振り返る面倒臭いを貼り付けて(朝日新聞東海柳壇掲載)
年齢を重ねて、マルチタスクがとても苦手となってきた。
ひとつの作業に一球入魂。誰も話しかけてくれるな、今だけは、絶対話しかけないでくれ、というタイミングに限って、話しかけられるのだ。
絶対に自分はそういう人間にはなりたくないと思っていたのに、私は見えない付箋に面倒臭いと書いて、おでこに貼り付けて振り向いてしまうのである。
とほほ。ダメですね。。。
先日のこと、急いで帰りたいのにららポートの帰りがめちゃくちゃ混んでいた。
やっと、立体駐車場を出たら道路がますます混んでいた。
右から合流したい車がウインカーをチッコチッコやりながら、ちょっとずつ接近してくる。私もちょっと前を詰める。相手が再び近づく。私も詰める。
いや違うのだ!
私は、こんな小競り合いは全然したく無いのだ!
本当に今日は急いでいて、ごめんだけど、ちょっとでも早く帰りたいのだ。
できることなら、車の窓をあけて、
「ごめんなさい!今日は本当に急いでいるから入れてあげられないのです。私の後ろに入ってください!」
と、叫びたい!
もしくは
「ごめんなさい!今日は入れてあげられないけど、今度会った時は必ずお入れしますから、今日は許して!」
そして、互いに合意のもと、にっこり笑って窓を閉めて、両者が穏やかに運転したい!
夫にそう言うと
「本当にそんな奴がおったら、めちゃくちゃ怖いわ」
とのことでした。
「振り返る面倒臭いを貼り付けて」