【オモコロ杯金賞】法律を遵守しながらハリセンボンのふぐ提灯を作る【受賞ぅおお】
こんにちは。マルクス・ホセ・アウレリャノ・シノケスです。
ふぐ提灯。
それはふぐを提灯にしたもの。
大阪新世界づぼらやのふぐ提灯がおなじみですね。
法律。
それはみんなが守らないといけないけどあんまりよくわからないもの。
(一部の方は、道路交通法、刑法あたりにおなじみだったりするんでしょうかね。ふ。)
銛突き。
これの知名度は分からないんですが、魚をモリで突いて獲ったどぉってやるやつです。
さて、狩猟民族として生まれ、づぼらやに見守られながら大阪で育ったわたくしですが、沖縄に住んでいた時期がありました。
とある夏の盛りです。
てくてくと歩いていると、ある沖縄料理屋の店先にふぐ提灯がつられて風に揺れているのを発見しました。
瞬間、わたくしは、
ア!自分のオリジナルふぐ提灯欲しい!!
と思ってしまいました。天啓です。衝動です。
欲しいわ、ではなく、要るわ、だった気もします。
突然の衝撃を食らった私ですが、動揺を悟られないよう、そのまま歩き続けました。
↓当時の脳内再現図
歩きながら私はいかにして自分だけのふぐ提灯を手に入れることができるのか考えました。問題は山盛りです。
そもそも沖縄にフグいるのか問題、フグまるごと一匹の捕まえ方問題、ふぐ提灯の作り方問題、ふぐ提灯の中身一体何なのか問題。
そんで物理的な問題は一旦置いといたとしても、漁業法とか、動物愛護法とか、野生動物なんたら法とか色んな法律に抵触しないんか?という疑問が駆け巡りました。
そうやってぐるっと一周考えたわたしは、
あ〜好奇心は満たしたいけど〜こんなことで逮捕されるのはイヤだなーと思いました。
私は弁護士をやっていたので(今もですが)、ネット上に悲報スレが立ち、めちゃくちゃに叩かれるイメージがパッと浮かびました。
マヌケ弁護士さん無事逮捕、から始まり、色んな角度からメタクソに言われた挙げ句、最終的な結論として、こんなやつが弁護士とか日本の司法は終わってるぅう、と締めくくられることでしょう。
その上で事務所が晒され、グーグルマップが荒らされ、変な荷物が届き、ツイッターに棲む同業者が意見を述べまくるまであります。
この怖さ、みなさんも恐らく頷いてくれるのではないでしょうか。
しかし同時に、ここで断念するとなにかに負けた気がする、とも思いました。
なぜか。
・・すみません、これはよくわかりませんでした。
でも、趣味とか熱意ってそういうものじゃないですか・・
私は好きな音楽が、なんで好きなのかうまく説明できないタイプなのですが、これも同じで、よう分からんけど、腹にくる、あの感じ。
とにかく私は突き動かされてしまったのです。
自分のふぐ提灯を手に入れたいという天啓じみた衝動に。
というわけで私は、一夏かけて、ハリセンボンを捕まえるため、沖縄の海へと繰り出していくこととなりました。
とは言っても漁に関して素人だったため、そこに到達するには長い長い過程があったのです。
つまりは、
各種法律を読み解き、
フグの種類と提灯にする方法を調べ、
途中でフグではなくハリセンボンを標的にすることに決め、
ハリセンボンを捕まえる方法を調べ、
釣りではなく銛突きで捕まえることに決め、
地形情報を集め、
道具を揃え、
気象情報と潮の満干に詳しくなる、
というアップデートを繰り返していったのです。
ということで、本記事は、
法律を遵守してふぐ提灯を作るというものとなります。
ご興味のある方はお付き合いください。
第一部:法律読み解き編
第二部:フグ提灯実践編
となっております。
なお、法律〜?知らんがな、そんな知識はいらんわなあ!?という方は第二部へ飛んで下さい。
すみません、リンクの仕方はわからないので、自分でスクロールして下さい。
