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「幸せについて本気出して考えてみる」

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二人用 (男1 女1)

ジャンル:ラブコメディ

登場人物

洸介:(こうすけ)お節介な男 30代 女の同僚
巡:(めぐる)めんどくさい女 30代 男の同僚

作品内容

BARに洸介を毎回呼びつける巡
その巡の話をいつも聞いてくれる洸介
次第に2人で幸せについて考え始めるが…

本編

0:BARのカウンターに女が1人座っている、男が入ってきて女の隣に座る

洸介:マスターいつもの

巡:はぁ…(溜息)

0:BARのマスターが男の前に酒のグラスを置く

洸介:おっ、ありがとう(グラスの酒を飲む)

巡:はぁ〜…(溜息を吐きながら男の方を見る)

0:男がグラスの酒を飲み干す

洸介:ん…うんっ!やっぱりマスターの入れる酒は美味いな〜!ま〜た腕あげたんじゃないの〜?

巡:ちょっと〜!

洸介:は?なんだよ

巡:何しにきたのよ

洸介:巡が俺を呼びつけたんだろ?

巡:だったらまず、マスターじゃなく私に声かけてよ、溜息なんかついてどうした?とか言って心配してよ

洸介:(溜息)あのな〜…毎回このグダリに飽き飽きしてるのに、わざわざ足を運んでる俺に少しは感謝しろ

巡:感謝はしてるわよ、でも聞いてきて欲しいの、何があった?とか、俺で良ければ話聞くよとかさ

洸介:聞いたって巡、いつも、ちゃんと応えないだろ?結局自分で答え出すしかないんだよね〜とか言って

巡:最終的にはそうだけど、そういうラリーに付き合って欲しいの

洸介:めんどくさっ

巡:じゃあ、もう1回最初からね

洸介:はあ?

巡:はぁ〜(溜息を吐きながら洸介を見る)

洸介:…(咳払い)あ〜…どうした?顔赤いぞ、熱でもあるのか?熱っ!こりゃ〜ダメだ!早く帰って寝た方がいい!うんっ!そうしよう!

巡:ちが〜う!そうじゃないっ!熱もない!触ってもないのにわかるわけないでしょ!もっと優しく囁くようにっ

洸介:もうなんなんだよっ!悩みがあるなら早く言えよ、聞いてやるからっ

巡:ん〜…(ふくれる)

洸介:(溜息)…どうしたんだ?俺で良ければ、話聞くからさ

巡:うーんっ合格っ!(嬉しそうに)

洸介:早く言って(呆れたように)

0:少し間

巡:あのね…幸せって何なんだろうなって…

洸介:こりゃまた…スケールの大きなお悩みをお抱えになりましたな〜姉御

巡:なによその言い方、姉御って…私達会社の同期で同い年でしょ、もうっ

洸介:幸せについて…か、まあ、俺も考えた事はあるな

巡:そうだよね〜誰もが一度は考えるテーマでしょ?

洸介:だからこそ、言葉にするのは難しいんだ、愛を表現しろ!と言うのと一緒でさ

巡:へぇ〜洸介って意外と詩人みたいな事も言うんだ

洸介:まあ、結婚してたからな

巡:あ…ごめん…

洸介:今更謝んなよ、それに、もう2年も前の話だし

巡:うん…ねえ?結婚してた時、幸せだった?

洸介:どうかな…幸せな瞬間もあったけど、辛い事の方が多かった気もするな…

巡:奥さん専業主婦だったんでしょ?

洸介:ああ…俺が仕事忙しかったし、家事も手伝えなくて、構ってやれなかったから、ケンカばかりだったな…今思えば…

巡:でも奥さん専業主婦なら、洸介が働かないと収入無いんだし仕方ないじゃない、その分、経済的には安定してたんじゃないの?

洸介:うーん、でも寂しかったんじゃないかな…お金があっても、一緒に居られる時間がなかったし、だから浮気されて離婚になったからな

巡:あー…ごめん…

洸介:だから謝んなって、幸せについて聞きたいから、俺から話聞いたんだろ?

巡:そうだけど、私、デリカシーなかった…

洸介:デリカシー?(笑う)

巡:なによ?なんで笑うの?

洸介:いや、だって毎回人を呼びつけといて、私の話聞けー!優しくしろー!なんて言う奴からデリカシーって言葉が出たんで(笑う)

巡:私だって、その辺は気にするのっ!そりゃこの歳になってまだ結婚もしてないし、まともに恋愛してもすぐ別れちゃうし、恋愛に向いてないのは自分でもわかるわよ…でも…

洸介:いや笑って悪い、そうだよな、巡も前向きに頑張ってきたもんな、ごめん…

巡:…謝らないでよ…こんな時に、そんな優しい言葉もかけないで…泣いちゃうでしょ…ぐずっ(泣く)

洸介:あぁ〜ごめんって…よしよしっ…ほらっ、幸せについて考えるんだろ?じゃあ、巡が思う幸せってなんなんだよ?

巡:(泣き止む)…私が思う幸せか…やっぱりお金かな?

洸介:うんっ!実に君らしい答えでいいと思うよ〜!

