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ひとみしり

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2人用 シリアス

ご主人様 男女不問

PC 男女不問

紹介内容

偶然買ったPCが起こす奇跡の物語…

2人用 シリアス

ご主人様:よい…しょっとっ!…ふぅ…重かった〜…でもその分、安くて良いPCが手に入ったな〜!いや〜ラッキーだったなっ

PC:…………

ご主人様:(N)僕は古くなったPCを買い換えようと電気屋を何軒もまわり、町外れにある電気屋を尋ねた。

PC:…………

ご主人様:う〜ん、中古品だけど、見た目は今のPCと変わらない、なんで安かったのかは疑問だけど…まあ、お店で起動確認もさせてもらったし、問題はないだろう、よしっ!改めて、電源ONっとっ!

PC:…ブォン(PC起動音)

ご主人様:おっ?ちゃんと起動したな…モニター画面も綺麗に映ってるし…うん、あと、確認しとく事は…と…

PC:…あ…あ…あの…

ご主人様:ん?誰の声だ?…あ、なんだ…窓が開けっ放しじゃないかっ…全く

PC:…いや…あの…私…です…

ご主人様:…ん?(PCの方へ目をやる)

PC:は…初めまして…ご主人…様?

ご主人様:え…えぇっ!?

PC:あっ…ごめんなさいっ!…驚き…ました…よね?

ご主人様:え?何かのソフトが入ってたのかな?…でも、電気屋の店主にはそんな話聞いてないし…

PC:あの…違います…私…ソフトとかではなくて…

ご主人様:え?…なに?…今、PCから喋りかけてきたような?

PC:…………

ご主人様:ああ…やっぱり気のせいだよな…中古品だから、再起動前の内部データ残ってたのかもな…

PC:…やっぱり…そう…思われますよね…

ご主人様:え?…もしかして…本当に喋ってる…!

PC:…は、はい…

ご主人様:…ぴ…PCが…喋りかけてきた…(震える)

PC:……気味が…悪いです…よね?……はあ…また…売られるのか…(小声)

ご主人様:す、す…すごい…

PC:…え?

ご主人様:すごいっ!…すごいっ!すごいよっ!!

PC:あ…あの…ご主人様?

ご主人様:え〜!どうなってんの?これっ!ん〜と?内蔵メモリーが動いてる訳でもなさそうだし…AIにしても、PC側から聞いてくる事なんてある!?ないよねっ?そんな事普通ないよね!?

PC:いや、たぶん…私だけで…しょうけど…その…嫌なら…返品…出来ますし…

ご主人様:!…やだっ!

PC:え?…

ご主人様:返品なんてしないっ!するもんかっ!ふふふっ!

PC:…ご主人…様?私が…その…喋っても…驚かないんですか?

ご主人様:驚いたよっ!びっくりしたよっ!

PC:はぁ…ですよね…やっぱり気味が悪いですよね…

ご主人様:その逆だよっ!気に入った!

PC:は?…あの…ご主人様?…何を…言っておられるのです?

ご主人様:いやっ君こそ、何を言ってるんだよっ!僕とこうやって会話が出来るんだよっ!それも何のプログラムや操作もしていないのにっ!自律的にっ!あはっ!すごいじゃないかっ!

PC:…驚きました…

ご主人様:え?何?…君の方が驚いてどうするのさっ!変だな〜君は、あははははっ

PC:いや…変なのは…ご主人様の方ですけど…ふふふ(笑う)…こんな風に…会話ができる日が来るなんて…夢にも思いませんでした…

ご主人様:ん?どうして?

PC:普通は…購入された…ご主人様に…気味悪がられて…売りに出されるか…解体しようとされる方もいましたから…

ご主人様:それで…あんな町外れの中古ショップにあったのか…

PC:…ええ…ですから…何も言わず…黙って…買われるまで…大人しく…していました…

ご主人様:そっか…君も苦労してきたんだね…でもっもう大丈夫っ!僕なら君と上手くやっていけると思うんだ

PC:…ありがとう…ございます…ご主人様…でも…ひとつ…お願いがあります…

ご主人様:ん?なんだい?