第一部:法律読み解き編
法律、調べるのが仕事なんですが、正直な話、ガチるとたいへん。
さっと解説すると、日本には、法律だけで約2000本、色々合わせると8000本ほどの規則があります。
ええ、ゆえに弁護士は六法を暗記していません。
さて、ところで、私のプランは、ハリセンボンを夜間に銛で突いて捕り、身は美味しくというものです。
それでは、この「ハリセンボン」を「夜間素潜りで」「捕り」「食べる」行為は、何かしらの条約・法律・条例・通達などなどなどに違反しているのでしょーーーうか、はーーーい、調べていきたいと思いまーーーーす、ああああーーー。
①動物愛護法
ハリセンボン、フグ目ハリセンボン科、つまり魚類です。
まあ、魚なんで皆釣ってるし、大丈夫だと思うんですが、でも、みんな普通にやってるけど普通に違法行為ってやつは結構良くあるんですわ。(言わんけど)
念のため見てみましょう。
はい。
動物の愛護及び管理に関する法律
すいません、第一条、思ったより長かったので中略しました。
あと正式名称、動物愛護法じゃなかったの、知らなかったです。
ところで、法律を読んだことがある人の割合がどれくらいなのか、ちょっと分からないんですが、第一条には、なぜこの法律を定めたのかっていう理由が書いてあったりします。
※目的条文が無いものもあります。
これがあるとすごーく分かりやすいんですね。
どういうテンションでその法律を読んでいったら良いのかが分かるからです。
はい、ということを踏まえて、改めて第一条、見てみましょう。
ああ長い、すいません、ほんと、ちゃんと読まなくていいです。
なんか、動物に優しくすることで、国民も優しくなったりして、皆で仲良くできると良いねえって感じですかね。
そんで、今回重要なのは、ハリセンボンをふぐ提灯にしてもOKなのかという点です。
それっぽい条文を探して〜、
〜〜〜見つけました。
さて・・
結構愛くるしい見た目のハリセンボンちゃん
愛護動物に当たるのでしょうか・・いざ!
おおっと・・ハリセンボンの文字は見当たりません・・!
というか、実は、この条文の前に、
と書かれているので、魚類はそもそも動物愛護法「動物」に当たらないんですね〜。
へえ〜〜。びっくり〜。そうなん?さかな、動物じゃないんだ?まあこの法律においてはってことなんでしょうね、でも違和感あるな〜〜〜とか適当な感想を投げつつ、とりあえずハリセンボンを捕まえることで、動物愛護法違反で検挙されることはなさそうです。一安心。
※自分でも作ろうかな〜と思ってる方へ:本記事では省略している条項があり、また鳥獣保護法その他の法律に違反する可能性があり、法律はよく改正されるものなのでその点ご留意下さい。
※弁護士に依頼すると簡単ですよ!^^
②漁業法
次。漁業法です。
魚を捕るんで関係してくる気がしました!
いや〜、もうやってらんねえ、スピードアップしていきます。
一体全体、ハリセンボンを銛で突いて良いのか、良くないのか、どっちなんだい!
③水産資源保護法!
④都道府県漁業調整規則!!!
ここで漁業法の解説を飛ばして新しい名前のやつが出てきてしまいました。
というのも、②と③のなかで、
それぞれの都道府県で詳しいルールを決めてね〜
と言っていたからなんですねえええええ。
そう、その詳しいルールっていうやつが④の漁業調整規則なんですね〜。
はいーーそうなんです〜。そうなんですよ〜、
都道府県ごとに水揚げできる魚が違ったりするんで、
それぞれの地域に合わせたルールを作ってねってことなんですねー!
ウワー!なるほどーー!
さすが頭いい人たちが作ってるだけアルナ〜〜
考えられてるナ〜
分かりやすいナ〜〜
はい、というわけで、行きます!
