ゆっくりと終わったはずの愛のゆくえ
別れた彼から最近ちょこちょこと連絡が来る
せっかくここまで気持ちを落ち着けられたのにな
これでも私、頑張ってきたのにな
残念ながら私はまた少しのザワザワした毎日に付き合わされることになるのかもしれない。
多分フラれたのは私のほう、のはずで
自然消滅というかフェードアウトっていうか
そんな終わりだった。
いつ終わったのか
どうしてこうなったのか分からないような終わり方だった。
離れても大嫌いなんかじゃなかったし
悲しいほど自分に嘘をつけない彼のことを
可愛らしい人だとさえ思っていた
私たちには会う度に思い出が生まれて
笑うたびに温かな愛が育っていった
少なくとも私にとっては。
だから、それなりに苦しみながら
気持ちを切り替えながらここまで来た。
でもぽつり、ぽつりと
彼はまた私に少しずつ歩み寄って来ている
どんなつもりなのかなぁ
一体なんなんだろうなぁ
この前一緒にお寿司を食べに連れて行ってくれたのは2人の思い出の場所
思い出のバーでお酒も飲んで
帰り道はつい、手を繋いで
私の方からキスをしてしまったんだ。
後悔してもあとの祭りだけど
後悔はしてないんだよ
彼に抱く愛おしい気持ち、というのは
厳密に言うならば
自分の中にある 心から彼を愛した記憶
のことを言うのかもね
だから大丈夫よ、
あの時のことはどうか気にしないで
確かに、ちゃんと愛はあったのだから。
あなたは私を傷つけてなんかないし
私は何も失ってない
大切ななにかを奪われてもいない
私はあなたの記憶を愛して楽しめるような
ちゃんと生きていけるような女です
私はこんな女だから
私はこんな風にしか生きられないから
変われない。
彼を幸せにすることは多分これからも出来ないけれど、私は自分の中にある彼を愛した記憶を大切に大切にすることはできるよ。
約束する、きっとこれからも心の中にある記憶のあなたを大切にする
そんな彼から
「引越しを決めた」という連絡が来た
キュッと心が締め付けられる
あれ、悲しいのね…わたし。
彼は新しい街で新しい恋をするのかな
隣の席にはその可愛らしい女性が座るかな
そう思うと
少し涙が出そう。
幸せそうなあなたを思うと嬉しいのに
少し悲しくて心が苦しいなんてね、秘密にしておいてね。
ゆっくりと別れたつもりでも
器用じゃないのね、おもしろいな
まだ心は終わらせられていないんだなぁと思うし
終わらせなくてもいいのかもなぁとも思うし。
どこか自分のことを他人事のように見詰める
そして兎にも角にも、やはりあなたには幸せでいて欲しいとは思うのです。