被写体



私の人生には関係のない人達が
乗った飛行機 
透析のバスを待ってる私の頭上を
マッハのスピードで飛んでゆく
無事を祈る余裕があるから大丈夫
揮発性が高い良心を捕まえる為に
網を張る行為 純度の高い怒りや哀しみで糸を編んで編んで傷ついた過去を忘却の淵から引きずってきては
錆びた乾電池の味がする七転八倒の業も編み込んで
犬死にしていった詩人の骨を拾う

他人の善意にも警戒心を怠らず
ただ傷つく事が怖かっただけ
磨いたのは防衛本能
ペラペラな理論武装
ノーガードじゃなければ誰も腹割って
本当のこと
話しちゃくれないよ 自分の寝ゲロで
溺死しそうになった
あわれだないい歳こいて
生まれてきてすみませんって
頭下げながら
ダサいローリングストーンズのTシャツみたいに真っ赤な
舌を出して
あなたのリスカの痕も舐めたい
あなたの小皺も
くしゃくしゃにして泣くその涙も
全部舐めたい 私の立ち位置からは
カラ元気でピースするもハレーション
わたしの陰影を濃くして
その分だけ世界が輝きを増す
誰の痛みも無駄じゃなかったと
証明する為の
逆光

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