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吐露

わたしは小さいとき父親が大好きだった。お父さんが帰ってくると嬉しい。
休みの日にいると嬉しい。

遊んでほしいとか、何かして欲しいとかそういう事を思ったことは覚えてないけど、
ただ嬉しかったことを感覚として覚えている。

だけど父は、なんというか肩透かし的な事をする人間で。
これは私の中の男性像を作った気がする。

今でもそうだ。
数年ぶりに父に会いに地方から関東に戻ったときにも、急に仕事で人と会わなきゃいけないと言う。それが終わって帰ってきて一瞬会っただけだ。
おいおい。
働き盛りならわかる。
だがもう70代の父だ。
娘を優先しろコラ。と思う。

私に興味を持って欲しかったのかもしれない。
父は、家族に興味がない。
仕事大好き、接待大好き。
他人から褒められて必要とされることに悦びを見出す人。だと思う。
家の中ではテレビを見てビール飲んで出てくるつまみを食べて、きゅうりが食べられない。
それだけだ。

それなのになぜ大好きなのか。わたし。

わからん。
でも魂がそう言うんだもん。
言ってたんだもん。

振り向いてくれない男性像
私を見ていない男性像
めんどくさがりやの男性像
ペラッペラの男性像


わたしは男の人とコミュニケーションを図るのがあまり得意ではない。
相手の望む自分でいようとする節がある。
好きと思ううちは。

踏み込むと、「この話し終わり!」
とか言われるのよ。
世の男性はみんなそうなんだと、めんどくさい話しをするのは嫌いで、分かりあうとかすごく夢のまた夢。
と、思ってる。

そうか。
それは、
父だ。

女性は父親像を求めるというが、そんなん求めたらいつまでたっても満たされないではないか。

さて、
そんな父は80を前にしてこの度再婚をするらしい。
式までするらしい。
お披露目のお茶会もするらしい。
なぜなら相手が望むから。
ああ、そうね。最初はそうなのよ。
相手の要求をちゃんとのむのよ。
もしくは、女性に対してそういう部分だけを求めているというか。

結婚とはわたしにとって生活で、その生活全般を2人で分け分けして、心も分け分けして、もちろんパーソナルスペースはお互いに認め合ったうえで。
。。。そういうものだ。
生活そのものに余裕があるわけでもないのに相手の要求をのみ、余裕があるわけではないということを伝えられない関係性ならいつかは破綻する。
また破綻の道を進むのか。父。

母と心の決着をつけてないまま。
母の心を納得させてないまま。
そして自分自身も、母に対して思い込みの恨み言を抱えたまま。
ふたり何も本音で語らないまま。

これがわたしが見た「結婚」の姿だ。

再婚を母には伝えない。

人生の終盤になって、隠さなきゃいけないことをこれ以上増やさないで。

そう父に伝えた。

ここにきて子供達に隠し事をさせて、ウキウキと結婚式?

は?

お相手に罪はない。
ただ結婚式をしたいのだ。
腹立たしいのは、相変わらず調子のいい父だ。

だけども、そんな父の最終局面で一緒にいてくれる人がいるならそれに越したことはないと計算高い自分もいる。

わたしは面倒はみれない。
気持ちがモヤモヤすることが嫌で
極力そういう事を避けて生きてきたのに、
今さら毎日モヤモヤするのはゴメンだ。

父をよろしくお願いします。
ぜひ。
最後まで。

血は争えない。

これが、調子のいいわたしの本音だ。


と、いうようなことを書いて数日たった。
考えて考えて
モヤモヤモヤモヤ考えて

どうでもいいか。

と、いうところにおさまった。

父は、父を生きている。
母も、母を生きている。
それぞれが
それぞれ人生をつくっていて、
わたしはわたしの人生を創ってきた。

父から望まれ
母から望まれ
周りから望まれ
生まれてきて、
良いも悪いも、
わたしという人格が出来上がるまでに与えられたものが絶対にあって。

そして助けられて、
間違えて転んでも
絶対に帰ることが出来る場所として、いい歳になるまで実家は存在した。

そうして外に自分の世界をもって、
他者に助けられ、
時には自分で立ち上がって
生きてきた。

その先

立ち上がれても立ち上がれなくても
モヤモヤしてもしなくても
ひっくるめてわたしの人生だ。

面倒見るとか見ないとか
起こってもいないことを避けるように生きる必要もない。

いまは、
いまここ。
なだけだ。

なるべくして
なるようになる。

きっと、いつのまにかそうなってる。

やってきた状況をすべて受け入れるだけだ。

わたしはわたしを。
くだらん嘘ついたりしなくて済むように。
そう在れるように。
どうにかこうにか
生きていくだけ。

真緑のドレス着ていってやるわ。

イラストはこちらを模写させてもらいました。

河出書房新社 
幸せと豊かさへの扉を開く龍神カード
1.金龍

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