あの頃、感動した本
小学六年生の頃、クラスで「誰がたくさん本を借りて読んだか」みたいな催しがあり、当時は皆こぞって図書室で本を借りていた。
その制度も手伝って、私もよく図書室へ足を運ぶようになり、様々な本を借りて読んだものだ。
その中でも今でも忘れられない一冊についてご紹介したいと思う。
それがこの本だ。
タイトルは「さよならは霊界から」。
中島信子さんの作品である。
簡単にあらすじをご紹介。
小学生の長女みきと弟の守の母はグータラでズボラな性格。通称「マメマル」とみきがこっそり呼んでいるほど、まんまるな見た目をしている。
父親は確亡くなっており(確か事故)、シングルマザーとして二人の子を育てる日々。
そんなある日、みきが学校から帰ると玄関先で倒れているマメマル。みきが駆け寄ると「眠っていた」と起き上がったマメマルだったが実はこの時、すでに心臓の病で急死してしまったのだ。
この出来事からの一週間、何も知らないみきと守をよそに今までしてあげられなかったお母さんらしいことや思い出作りをしてあげるマメマル。
本当はもう亡くなっているため「幽霊」として、である。
最後には、一週間前と同じ格好をして床で倒れているマメマルをみきが発見し、そばにあったマメマルからの手紙で事の真相がわかり、涙した、という物語である。
読書後に号泣した、というのはこの本が始めてである。
マメマルの不器用ながらも二人の子どものため一生懸命愛情を注ぐ姿。
そして、薄々感づき始める子どもたち。
この心模様が何とも切なく、かなり涙したのを今でもはっきり覚えている。
そして、このマメマルが私の母に何となく似ているというのも涙を誘った要因の一つだろう。
母は健在だが、この時は「お母さんをもっともっと大切にしよう!」と当時子供心ながらに痛感したものだ。
私はこの本が本当に大好きで、返却するのが正直惜しいくらいだったし、何なら卒業する前にこっそり持ち去ってしまいたいくらいだった。
だけど、これから後輩たちにたくさん読んでも欲しかったのでさすがに持ち帰るのはやめた。
この本がこれからもたくさんの子どもたちに読まれ、愛され、感動してほしいなぁと切に願う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?