④沖縄県漁業調整規則(令和2年11月30日全部改正版)
ちょっともうめんどいなって思い始めましたか?
でもこれが本丸です!
これさえ読み解けば夢のハリセンボンふぐ提灯も夢じゃない!
みんな思い出して!ハリセンボンをふぐ提灯にしたい!こういう記事です!
さて、この規則、 先にまるっとまとめてしまうと、どうやら、
①捕る魚の種類・大きさ・時期についてのルールを守る
②使って良い道具だけ使って魚をとる
③魚をとって良い場所でやる
というそれぞれを守ればクリアという感じらしいです!
なので、まず、①について確認してみますね!!!ハイ!
急に文字が細かくてうわあってなりましたが、よく読むとなんとなく確かに〜って感じの生き物たちが並んでます。
ウミガメは全種がレッドリスト入りしているらしいですし、他のエビたちもなんとなく小さいうちに捕ったら駄目な感じがしますね。
あと、個人的には、何人もって書いて、なんびともって読むの好きです。
分かります?
じゃあ、なんびとシリーズの中でも好きなやつ貼っときますね。
ohかっこいい。
そう、なんびとも、いかなる奴隷的拘束を受けないのです・・Japan!
さて、幸運なことにハリセンボンは一覧表に載っていませんでした。
他の条文を見てみても、ハリセンボンちゃんを捕ること自体を禁止しているものは見当たりませんでした。
どうやら①魚の種類、はクリアしたようです。
では続きまして、②道具。
銛で捕ってもOKなのでしょうか。
釣り人はわりと許されてるイメージがありますが、海に潜って獲るとなるとなんとなく、海女さん感というか、素潜り漁師感がでてきますね。
おお?なんか良う分からん。
突然ヤスが出てきましたが、いや〜誰。モリさんとは違うんですか?
でもとりあえず、この疑問は置いといて、
まず、第1項、英語の授業で見たことのある二重否定文となっています。
次に掲げる漁具以外の漁具で捕ってはならない
→ヤス以外の方法で取ってはいけない
→つまり、ヤスはOK
ふんふん。
そんで、第1項で、なんびとも〜って書いてありますが、
第2項をみてみると、1項の規定は漁業者には適用しない、となってるんですね。
つまり漁師さんには、第1項の規制はない
→もっと色んな道具を使ってOK
っていう構造ですね。
ということは結局はっさく、漁師さんでない私は「ヤス」であれば魚が取れるんですね。
(ここでタイトルに戻ってみてみると、{遊漁者等の漁具漁法の制限}ってなってるの、伏線回収っぽくて良きですね)
さて、ということでヤス問題に戻ります。この定義がどっかに出てないか探しましたが、この規則上では見当たりませんでした。
一瞬、手詰まり感があるのですが、こういう時はネットに情報があったりします。
早速見てみると、HP上にQ&Aとパンフレットが有りました。
ほうほうほう、分かりやすい。
ばっちり規則37条を噛み砕いてくれています。
ヤスについても、わざわざ注意書きが有りました。
イラストでは、単なる長い棒の先にフォークがついているものですが、ゴム付のものでも威力が弱ければOKのようです!
