見出し画像

けやき道が日向になるまで♯2

 ○○が会場へ戻ると、場は騒然としていた。避難するファンの人達、多分メンバーであろう人達もスタッフの人に誘導されて避難しているようだ。だが、その中に彼女の姿はなかった。


○○:まさか・・・クソっ!

         ~~~~

菜緒:あっ・・・あっ・・・

犯人:はぁ、はぁ、菜緒ちゃんこれから天国へ行こうね〜

菜緒:い、嫌・・・


 菜緒は腰を抜かしており、目の前にある恐怖に逃れられないでいた。それに犯人は興奮した様子だ。

菜緒:(嫌や・・・久しぶりに会えたのに・・・)


 菜緒は走馬灯の如く、再会した彼との思い出を思い返していた。転入してきた時、初めて喋った時、彼の活躍で運動会で大逆転優勝した時、そしてまた彼が転校した際にアレを交わした時・・・思い出すだけでも彼のことばかりだった。


菜緒:(○○助けて!)


 菜緒が恐怖で目を閉じたその時、ドカンと蹴破ったかの如く現れた。


○○:ハァ!

犯人:な、何だお前ぇ!?

○○:へっ、大丈夫か?小坂

菜緒:○○?

○○:おうよ。来て正解だったぜ・・・!


 菜緒と○○が親しげに話す様子を見て、犯人は逆上した様子でナイフを取り出した

犯人:お前ぇ!僕の菜緒ちゃんとイチャイチャするなぁ!うおおぉぉぉぉぉ!!

○○:うるせーよ・・・幼ダチを怖がらせてんじゃねぇ!!


 怒りMAXとなり、截拳道を修めた○○は犯人を怖がるどころか、寧ろ立ち向かい、ナイフを上へ蹴り上げた。そのまま回転して右拳で鳩尾を打ち、最後にまた回転して回し蹴りをお見舞いし、犯人をノックアウトさせた。

○○:ふぅー怪我はないか?

 脅威は去り、終わったと感じた菜緒はその反動で涙がポロポロと落ちていった。

菜緒:うぅ・・・怖かった・・・(泣)

○○:おぉ、泣くな・・・まぁ、しょうがねーか・・・もう大丈夫だから。な?


 その後、警察とスタッフの人達が駆け付け、犯人は無事に連行されて行った。事情聴取に付き合った○○はスタッフの人と一言二言会話してから帰ろうとした。


○○:それじゃあ、俺は帰ります

スタッフ:えぇ、本当にありがとうございました。

○○:ん。じゃ

 バッグを背負って会場を後にした。

菜緒:待って!

○○:おう小坂。俺、帰るわ

菜緒:○○、ホンマにありがとう!

○○:おう。じゃあな。


 菜緒と一言二言喋った後、○○は颯爽と帰宅した。

 Twitterでは、握手会に現れた変質者を風の如く現れたヒーローが撃退したと、ファンの間では話題となったようだ。

 そして、この事件の顛末はあの人物にも伝わったようだ

??:ほぅ。彼が

??:先生。

??:うむ。決まりだな。上手く頼みますよ。今野さん

今野:分かりましたよ。秋元先生


 ○○の運命が大きく変わりだした瞬間だった




いいなと思ったら応援しよう!