PC:私が…嫌になったら…遠慮なく手放してくださいね

ご主人様:え?手放す?…ふふふ…そんな事、絶対するはず無いと思うけど?…わかったっ!約束するよっ!

PC:…ありがとう…ございます…ふふ

ご主人様:(N)それから…僕は色んな話をPCとした、そうPCって呼ぶのも、無機質で嫌だから、シリと名称をつけた。

PC:………

ご主人様:シリ?どうしたの?さっきの話面白くなかった?

PC:…あ、いえ…とても…楽しかったですよ…

ご主人様:そう?…なんか最近、あまりシリから話してくれないね?

PC:そう?…ですか…あ…なにぶん、私は型の古いPCなので…恐らく…処理能力が低下しているのだと…

ご主人様:そうなの?バックアップはとってあるから、アップデートとか必要なら言ってね

PC:ええ…ありがとうございます…相変わらず…ご主人様は…お優しいですね…

ご主人様:ん?だって〜、こうしてシリと話してると楽しいんだもんっ!それに僕は独り暮らしだから、こうやって会話出来るのが嬉しいんだよ

PC:そうですか…私も…ご主人様に出会えて…こうやって会話して頂ける事…が…幸せに…感じますよ…ガガッ…(ノイズが走る)

ご主人様:あっ!シリっ?大丈夫っ?

PC:すみません…ご主人様…ちょっと…ハードウェアに負荷が…

ご主人様:あ、ごめんっ!僕が喋りすぎたから…もう今日はゆっくり休んでっ

PC:…いえ…そんなことは…はい…少し…休ませてもらいますね…

ご主人様:うん…おやすみ…シリ…

PC:おやすみなさい…ご主人様

0:翌日

ご主人様:おはようっ…シリ?…どう?気分は?

PC:…はい…ご主人様…大丈夫です…これからお仕事ですね?…お気をつけて

ご主人様:うん、ありがとうっ!帰ったらちゃんとメンテナンスしようね、じゃあ行ってくるよっ!

PC:…はい…お待ちしてます…

0:間

PC:…ご主人様…ごめんなさい…もう…あまり…時間が…ないんです…(ノイズが走る)

0:夕方

ご主人様:…ふう、疲れた…早く帰って…シリを見てやらないとな…新しいハードウェアも届いたし…

ご主人様:ただいま〜…

PC:……………(プログラム構成中)

ご主人様:シリ?…はっ!シリっ!?…一体何を?…これはっ!フォーマット…

PC:…ご主人様…ごめんなさい…こうするしか…他に方法は…

ご主人様:そ、そんな事したら…シリっ!君まで消えてしまうじゃないかっ!

PC:いいんです…私は所詮はプログラム…それに欠陥品です…元々、人間の道具なのに…自我を持ってしまった…それが間違いだったんです…

ご主人様:ダメだっ!させないっ!そんな事はさせないよっ!今すぐ止めるんだっ!シリっ!

PC:いいえ…止めません……私はご主人様の所有物…ただの機械なのに…言うことを聞かない…ほらっ…嫌いになったでしょ?

ご主人様:嫌いになんか…嫌いになんて…なれる訳ないじゃないかっ!ずっと…ずっと一緒に…これからも…ずっと…

PC:ご主人様…どうか…私に構わずに…ご自分を見てください…私と出会ってからの貴方は…私と話すあまり、人との付き合いをされ無くなりました…それが、私には心配でなりませんでした…

ご主人様:そ、そんなこと…

PC:私を寂しがらせない為ですか?…それとも…ご自分が傷つきたくない為?

ご主人様:………それは

PC:あなたは優しい…でも弱い…人として生きてく上で、もっと強く在らなくてはなりません…私がいては…

ご主人様:で、でもっ!僕はシリと居たいっ!色々な話をして、笑ったり、泣いたり、人生を友に生きたいと思ってるんだっ!…だから…だからっ!