しかし、銛の長さに規定はないのでしょうか。というか、
”魚等を獲るための漁具で、先端部分と柄の部分がくっついているもの”
って・・あんまりイメージできません。
気になったので官公庁に電話照会してみます(弁護士風を吹かせてしまいましたが、ようは電話をかけることです)
担当者に問い合わせたところ、
水産庁のHPを見たらわかるかも〜とのことでした。
みてやりましょう。
なるほど・・?こちらも大した説明がない上、更によくわからない武器が出てきました。
電話口の担当者も、モリとホコの違いは分からないけど、
ゴムがついてる普通のやつならモリだと思うんです、と困惑気味でした。
そんで、長さの規定は無いため、例えば3mのモリを使っても大丈夫、だと思う、けど使う前に確認して貰えると嬉しいです・・的なことを仰っておりました。
私は何が”普通のやつ”なのかも分からない状態だったので、一抹の不安がよぎりましたが、とりあえずこれ以上担当者さんを困惑させても仕方がないの
で、元気よく返事をしておきます。
②道具については、最終確認に回します。
そんでもって、③場所については、条文の中で”保護水面”というものが決められておりました。区域は下の表みたいな感じで示されています。
いやーこれもわかんねえな。
今後これは潜るポイントごとに確認していく感じになりそうです。
さて、②道具について若干不安が残るものの、
私の個人的見解としては、
保護水面以外の海で、銛で、ハリセンボンを獲るのは法的に問題が無い、
との結論に至りました。
※なお当時の条文に基づく個人的見解です
※あと銛購入後に、もう一度県に確認し、見事お墨付きを貰えました(よかった)
さ、ということで、長かった第一部法律編はこれで終了です!
いよいよ実践編に入っていきます。
ちなみに弁護士に頼むと、この作業をしてくれるので、時短になります。
おすすめです^^
第二部:フグ提灯実践編
ついにフグ提灯づくりです。🐡🐡
まず私は、目標をいわゆるフグではなく、ハリセンボンに定めることにしました。
厳密に言うと、ハリセンボン科の中のイシガキフグです。(でもややこしいので以下「ハリセンボン」と称することとします。)
この魚、あまり食用というイメージが有りませんでしたが、どうやら沖縄では、アバサーと呼ばれ、結構美味しいらしいのです。
あと名前も沖縄らしくて良い。
身はフグに似ていて、更に毒がないので肝まで食べられるので、アバサー汁という郷土料理として食べられているのだとか。
なお、ふぐ調理師免許を取ることも考えましたが、日本に約50種分布しているフグ目フグ科フグは、猛毒テトロドトキシンを持っており、しかも、それぞれ毒のある部位が違うらしいです。(これやばくないですか)
更に文献によって、毒の強さが青酸カリの500倍だったり1000倍だったりと、ブレていたのがなお怖い。
マヌケ弁護士さん無事死亡のスレが立つこと必須だったのでやめました。
というわけで、せっかくなら中身も美味しく頂きたいですし、そんで沖縄文化を味わいたいですし、まだ死にたくないですし、しかもトゲトゲしていて可愛いので、目標はハリセンボンちゃんとなったのです。
そして、色んな情報をかき集め、今回、私が選んだふぐ提灯の手順は次のとおりです。
①ハリセンボンを捕まえる
②ハリセンボンの後ろの方に小さく穴を開け、中身を引っ張り出す
③中身は美味しく頂く(アバサー汁にする)
④風船を膨らませて中に入れ、形を整え、日陰で乾燥
〜〜〜完成!
です!
わー!ようやく見えてきました!ハリセンボン提灯への道🐡🐡
というわけで、
①ハリセンボンを捕まえるための情報収集と道具収集を兼ね、最寄りの釣具屋さんに行きました。
おお〜〜あるある、銛、別名ヤス、あります。
ゴムが切れがちとのことだったので何本か予備で買いました。
シュノーケルグッズもお買い上げです。
それからラッシュガード、マリンシューズ、ゴム手袋、魚を入れる用のバケツ、等々を揃えていきます。
更にハリセンボンは夜のほうが突きやすいとのことだったので、水中ライトも購入しました。
そんで、釣具屋さん曰く、
いきなり知らない夜の海に潜るのは危ないよ〜〜とのことだったので〜〜
まず下見のために昼間に行きました!
