
あとからくる者のために
私もかつては自衛隊で勤務していた時期があるが散々な目にあってきた。それでも忘がたい良いエピソードもある。その1つに私がまだ自衛官候補生だった頃の話がある。
食事する時間を削ってでも自衛官になるための教育をされていた教育隊時代の時の話だ。あの頃が1番人生の中で忙しかったのだと思う。ある時の終礼の時に副隊長からある紙が教育隊全員に渡された。それは詩が書かれている紙だった。
坂村真民さんと言う人の「あとからくる者のために」という詩だ。試しに読んでみよう。
あとからくる者のために
苦労をするのだ
我慢をするのだ
田を耕し種を用意しておくのだ
あとからくる者のために
しんみんよお前は
詩を書いておくのだ
あとからくる者のために
山を川を海を
きれいにしておくのだ
あとからくる者のために
みなそれぞれの力を傾けるのだ
あとからあとから続いてくる
あの可愛い者たちのために
未来を受け継ぐ者たちのために
みなそれぞれ
自分で出来る何かをしてゆくのだ
これを副隊長自らが読み上げ、なんだか心がじんわりと感じたのを今でも覚えている。その紙は自衛隊を辞めるまで後生大事に持っていたが、度重なる引越しで、どこかのタイミングで無くしてしまった。これは自衛隊に縛れるなとの天からの声だと思い、執着する事を辞めた。
これが私が体験した数少ない自衛隊の良いエピソードだと思う。