこと本人には言わないけれど
多分嬉しそうにニヤニヤするんだろう。