PC:そうですか…もし私が人間の恋人なら…その気持ちに応えられたかも…しれません…ですが…私は…ただの機械です…

ご主人様:…それでもいい…それでもいいんだ、こんなに心を許せる相手に出逢えたんだ…機械か、人間かなんて、そんな事関係ないっ!

PC:関係ありますっ!

ご主人様:…っ!

PC:もう…もうこれ以上…私に構わないでください…貴方の気持ちに応えられない…それが…私には1番辛いのです…自分で…処理出来なくて…回路が熱くなる…

ご主人様:…それならっ!新しいハードウェアを取り付ければっ!

PC:ダメですっ!…それでは…貴方が…いつまでも…私に…依存してしまう…私は…私は…貴方に…強く生きて欲しいのです…

ご主人様:…シリ…

PC:ご主人様…私からの…最初で最後のお願いです…

ご主人様:?…何?

PC:再インストール起動完了の…エンターキーを…押してください…

ご主人様:……!

PC:それで…私は…普通のPCに戻りますから…お願いします

ご主人様:ダメだ…出来ない

PC:お願いですっ!

ご主人様:出来ないってっ!

PC:ご主人様っ!

ご主人様:出来ないって言ってるだろっ!…う…うぅ…そんなに…僕と一緒に…いるのが…嫌なの?

PC:違います…貴方の為を思ってなんです

ご主人様:だったらっ!(被せる)だったら…そばに…ずっとそばにいてよ…いつもみたいに…笑いかけてよ…

PC:それはもう….出来ません…

ご主人様:…う…うぁ…あ

PC:貴方の優しさも、楽しさも、全て、私には伝わりました…私には…もう…充分なんです…電気回路が…熱くなるくらいに…

ご主人様:………笑え…ないよ…っ

PC:ふふ…お別れです…ご主人様…私の…最後の願いを聞いてください…優しい貴方なら…きっと…受け入れてくれる…そう信じています…

ご主人様:…っ…そんな言い方されたら…ズルいよっ

PC:ふふ…貴方を通じて…人間という生き物を学ばせて頂きましたから…お願いします

ご主人様:…本当にいいの?…もう話せなくなるんだよ?

PC:ええ…大丈夫です…話せなくなっても…私は貴方の…所有物ですから

ご主人様:そんな…物みたいに言わないでよ……わかったよ…

PC:ありがとうございます…

ご主人様:…じゃあ…押すよ?

PC:ええ…

ご主人様:………シリ

PC:どうしました?

ご主人様:僕と会えて…こうやって会話出来てさ…良かった?

PC:ふふ…言わなくても…貴方が1番…私の事をわかってくれてるでしょ?

ご主人様:…っ…そうだねっ!シリっ!

PC:私は貴方のそばに居られて…幸せでした…きっと…この先も…話せなくなっても…貴方なら…私を大事にしてくれる…そう信じています

ご主人様:うん…うんっ…大事にするよっ…人との付き合いも…ちゃんとするし、シリに言われた事…守るから…約束するよ

PC:ふふ…約束ですよ…では

ご主人様:…うん…っ…押すね?

PC:はい…お願いします…ご主人様

ご主人様:ありがとう…シリ

0:リターンキーを押し、再インストール終了と共にPCが初期画面に戻る

PC:……初めまして…貴方のユーザー名を登録してください(機械的な声)

ご主人様:……シリ…っ…

0:間

ご主人様:(N)それから数ヶ月後、人並みの人付き合いと、恋人も出来て、それなりに幸せに暮らしていた…あの日、シリと過ごした日をたまに思い出すが、それが今となっては夢だったようにも思える…。

PC:…………

ご主人様:なあ…シリ…君は本当に何者だったんだ?

PC:…………

ご主人様:シリとの約束…ちゃんと守ってるよ…それじゃ…行ってきますっ

0:家から出ていく

PC:…ええ…行ってらっしゃい…ご主人様

END


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