巡:なんか引っかかる言い方…だってお金で買える幸せの方が、世の中多いじゃない、服だって、食べ物だって、車に家や宝石、旅行に行ったりとかも、お金が無いと手に入らないものだし

洸介:そうだな、合ってると俺は思うよ!金で買える幸せの方が多いのは事実だ、でも、金で手に入らない幸せもある

巡:ん〜?例えば?

洸介:そうだな〜…家族、恋愛、健康、自然、夢や誇り、人との繋がり、自分らしさ、とかな

巡:おー!学者みたいな事言うわね

洸介:ふふんっ!まっ、手に入ったら入ったで、人はまた欲求を満たそうと、違うものを欲しがってしまうものなのだよ

巡:んーと…つまり幸せは手に入れるものではないと言いたいんですか?教授

洸介:そのとおり!手に入れるのではなく、前向きに人生を謳歌して行けば、自ずと傍にあるもの、それが幸せというものなのですっ!

巡:おおー!素晴らしい(拍手)

洸介:いや〜ありがとう!ありがとう!ではここで!人類の皆さんの幸せを祝って、乾杯!

巡:乾杯〜!

0:2人で酒を飲む(少し間)

巡:で?結局、幸せってなんなの?

洸介:は?…お前、今の俺の演説聞いて納得したんじゃないのかよ!?

巡:いや〜…幸せって素晴らしいものだと言う事はわかったけど、私はもっと具体的に知りたいの

洸介:具体的に?例えば?

巡:なんて言ったらいいのかな…なんかこう、気付かされるというか、ああっ!これが幸せなんだっ!て実感したいの

洸介:なるほど…もっと具体的に、実感したいんだな

巡:うん…そうだけど…何?真剣な顔して

洸介:…巡ってさ、なんで悩み事があると、いつも俺に連絡よこすわけ?

巡:急に何?私は今、幸せについて聞いてるのに

洸介:いいから答えろよ

巡:ん〜…なんでって…そりゃ…こんな、めんどくさい性格の私に付き合ってくれて、話聞いてくれるの洸介ぐらいだから

洸介:それだけ?

巡:…洸介…優しいし、頼りになるし、私が本当にダメな時にはちゃんと叱ってくれるし…

洸介:ほう?それで?

巡:え?それでって…

洸介:俺の事、どう思ってるんだよ?

巡:どうって…良い同僚で友達、親友?…いや…それ以上かも…

洸介:つまり…巡は俺の事が好きって事だよな?

巡:え?…私…そうなの?

洸介:俺に聞くなよ、自分の気持ちだろ?

巡:…そういえば、私、寝る前にいつも、洸介の事考えてる…今何してるかな?寝てんのかな?明日、仕事外回りかなって…私、洸介の事好きだったんだ…

洸介:そんなに俺の事考えてて、今まで気づいてなかったのかよ!どんだけ恋愛不向きなんだよっ

巡:うわ〜!そうだったんだっ!私、洸介の事…す、す、好き…いや〜!離れてっ!(洸介を押す)

洸介:痛ったっ!今度はなんだよっ

巡:…今更ながら自分の気持ちに気づいて、まだ受け入れられてない自分と恥ずかしさで、今戦ってるから、しばらくは近づかないでっ!

洸介:…はいはい…じゃあ、決着がついたら声かけてくださいね、あ、マスターお酒おかわりっ

0:少し間

巡:…私は…洸介が好き…私は…洸介が好き…(独り言)

0:洸介のセリフに被せる(私は洸介が好き)

洸介:(溜息)…俺も自分の幸せについて、本気出して考えてみようかな…

巡:待ってっ!

洸介:お?決着がつきましたか?姉御

巡:その姉御呼びはやめて…洸介はどうなの?

洸介:は?何が?

巡:…私は洸介が好き…は理解した、じゃあ洸介は私の事…

洸介:好きだよ

巡:はぁ~!?そんな簡単に言えるものなの!?

洸介:好き以外どう言えばいいんだよ?

巡:だったらもっと気持ち込めてよ、私がどんだけ自分の心と戦ってたか今見てたでしょ?

洸介:…めんどくさっ

巡:そのめんどくさい女を好きになったのは洸介でしょ…私をこんな気持ちにさせて…ずっと気づかないフリしてたのに…自分の気持ちに気づいちゃったじゃない…洸介の事…好きになっちゃったじゃない…言ってよ

洸介:…好きだよ…ずっと前から好きだった、毎回呼び出されるのも苦じゃないし、巡のめんどくさい話も、聞いてて楽しいし、ずっと聞いていたいと思うくらい…巡の事、大好きだよ

巡:…バカ…私も負けないくらい、洸介の事が…好き…大好き

洸介:で?今、幸せか?

巡:…うん…すごい幸せっ(笑う)

洸介:俺も(笑う)

0:2人で笑う

洸介:ほらっ飲み直そうぜっ

巡:うんっ

洸介:乾杯っ

巡:乾~杯っ!

0:自然に2人で笑う

~完~

あとがき

幸せとは「手に入れるもの」ではなく
目の前にあると「気づくもの」です

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