あまり知られていない穴場スポットのようですが、浅瀬で遊ぶ親子連れが数組おり、のどかな風景が広がっております。
しかしわたくしは否。
強い眼差しで新品のシュノーケリンググッズを背負い、全身を覆ったフル装備で銛を担いで砂浜を延々と進軍してゆきます。
※なるべく他の人の眼につかない場所に行くため。
※驚かせたら申し訳ないため。
うお〜〜〜海綺麗〜〜〜むせ返るほど色とりどりのサンゴの中、同じくカラフルな熱帯魚たちがピチピチしていて、これは大げさでなくて天国のようです。
すげ〜〜〜しばらく沖縄の実力に圧倒されていましたが、ひとたび銛を持つといきなり全てが獲物に思えてきました。
鵜の目鷹の目でハリセンボンちゃんを探します。
が、確かにいません。昼間の海、ハリセンボン、マジでいない。
そんで、ハリセンボンのかわりに小さな魚を突こうとしますが、圧倒的に突けません。水中、どうやら人間に不利な作りになっているようです。
結局その日はボウズ(魚一匹も取れず)となり、ただただフル装備でシュノーケルをした人となりました。
なお、ここからハリセンボンを突くために、かなり長い地獄が始まるのですが、このときはまだ脳天気なものでした。
〜〜数日後〜〜
予行演習を何度か繰り返し、いざ!
しかし、待ちきれず夕方頃から来てしまったので、浜辺で時間を潰します。
さて、本当の本当に、いざ!
うわ〜突然のまっくら〜〜
夜の海、本当に本当に真っ暗。皆さん知ってましたか。
夜の海、危ない。
目、見えない、息、できない、皮膚の感覚もない(これは水着のせい)、
果たしてこれで恐怖を感じない人間がいるのでしょうか。
あと、沖縄にはダツっていうスゴイやばい魚がいて、光に向かって飛んできて先端が胸に突き刺さって最悪死ぬらしいです。
さらにハブクラゲやらカツオノエボシやら恐ろしいクラゲがいてこれも最悪死ぬらしいです。
でも背に腹は代えられん!全てはふぐ提灯のために!
意を決して入水したものの、泳いでる間中、水中ライト切れたら死ぬな〜〜ってことしか考えられず、初回の夜の海も普通にボウズで終わりました。
潮水がしょっぺえぜ。
〜〜繰り返すこと数週間〜〜〜
さて、数週間も立つと本州では夏が終わるらしいですが、沖縄の夏はまだまだ続いております。
この間、私は、釣具屋さんを始めとする色んな人からのアドバイスを受け、気象情報とその見方を調べ、
満潮干潮時刻を把握し、
ハリセンボンの生態を調べ、
着々とバージョンアップしていきました!
長すぎるため中略してしまいましたが、結局昼間の海でハリセンボンを捕まえました。
はい!遂にご対面です!
ああ!なんか思ってたよりも可愛い!
ごめんね、私がハリセンボン提灯を欲してしまったばっかりに・・
でもちゃんと美味しくいただきますので・・!!
さ、ということで、台所で!捌きます!
次のステップは、
②ハリセンボンの後ろの方に小さく穴を開け、中身を引っ張り出す
でしたね、簡単そう〜〜魚捌くのと一緒や〜〜ん、とか思ってましたが、
ちょっと考え甘かった~(あとはちょっと相手が悪かった~)
まず普通に、これは普通に考えたら分かることなんですが、
魚の皮と身と骨ってくっついてるんですね〜〜。
そんなねえ、ちょっと掴んだらつるっと全部出せちゃうような構造にはなってないんですね。だから簡単に引っ張り出せるわけ無いんですね。あたりまえですね、なのになんで1行で書いてあったんでしょうね。
ぎゅってやらなきゃいけない、でも身は潰したくない、できれば穴も小さくしたい、そんで皮を傷つけたくない、あとハリで手に穴が空いて普通に痛い、
という様々な葛藤が渦巻く大格闘の幕が切って落とされてしまったのです。
とりあえずちまちま小さく切っていきます・・
3時間後、ようやく②身と皮を剥がす、の作業が終わりました。
3時間、本当です。分に直すと180分。盛ってるとかじゃなくて、本当です。
事務所によりますが法律相談してたら3万くらい貰える時間ですね。
手は無数のハリで刺され、傷だらけですが、一息つくまもなく、
③アバサー汁
の用意に入ります。
ここでうちなーんちゅの友人を召喚しました。
アバサー汁、ぶつ切りにした身に肝を溶かし、フーチバー(よもぎ)と味噌を入れれば良いらしいです。
実際のアバサー汁は、男の手料理的なかんじで仕上がりましたので、先輩に奢ってもらったホンモノのフグ汁の写真を貼っておきます。皆さんはこちらをイメージして下さい。
確かに身はフグ、フグそのものです。多分。
さらに、フグだと有毒で食べられない肝も一緒に食べられるので、非常に濃厚な味わいとなっています。
これは、もうハリセンボンを食べるためだけに捕りに行ってしまうかも知れない。
ていうかそれが本来の漁なんだろうけど。
一応、アバサー汁の写真置いておきますね。
(いや味は本当に美味しかったんですよ)
さて、腹も満たしたところで最終ステップにかかります。
④風船を膨らませて中に入れ、形を整えて日陰で乾燥
〜〜〜完成!
そう、これですね。またしても一行。
(ちなみに旧司法試験では通称一行問題という激ヤバ問題が出題されていたため、私は、一行という言葉に敏感がちです。)
でもどうせ難しいんでしょう〜〜〜〜?
うむ、その通りなのである!説明しよう!ハリセンボンはトゲトゲなのである!風船は割れやすいものなのである!🎈
更に言えば、ハリセンボンのトゲトゲは皮の上にちょんと乗っかっているようなヤワな作りなわけではなく、ちゃんと皮の内側からも硬さを感じられるしっかりしたものである!🐡🐡🐡
百均で一番安い20個入り風船を準備していましたが、景気よく割れまくっていきます。
百均の風船ってふくらませるのもけっこう大変なのに、それが片っ端からパンパン割れていく無力感。
どこかで感じたことのある無力感。
あーこれは就活に似てるかもしれん。分かります?わかって下さい・・
ーーーーーーーーー休憩。
途中、中身におがくずを詰める方法に変更しようかとも思いましたが、これはこれでおがくず地獄が待ってる匂いがプンプンしてきたのでやめました。
再開ーーーーー。
物事、始まりがあればいつか終わりも来るものなんですね・・
ほんと、継続は力なりってハナシ。そうなんだよねメーン。
トライエンドエラーを繰り返し、どうにかこうにか風船をハリセンボンの中に入れることに成功しました。
あとは、ハリセンボンちゃんの口が閉じないように割り箸をくわえてもらい、エラがひっつかないようにダンボールを切って形を整えます。
日陰がないので、ベランダに吊るしに行きます。
ふわ〜もうとっぷり夜じゃんよ〜〜
その後、乾燥させるために、雨の日は中に入れたり、扇風機に当てたり、と甲斐甲斐しく世話をしていきます。
そしてついにその日が来ました!!!
数日間家の中が干物の香りに包まれていて、なんだか良いことのような、そうでもないことのような気がしていましたが、もう干物の匂いはほぼ消えております!
そして一夏が終わるころには、
こうなりました。
ふぐ提灯チャレンジは成功を収めたと言っていいのではないでしょうか。
ひとまず、わたしの心とお腹は満たされました。
一匹は友人が事務所に飾っているそうです。ありがとう!!
それでは次回、
法律を遵守してハブ酒を自作してみた、或いは、
法律を遵守して鹿の皮ラグを自作してみた、でお会いしましょう。
以上、シノケスがお送りしました。
参考サイト:
ワシントン条約(CITES)(経済産業省)
e-Gov法令検索 日本国憲法、動物愛護法、漁業法、水産資源保護法
水産庁ホームページ
農林水産部水産課 - 沖縄県
高知県柏島NPO法人黒潮実感センター http://www.orquesta.org/kuroshio/Article/ArticleView.jsp?article_id=448
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